吉野　智之　さんのレビュー一覧

グリーン・ツーリズムの動向を概観し，今後のあり方を展望。自然との触れ合いを通じ，地域活性化を探る

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　グリーン・ツーリズムが脚光を浴びている。自然との触れ合いを好む人は多いが，地域特有の自然環境を，地元の人から聞くような学習の旅を行う人は少ないのではないだろうか。本書でもグリーン・ツーリズムを扱っているが，体験学習型の旅，内外の事例を紹介している点で，類書と異なる。旅行業界や，環境問題に関心のある人に一読を勧めたい。
　本書は5章で構成され，まず，グリーン・ツーリズムの概念を述べる。英国，フランス，ドイツ，イタリア，オランダ，オーストリア，スイスなどで1970年代から始まった農山漁村でのツーリズムで，都市住民に開放するのが狙い。一方，わが国では官庁主導のツーリズムの占める割合が多く，欧州の農家民泊型は少ない。本書では草の根レベルで，農家民泊型の取り組みを模索する。官庁主導のグリーン・ツーリズム，北海道における農家民泊の事例を比較検証する。また，山歩きの醍醐味，自然や地域住民との触れ合いの楽しさ，さらに深化させるために，地域文化に対する眼差しを向け，今後を展望する。
(C) ブッククレビュー社 2000