ゆこ　さんのレビュー一覧

こんな絵本を読んで欲しい。

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　大人になって読んだ絵本で、初めて泣いた本だった。「信頼」とか「やさしさ」に飢えていた時期だったのかもしれない。
　こんというきつねのぬいぐるみは、確かに動き、しゃべったりはするが、その表情は変化せずあくまでもぬいぐるみに徹している。それが余計に「だいじょうぶ、だいじょうぶ。」の言葉を切なく強く心に刻ませる。
　文章はきわめてシンプルで無駄がない。だが、ページとページの間にある場面や状況が、何の言葉もなくても伝わってくるのは、この絵のもつ臨場感のおかげだろう。電車の中で不安になっていく主人公の気持ちや、おばあちゃんの家を一人で探して訪ねていく過程、何の説明がなくても自然と想像できてしまう。
　どうか子供たちには、こんな絵本を読んで大人になって欲しい。