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  3. ももんじゃ05号さんのレビュー一覧

ももんじゃ05号さんのレビュー一覧

投稿者:ももんじゃ05号

53 件中 16 件~ 30 件を表示

紙の本

紙の本演習刑事訴訟法

2008/05/31 13:49

取説つき刑訴

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

1 本書は,法学教室で連載されていた「演習」欄について,まとめた本である。
 まあ,これだけ読んでも,法学教室を読んだことがないとさっぱりわからないと思うが,要するに,学生向け(にしては,結構高度なんですけどね,この雑誌)の法学雑誌の巻末のほうに,大学の教授が執筆している憲法やら民法やらの問題とその回答らしきもの(回答そのものではないときもある。というか,法律に正答はないといわれているので,答えが書いてあるものでも,回答らしきものなのである)が載っている。
 この演習の刑事訴訟法についてまとめたものである。
2 さて,本書には,序がついており,執筆者が座談会を開いている。まあ,メンツはそうそうたる顔ぶれである。ここに本書の取説がある。というか,この座談会の内容は,刑訴だけではなくて,他の法律を勉強する上でも結構重要な示唆がある。根本的に,どの法律でも勉強の方法は変わらないのである。
3 内容は,1つ1つの論点,問題ごとについて,論じ,解説を加えていくというもの。1つの問題につき,分量は3ページ程度で量としては適切である(本当は,もっと書きたいらしいが)。問題の数は,85題で,捜査,公訴,公判,証拠,裁判,上訴等一通り押さえられている。個人的には,もうちょっと,伝聞証拠のところがあったほうがうれしいかと思うところ。
 形式は,各教授それぞれで,酒巻先生と大澤先生は,ゼミで教授と学生たちが問答している方式,ほかの先生は,通常の論証・解説で書かれている(多少,違うが)。
 分量が1題あたりそんなになく,また,一通りの事項について書かれていること,また,説明も丁寧なので,個別につまみぐいするよりも,きちんと通読した方がいいと思う。
 みんなでワイワイやりながら,問題解くのもよし,ひとりで黙々と解くのもよしである。
4 なお,本書に関し独自の取説として,酒巻先生曰く「実はこの演習書の中には,バイエルやソナチネではなくて,超絶技巧練習曲,ものによっては前衛現代音楽レベルのものが含まれている」とのことである。
 一応,教科書をさらっておいて,判例通説を理解した上で,勉強される方が身のためか。
 ああ,あと本書と関係ないけど,できれば,憲法の安念先生の演習も加筆して出してくれたら,すごくほしいところである。

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紙の本

紙の本梟の城 改版

2008/05/08 23:58

正反対

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

1 織田信長に伊賀の里がつぶされ、伊賀の忍者たちはバラバラになった。しかし、技はその身体に宿る。伊賀という土地に宿るのではない。したがって、バラバラになってもやっぱり忍者は忍者だった。
2(1)本書の主人公の葛籠重蔵もその忍者の一人である。あるとき、豊臣秀吉暗殺の命を受け、これを達成しようと試みる。しかし、この人、根本的にちょっと普通の忍者でないのである。忍者は、変転自在で自分の心もとらえどころのないようにしておかねばならない(らしい)。しかし、この人、変に情があるというか、どことなく愛嬌がある人である(お付きの黒阿弥は困っているが)。
 しかし、その技は伊賀屈指。本人もその忍術の精緻を凝らすことに命をかけている。
 (2)一方、この重蔵を追っかけて、豊臣秀吉暗殺の首魁をとらえて手柄を立てようとする忍者がいる。重蔵の旧友で風間五平という伊賀忍者である。しかし、この人、忍者という境遇にほとほと嫌気がさしている。とっとと手柄を立てて侍として出世したいと願っている。わずかな金で危ない橋を渡ろうとするのが嫌なのである。しかし、根本的には忍者の性根が骨の髄まで達していて、その心は変転自在、自分の目的を達成するためなら旧友の重蔵を売ったり、許嫁だっておとりにするのである。
 (3)結局この2人、忍者の腕がすこぶる立つという点で共通点はある。しかし、重蔵の方は、忍者でありたいが、根本的なところで忍者の性根が欠けている。一方、五平の方は、忍者を辞めたいが、根本的なところで忍者の性根が残っているのである。
 まるで、盾の両面、陰と陽、乾と坤の正反対。
3 他方、これを取り巻く甲賀の忍者がいる。忍者でありたいと望み、根本的なところでもやっぱり忍者で凄腕の摩利洞玄(ある意味幸せ)と、腕は立つものの、忍者はもうやめたくて、根本的なところでもやっぱり忍者っぽくない小萩である(こっちは大変)。
4 以上が、闘ったり、くっついたりしながら縦横無尽に活躍する話。世の中なかなか自分の思う通りにはいかんのですなあ。まあ、この辺の葛藤が面白いんでしょうが。

