鴇　　さんのレビュー一覧

祝福屋。それは世の中のありとあらゆることを祝福する商売。

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　業田良家のアイディアにはいつも「おぉ」とため息が出る。これは、人間の幸福とは何かを描いた作品だけれど、こういう皮肉った形で、諧謔めいた形で、ここまで幸福を表現するとは…ううぬ、恐るべし業田良家。鬼才。

　例えば第一話。祝福屋の仕事はありとあらゆることを祝福すること。若い女から仕事の依頼がくる。「私の存在を祝福して欲しい」と。そんな困ったちゃんな依頼に困り果てる団員たちだったが、団長の祝福屋福助は、プロの名にかけて祝福法を考え出す。それにはずぶ濡れの子犬が関係していて…。ともすれば、嫌味になってしまいそうなストーリー。だけど決して嫌味にはならない。この祝福屋の存在意義を考える時、私たちは自らの内で失われているものに気づくのかも知れない。