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紙の本

小さな人が大きく造る

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

1 本書は、土木学会誌という堅そうな雑誌に載っていたやわらかそうな話をまとめた本である。本書の絵等を担当しているのは、ワールドタンクミュージアムとかで戦車の絵を描かれていたモリナガ・ヨウ氏、専門的な解説をされているのは、元はゼネコンの鹿島で働いてて、現在は研究者の溝渕利明氏である。
2 本書で、著者たちはいろいろなところに行っておられる。北は北海道から、南は沖縄まで全国津々浦々である。
  工事現場は、道路やダムのような公共事業もあるが、セメント工場やコンクリート製品工場、天然ガスタンクなど民間の施設もある。
  場所は、地方が多いかと思ったら、結構首都圏、東京近辺の現場が多い。羽田空港、大橋ジャンクション、東京外環道路、中央線三鷹・立川間とかである。東京は、もはや土地を広げるには、地下に潜るか中空の空間を使うかしないとだめなのかもしらん。いっそ、地下駐車場みたいなものをもっと造れたら、交通事情よくなるかもなあ。まあ、用地の確保に死ぬほど金がかかっちゃうけど。
3 土木や建設というのは、古い産業と言われているが、いやいや技術革新もすごい。石神井川の拡幅工事している話があるが、住宅地のど真ん中で川の整備である。くい打ちとかやったらうるさそうだが、さにあらず。今は、ねじ込み式でくいをうつんだそうな。うるさい音が出ない。
  また、数年前に柏崎刈谷原発の付近で地震があったが、直下型地震何するものぞ、原発は普通に制御できた。当時、日本のマスコミは火事が起きたとかで騒いでいたが、それはもう設計で織り込み済みなんだそうな。元から、重要な場所を保護し、あんまり重要じゃない場所はすこしくらいなんかあってもしょうがないという設計なんだそうな、そうしないと、無駄に金がかかってしまうし、復旧も早めにできる。世界的には、日本の技術すげえという話だったって。
  さらに、こぼれ話も面白い。法面に、植物を植えて土が崩れるのを防ぐそうだが、イッペン、ニンジンを植えたところがあったそうである(多年草なので、一年中草が生えてる)。しかし、こういうおいしい野菜は、たちまち動物がたべちゃって失敗とか。隅田川の橋の形が全部違うが、これは、設計者が趣味で作ってよかったからだとか。なんて牧歌的なんだ。
4 何を隠そう私は、現在の商売をしていなければ、多分、ゼネコンか物流をやっていた。現に、学生時代には、就職活動で、ゼネコンや海運陸運の会社にいっていたのである。結局、何を血迷ったか現在は別の商売をしているが、土木建設はいまでもやってみたい。法律って、最初から最後まで紙の上の話なので、ゼネコンとか物流のように、自分がやったことが目に見える商売ってすごくうらやましいのである。
  まあ、いまやりたいといっても、法務部とかで契約書チェックとか、株主総会の対策とか、公正取引委員会と闘ったりとかして、やることがあんまりかわらんかもなあ。

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紙の本

声はすれども姿は見えず・・・あ、見えた

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

1 本書は、山本七平氏と山本夏彦氏の対談である。
2 その昔、山本夏彦氏の「愚図の大忙し」というコラムが文芸春秋に連載されていた。私は、中学の頃、このコラム(読んだ時のお題は豆朝日新聞の話だった)を読んで笑わぬでもない微笑を浮かべ、たいそう気に入ってしまったのである。それ以来、山本夏彦氏の著作を買い込んでは読むようになった。
3 一方、山本七平氏を知ったのは、山本夏彦氏の著作の中である。山本七平氏若かりし頃、下宿屋の親父(だったと思う)が戦争(太平洋戦争)がはじまったと言ってきたら、「え、どことどこが」と聞き返したという話であった。一般国民、日中戦争だけでも大変なのに、まさかアメリカと戦争するとは思ってなかったという話であった。
 大学に入って、山本七平ライブラリーを図書館で見つけ、「私の中の日本軍」とか、「一下級将校の見た帝国陸軍」とか、片っ端から読んだのである。特に、「常識の研究」では、書かれた当時のニュース評とかが、現在でも十分読む価値があるものだと思われた。朝刊は、すでに昼には腐っているのに、その評釈は、いまでもおもしろかったのである。日の下に新しいものはないのである。
4 他方、「常識の研究」の巻末に、山本七平氏と山本夏彦氏の対談があった。これがすごく面白かった。両者とも、世の中のことをてんで信用していないので、言いたい放題であった。
 そして、この2人かなり気があっているようだった。ならば、このような企画が他にもあったはずだ。ところが、探してみると残念ながら絶版である。本書と「意地悪は死なず」という本だった。
 山本夏彦氏や山本七平氏の著作では、この対談本がたまーに出てくるのだが、実物を拝んだことがなかったのである。まるで、一昔前の「年を経た鰐の話」である。
5 それがいま、眼前に出てきたのである。
 出版社におかれましては、ぜひとも「意地悪は死なず」の方も出してくれと願いながら、この書評を書くのである。

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紙の本

紙の本ベーシック税法 第3版

2008/04/29 14:52

税法事始(やや専門的なコトハジメ)

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

1 本書は、租税法の初学者向けの入門書の1つである。有斐閣アルマは、初学者向けから上級者向けまで4つの段階に分かれており、本書は、その2番目に初学者向けの段階であるベーシックに分類される本である。
2 租税法の特徴は、まず法律自体がかなり難しいという点である。手近に税法ののっている六法がある方はそれを、ない方は総務省の法令データベースで税法(所得税法か法人税法あたり)を検索していただくとわかるが、とにかく読むのがめんどくさい。国は、国民に税金のことを考えさせるのが嫌なんではないか? と思わず邪推するくらいわけがわからんようになっている(本当は、租税法律主義というのがあるため、税法は厳格にしなければいけないからである…はずだ)。
 二重カッコくらいまでなら、我慢するが、四重カッコって何だよ、と思うことしきりである。これに、規則と通達が加わるのである。何かのいやがらせだろうか。
3(1) では、この税法を勉強するためにはどんな本があるか? もちろん税法といえば金子租税法である…が、これはとにかく厚い! 重い! そして読むのがシンドイ! のである。
 金子先生は学会・実務にわたって非常に影響力の強い学説を唱えられてられるので、金子租税法が大変重要であることはもちろんである。ただ、学習用にすると、たぶんエライことになるはずである(辞書的に使った方が良い)。
 しかも、金子租税法は年々厚くなる。今でも厚いのに右肩上がりで厚くなるのである(2年くらい前にちょっと薄くなって何事かと思ったが、何のことはない。縦書きから横書きにかわったため少しだけ薄くなっただけ)。
 何かの呪いが掛かっているようだが、さにあらず、税法は更新・増加が激しいので、改正を追っていくと年々厚くなっていくのである。ただ、そうすると、税法全体が呪われている可能性も否定できないと思うなあ。
(2) もう一冊結構有名な入門者向けの本でよくわかる税法入門 第4版というのがある。ゼミ形式に話が進んでいく本で、挿絵入りで分かりやすい構成になっている(ただし、私が持っているのは次に掲げる第2版である。したがって、現在の本の中身が相当程度まで同じかまではちょっとわからない)。
 ところで、この本の私の持っている第2版の表紙はこんなんだった。ちょっと、レジに持っていく時、恥ずかしかったのである。有斐閣よ、どこへ行く!? と当時、仲間内で話題になった。
 で、このシリーズはわかりやすいのだが、内容がゼミ形式なので、話が個別的であった。そして、ページの関係上すべての論点に言及することができないので、どうしても体系的に勉強するということがやりづらかった。
4(1) そこで、本書の登場である(ようやく? )。本書は、ベーシックと銘打っているだけあって、基礎的な部分がしっかり書かれており、また、体系的に論じられているため、わかりやすと思う。
 その上、350頁ほどで、サイズも小さく、通読可能な本だあると思われる。本書によって租税法全体の基礎的な部分は充足できるだろう。
 ただし、本書はあくまでアルマのベーシックの段階のものである。これより深く勉強するためには、前記の金子租税法や租税法の百選を利用して勉強するのが良いと思う。
 なお、本書の巻末には、著者らの推奨する他の教科書、演習本が書かれているが、この本の評価は非常に納得できた(笑)、いや実際難しいんですよ、この本。以上からすると、巻末の推奨本を頼りに勉強されるのもよいかと思われる。
 (2)税法は、行政法の一分野である。したがって、行政法の勉強の上でも役に立つものと思われる。なかなか大変ですわなあ。

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紙の本

所変われば規範が変わる、ときが違えば評価が違う

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1 本書は、ヴァイキングの農民あるいは商人がどのように経済活動を行っていたかを中心に、その社会や規範を表した本である。
2(1) 「農民」というと、なんだか晴耕雨読で昼は田を耕し、夜は縄を編んでいそうだが、さにあらず。ヴァイキングの農民は、豪族とか土豪に近い自立した農場経営者である。一方、専業の「商人」というのはヴァイキング業界では、半人前なんだそうな。
 (2) ところで、この時代、万人の万人に対する闘争アリアリルールである。武装しないとカモである。だから、立派な農民たちはみんな武装している。一朝事あったときには(こっちから一朝事を起こすこともあるが)、弓矢を集め、槍を揃え、一族郎党で戦うのである。もちろん、数は力である、一族郎党は多い方がよいに決まっている。
3 他方、彼らには規範があった。物を持っている奴が物がない奴に大盤振る舞いしなければならなあいのである。大盤振る舞いする奴が徳目の高い立派な農民で、ケチな農民はさげすまれたのである。
 しかし、彼らの郎党は、北のフィヨルドで産しないものもほしい。また、農民ご本人も雪と海ばかり見ているのはいやだ、贅沢だってしたい。
 そこで、彼らはどうしたか? 1つは贈与を受けること、もう1つは交易をすること、そして、最後に略奪である。
 これらの「経済活動」をやるにしたって、人は多い方がいい。結局腕ずくである。そこで、また大盤振る舞いである。そして、ますます「経済活動」に明け暮れるのである。
 しかし、ついには、そのヴァイキングの時代も終わるのである。
4 個人的には、ヴァイキングの間の取引の規範が現在と全く違っていることがおもしろかった。近代的な個人の意思を中心にした法律関係と全く異なる売買とか借金(消費貸借)の概念があった。やっぱり最後は腕ずくであった。
 自分の常識が、他の常識じゃないですなあ。

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紙の本

著者は、結局当該会社を辞めておられる(詳細は本書にて)

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

1 本書の著者は、警備会社(中小企業である)の経理として勤務していたところ、市の警備業務にかかわる入札に際して、談合事件の手伝いをすることとなってしまった。
 ところが、これが仲間内のイザコザから当局にばれ、社長以下役員が逮捕、起訴、有罪判決をうけた(地方紙だが新聞にも出た)。これによって、当該会社は、警備会社として存続の危機に瀕した。まず、社長が続けられないし、公共事業の指名も受けられないのである。そこで、会社は、大規模なリストラ、あの手この手の存続策を練り、それが実行された。
2 本書は、談合を行った会社の一般の社員の立場から、談合でどのようなシキタリがあり、何が行われていたか。また、どのように露見し(これがまたしょうもない理由なのだが)、イモズル式に共犯者が特定されていくか、そして談合が露見した後の騒動を見た本である。
3 談合業界でも、いろいろあって、警備関係の仕事というのは、二線級なんだそうで、「談合の華」はやはり建設・土木関係なんだそうな。本書には、一人やり手の役員が出てくるのだが、この方、昔、相当大きな建設会社で談合をやっておられた方なんだそうである。
 本書のハイライトは、露見してから捜査が進行する過程であり、捜査機関と会社の攻防(といっても、実際は、捜査機関の一方的攻勢と会社側の一方的防戦であるが)である。その中で、一人談合のプロとして(変な表現だが)、警察に堂々と臨む上記の役員は、貫禄ある悪役としての「華」である。
4 右肩上がりで経済発展していくということがなくなり、国、地方公共団体の歳出も厳しくなる中、談合が許されなくなっている社会の情勢があること。また他方で、競争入札の場合、仕事に慣れた業者以外の業者が入ってくる危険性(入札は、会社の質や能力で選ばれるのではなく、値段で選ばれる。とすると、安値で入札したやつが必ずしもいい業者とは限らないので、業務が非効率になる危険性がある。しかも1年契約なので、経験が次に生かせない可能性もある)があることの利益衡量が問題になると思った次第。 なんかいい方法ないもんですかねえ。

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紙の本

紙の本改憲問題

2009/01/18 20:15

憲法の限界・・・だって,結局,国内法じゃない。

7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

第1 憲法と戦争の関係
1 本書は,昨今問題となっている憲法9条の改正について,批判的に論じた本である。本書評は,当該本他があげる9条についての話である。どうもこの議論は,感情面が強くて理屈が整理されていないような気がするので,思うところを書いた(ただ,国際法はもさっとした知識しかないので,(憲法も?) あんまり当てにならんかもなあ)。
2 憲法って何だ
 まず,9条が規定されている憲法とは何ぞや。現在では,まともな国なら「国家の権力を制限し,人権を保障する」という立憲的意味の憲法というものをさす。国民の自由を保障し,国家権力が暴走しないようにするのである。したがって,日本国憲法は,日本の権力を規制するための法律である。
3 戦争って何だ
 一方,9条で規制されている「戦争」とは何か。これが,味もそっけもないが,国際法上は,戦時国際法(武力紛争法)が適用される状態をいう。そして,戦時国際法が適用されるのは,国家間の武力紛争が起きた時である(内戦については措く)。早い話が,国家間でドンパチが始まった場合が,「戦争」である。
4 問題点
 ところが,これでは問題がある。憲法が統制できるのは,その憲法がある国だけだが(国内法の分野),戦争は多国間で起こる(国際公法の分野)。すなわち,日本の憲法で統制できるのは,日本だけである。しかし,日本が戦争をしないといっても,相手がそんなもん知らんといえば,それまでである。なんでこうなるか? 根本的には,国家に,主権というものがあり,その主権の性質として,最高独立性というものがあるからである。国家は他国から独立しており,他国の命令を受けたりこれに従ったりする道理はないのである。
5 戦争の違法化
 でも,戦争は一般的に禁止されているではないか,本書でもその指摘はある。現に,国連憲章2条4項でもそう定められている。これを実効性のあるものにするために,安保理が決議を行い,これに基づいて国連軍を組織して,侵略者を鎮定する(国連憲章39条~51条,いわゆる集団的安全保障)。
 ところが,ことはそう単純ではない。まず,安保理が加盟国に拘束力がある決議を行う必要があるが,この決議が出ないのである。悪名高き拒否権の発動である。ちなみに,いまだかつて拘束力のある安保理決議により国連軍が組織されたことはない(湾岸戦争のときも,朝鮮戦争のときも拘束力ある決議ではなかった)。国連軍の結成に至らなくても,国連の平和強制部隊というのを組織する場合もあるが,いずれにしろ,国連が有効に軍事力を機能させるためには,次の条件が必要だとされる。(その1)国連が,いかなる平和破壊者をも圧倒できるだけの能力をもつこと,(その2)加盟国,特に安保理の常任理事国が,自国の国益を国際社会全体の利益に従属させ,国連の集団的強制措置の発動に協力すること,(その3)加盟国,特に安保理常任理事国が,どのような平和が守られるべきか,そして,どのような行為を平和破壊的として認定するかについて共通認識を持つことである。
 しかし,上記の条件は,近い将来において達成されることはないだろう(全部無理…)。そうすると,国連を中心とした平和維持というのは,おのずと限界があり,戦争を完全に防ぐということはできない。結局,相手方が武力行使をしてきたときは,これを自力でなんとかしないといけない。
6 自衛戦争は例外
 前記のとおり,一般に,戦争は禁止されている。しかし,自衛戦争は,正当な行為として認められているのである。国連憲章51条1項で,加盟国は,集団安全保障が機能するまでは(安保理決議が時間的に間に合わないというのは織り込み済み),国家固有の権利として,集団的自衛権または固有の自衛権を行使できるとする。なお,集団的自衛権とは,自国が直接攻められた場合でなくても,自国と密接な関係がある国が攻められたとき,実力でこの攻められた国への攻撃を排除することである。
第2 9条の解釈について
 1 9条の意味
 9条は,1項と2項からなる。1項は戦争放棄,2項は戦力の不保持と交戦権の否認を定める。ここで,1項は,国権の発動たる戦争を放棄すると言っているが,これは単に戦争放棄といってよく,国際法上の通説からすると,侵略戦争の放棄を指す。そうすると,自衛戦争は,放棄されていないのである(だからこそ国連憲章にも規定がある)。政府解釈もこれ(なお,当然,反論はある)。
 では,なぜ,自衛隊が違憲だという話が出てくるのか? これは,2項があるからである。2項で,戦力を持たないとされているが,自衛隊が戦力に当たるからこれに反するとの説があるからである(政府解釈は,自衛のための必要最小限度の実力である自衛隊は戦力に当たらないとする)。なお,交戦権とは,交戦状態になった国に国際法上認められる権利である。
 以上からすると,次のことがわかる。1項と2項は必ずしもセットではないということ,1項は,防衛戦争は許しているということである。
第3 まとめ
 結局,日本が戦争をしないといっても,相手が戦争したいと言ってるときはどうしようもない(これは主権の最高独立性に基づく話で変えようがない)。日本が独自の権限で回避できるのは,日本が行う侵略戦争までで,防衛戦争については相手次第となってしまう。にもかかわらず,わざわざ日本を守る力を発揮させないようにしている憲法というのは,国民としては不安である。相手が攻めてきたとき,相手が日本人を人道的に扱うか? 先大戦のときソ連に占領されたドイツは,大変悲惨だった。私は,その渦中にいるのは御免である。したがって,他国がよからぬことを考えないように,自衛隊には頑張って頂きたいのである。
 そうすると,改憲した方が,私にとっては利益である。では,どのようにすべきか。この点は,2項を削除すべきだろう。私だって侵略戦争なんてメンドーなことはしない方がいいと思う。しかし,自分の身は守りたい。これを実現するには,侵略戦争を放棄するため1項を残した上で,国連憲章でも,国際法でも許されている自衛権を行使するため,2項だけ削ればいいのである。これで,天下晴れて国防を全うできる。
 憲法全部を変える必要なんてない。かえって話が混乱するだけである。だから,ぜひとも2項削除で改憲してほしいところである。なお,本書で指摘されているが,東大の法哲の井上達生教授は2項削除論とのこと。この論文読んでいないのでどういう話か言及できないんだが…なお,これを書くにあたって次の本を参照した。「防衛大学校安全保障研究会編著 安全保障学入門 亜紀書房」,「芦部信喜著 高橋和之補訂 憲法 第3版 岩波書店」,「中谷和弘他 国際法 有斐閣アルマ」,「筒井若水他 国際法辞典 有斐閣」 以上                        

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紙の本

紙の本刑法

2010/02/21 11:05

前書に偽りなし。

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

1 本書は、刑法結果無価値の頭目、山口厚教授の書かれた刑法の「教科書」である。本書の目的は、前書でのべられている。入門者のためのの学習用である。
2 「教科書」とかっこ書きにするのは、わけがある。法律の本で教科書といわれるものはあるが、これがまた難しい(特に総論)。大体、用語がドイツ語の翻訳であるし、刑法総論は、なんか哲学書みたいなところもあり、ほうっておくと買ったまま読まない教科書が現れる。
3 そこいくと本書は、わかりやすい。しかも、総論と各論が1冊で読める。  しかし、内容が薄っぺらいとかそういうことは全くない。難解な刑法概念を過不足なく書かれており、言葉も(比較的)平易で読みやすい。
  さらに、特筆すべきは、山口先生が、あんまり結果無価値や自説を前面に押し出していないことである。通常、学者であれば、特に、山口先生のような高名な方であれば、自説を大展開してもいいのに、それを殺して入門者向けに徹しているのである。まあ、これだけ偉い人だし、すでに総論各論との教科書を出しているからできることだともいえるが(いろんな意味で。うかつに通説、判例に徹するとそこをいろいろ批判されることもあるし。ほら、民訴とか)。だから、とる説が、結果無価値、行為無価値に関係なく読める。
4 私も、山口総論(初版)は挫折した口である。因果関係論がわからんかった。しかも、山口先生、因果的共犯論とるし、因果関係かなり重要なので、ここがわからなくなるといろいろわからなくなってしまうのである。
  まあ、ぼちぼち勉強しましょうや。
  

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紙の本

ルターで墨子で処女で魔女

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1 本書は、もやしもんでおなじみの石川雅之氏の書いた百年戦争を舞台とした漫画である。
2 本書の主人公は、魔女である。魔女といえば、神と対立するものである。現に、本書の主人公は、大天使に目を付けられてしまった。
  いったいどんな極悪なことをしたのか。なんとこの魔女、恐ろしいことに戦争をやめさせ、人の非道を止めるのである。あな恐ろしや。
3 この漫画の舞台は、百年戦争たけなわのフランスである。この当時は、魔女狩りをやっていた。キリスト教(カトリック)が猛威をふるい、関係ないものまでとっ捕まえては、火にくべていた。この魔女は、恐ろしいことにこれに異を唱えたのである。聖書には、そんなこたあ書いてねえだろと。なんだかとってもプロテスタントである。
4 また、北に争いあれば、行ってつまらないことはやめろとは言っていないが、夢魔を飛ばして、戦争を止めてしまう。ときには、もっと強硬手段に打って出て、ドラゴンやゴーレムを出現させ、禍根を断つのである。
  おお、なんか墨子みたい。
5 そして、本書の題名にもなっているが、主人公は純潔である。カトリックであがめたてまつられる純潔である。そして、これが物語の重要なキーとなっているのである。
6 私は、正義があるとすれば、正当防衛だけだろうと思っている(緊急避難は便宜的、正当行為は国によって異なる)。これだけは、普遍的に説明できると思う(侵害者の法益が低下する法の説だが。詳細は、山口厚の刑法総論を読んでください)。主人公の行動を見て、おお、正義はここにありと思った。ただ、こう考えると、正義は、侵害が起きた時にのみ発生する。悪がないと正義は発生しえない、相対的なものである、しかもやりすぎれば、それは正義から外れる(過剰防衛は違法性を消さない)。だからこそ、正義というのは、うかつに口にできない言葉である。

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紙の本

労働闘争in江戸時代

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

1 本書は、江戸時代初期における大名と百姓の対立を書いたものである。なお、ところは、主に九州は、細川領(細川藤孝、忠興親子)である。
2 と書くと、なんか苛斂誅求をする大名と追われな農民という水戸黄門的スタイルを思い浮かべそうだが、さにあらず。
  当時、一応、移動(引っ越し)の規制はあったみたいだが、農民は、領主が気に食わないと出て行ってしまう。でも、人によっては、それでも、農民は逃げるしかなくてかわいそうと思われるかもしれない。しかし、これが実相はそうでもないのである。
3 当時、戦国時代も終わり、ようやく平和な時代が到来していた。世の中が安定してくくると、生産力が上がってくる。本邦では、新田開発が奨励された。この結果、新地に赴く労働力は、非常に貴重な存在であり、逃げだしても、すぐに再就職(他領での新田開発)が可能だったのである。
  その結果、大名間で、農民の奪い合いが起こり、方や返せといい、方やこれを拒絶し、結構大変である。ときには、自分の親の領土に逃げ込んだりして、いろいろ親子間での農民の取り合いなんかもあったりする。
4 百姓一揆というのは、現代の感覚でいうと労働闘争に近い。
  この傾向は、江戸時代の後半でもあり、百姓一致は、ストライキやサボタージュ、一斉休業闘争やデモ行進みたいなことをしたりもする(場合によっては、公事師という今でいうところの弁護士というか事件屋というかそういう存在がからんで、法廷闘争もやったりする)。
  世の中なかなか変わるもんではない、今あることは、過去にもあるのである。

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紙の本

紙の本カペー朝

2009/08/15 15:40

カペー商店繁盛記

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1 本書は、フランスのカペー朝の各国王(といっても、初期のころは有力な地方領主程度の領地しかなかったり)について、その事績、特徴を紹介する本である。
2 私は、世界史が苦手である。中国史はまだいいのだが、あのカタカナの名前が覚えずらいし、さらに、ルイ1世だの、3世だの、誰が誰だかわからなくなるので、苦手なのである。とくに、本書のようなフランスの王様だと、ルイさんだの、フィリップさんだのが沢山いて、名前だけみると非常にわけがわからない。しかし、本書の王様をみると、同じ王様でもいろいろとあだ名がついており(尊厳王とか、聖王とか…肥満王とかありがたくないのもあるが)、また、事績もいろいろあって、面白い。やはり具体的な話のほうが頭に残りやすいのである。
3 カペー朝は、カロリング朝の後継だが、子会社社長兼本社重役が、本社の混乱に乗じて、のっとったようなもんだった。だから、ほかの重役連中も黙っておらず、また、カペー朝もかなりの期間、パリとオルレアン周辺の有力な地方領主程度の実力しか備えていなかったため、苦労していた。
 しかし、敵失や自国の体制整備を経て、次第に大きくなっていき、フランス王らしい勢力を拡張していく。
 小商店が次第に大店舗になっていき、支店を出して繁盛していくようである。
4 では、統治を継続する点ではどうだったか。カペー朝は、幸いにも各王様は(比較的)長生きで、しかも、後継ぎが生まれていた。さらに、前の王様が生きている間に王太子と共同統治を開始したため、当代が崩御しても次代がスムーズにあとを継げた。また、王妃の実家の相続関係もあり、領土もだんだん増えていく。
 しかし、これ結局、個人商店の限界なのである。いったん、夫婦や親子の間で確執が起きれば、それは妻の実家(大貴族)、敵対的な領主、イギリス方面の関係者、さらにはローマ教皇なんかも巻き込んで(というか進んで介入して)、またたくまに燎原の火が国土を焦がすのである。
 そして、最終的には、まさに個人商店的であるがゆえに、あまりにあっけなくカペー朝は終焉してしまうのである。
 なんか、今の中小企業とかでも聞きそうな話だなあと思った次第。
  
 
 

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紙の本

紙の本守衛長の見た帝国議会

2008/05/06 09:44

昔はよかった・・・のか?

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1 守衛長は、帝国議会(衆議院である)の院内警察の長である。主に、議会の警備や、議員の警護、傍聴人の整理なんかをやっていた(院内警察の一番偉いのは議長である。守衛長はその執行機関)。
 しかし、こういうことをやっていると、いろいろ出てくる。そして、警察というのだからお役所である。お役所なら、報告書がある。このような内々の報告書(事故録とか、守衛報告とか、守衛長報告とかいった)をまとめた上、解説を付けたのが本書である。早い話が、帝国議会の楽屋裏である。
2(1) 「帝国議会」というと、凄くいかめしい響きがある。「帝国」とつくと、なんか強そうなのである。また、議員は年齢上、江戸時代や、明治の生まれの人ばっかである。そうすると、雰囲気としては謹厳実直、気骨に溢れ、折り目正しい人ばっかのような気がする…ところが、そうはいかないのである。
 (2) 本書を見ると、議員間の殴打事件がやたらと多い、しょっちゅうその辺でボカスカやっている。当時、議員の周りには、壮士とか、院外団といったとりまきがいた。この連中いわば、議員・政党の私兵(公的には一応、護衛)であった。
 畏くも議員たる者、議会の壇上で一席ぶつだけではなかった。昔は、大雑把だった、しかも、ところは東京である、江戸っ子的蛮勇主義の総本山であった。檀上の興奮冷めやらず、思わず一戦交えちゃう連中もいたのである(なお、鳩山一郎内閣のときに院外団は廃止されたそうな)。
 (3) また、一般群衆も負けてはいない、門扉はやぶるは、傍聴席からビラだの金銭だの花札だの、さらには蛇、極め付けには馬糞を投げ込むは、心臓まひで倒れるは、わけわからんことわめき散らすは、ちっともおとなしくない。
3 他方、本書においては、歴史的な事件についても当然記載されている。関東大震災、虎ノ門事件、金融恐慌、普通選挙施行、満州某重大事件、2・26事件、太平洋戦争など、そのたびにいろいろ大変そうである。
 また、戦後の有名人もところどころに出てくる。大野伴睦が取っ組み合いになって殴られたとか、浅沼稲次郎が院内の面談室に突入してきて、柵を乗り越え労働歌を放吟したとかである。
4 こうしてみると、最近の衆参両議院というのは、行儀がいいですな。昔はよかったという話があるけど、多分に美化されている可能性はありますな。しかし、今でもこんなんだったら、国会中継はもっと視聴率が高いでしょうなと思った次第。

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血の気の少ない上級武士と血の気の多い歩兵隊

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1 本書は、江戸時代末期、徳川幕府が組織した歩兵隊(銃兵)の成立から終焉までを書いた本である。
2 何故歩兵隊が組織さればければならなかったか? 恐れ多くも徳川幕府は武家政権である。彼らの先祖は、血刀ひっさげ、硝煙捲いて天下を取った。しかし、200年たったら全く戦争できなくなってしまったのである。
 外国の戦術、兵器の流入で戦争の様相が一変し、それまであった日本の戦闘技術が役に立たなくなったのか? それも一つの要素であろう。本書には、譜代の大名が組織した軍隊が、旧式戦術、旧式装備だったため長州兵にコテンパンにのされたとの描写がある。しかし、これは、決定的ではない。もとはといえば、薩長土肥の連中だって条件は同じだったからである。
 では、薩長土肥の連中と、徳川幕府は何が違ったか? 結局、勇猛果敢、忠勇無双の三河以来の忠臣の末裔たちにやる気がなかったのである。
3 幕府は、洋式軍備を整えるため、兵学校みたいなものを作った。そしたら、旗本連中はどうしたか? 近代兵器なんて、野暮なものはちっともやらず、弓術とか槍術とかなんだか風流なものをやった。果ては、馬上雄々しく鎧を着けて、騎馬戦に興じて遊んでいた(かなり危険だったが)。こいつら頼りにならんと思って組織されたのが、本書に登場する歩兵隊である。
4 本書の前半は、この歩兵隊組織にかかわるドタバタである。後半は、その歩兵隊の奮闘、活躍、そして敗戦である。
 歩兵隊の多くはゴロツキの類で、素行不良、人相凶悪、風体劣悪、飲む、打つ、買うの三拍子であった。しかし、しかしである、彼らは、教練に励み、実戦を経てだんだんと立派な兵士になっていく。なお、素行はちっとも立派にならない、そんな修養は受けてない。
 ところが、ここでまた立ちふさがったのが、来歴は戦争の専門家の(はずの)お侍である。やっぱり幕府のオエラ方は戦争の仕方がまずい。決定的な場面で重大なミスを犯してしまうのである。
 その後、歩兵隊は転々流浪、行った先では厄介者扱いされ、活躍しても結局外様なので(幕府直轄なのに外様とはこれ如何に…)差別され、最終的には、北海道へと追い込まれる。
5 武家政権の最終段階における抵抗戦で活躍したのが、正真正銘の大身の武士ではなく、倶梨伽羅紋々のお兄さんだの、下級武士だのであったというのは、なんだかなあと思った次第。
 どうも偉くなると、血の気の多いこと考えること自体がよくないみたいですぜ。

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紙の本

これ一冊で会社法が完全にわかる!・・・とはえいないが、重要な道しるべを提供してくれると思う

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1 この本は、本の題名通り、「キーワードで読む」。したがって、話は個別的である。その個別の話を関連項目をつなげて書いていくことで、会社法の全体像へと迫る書き方である。
2 会社法において、この本の書き方が重要だと思うのは、会社法は、かなり分量が多く、内容が非常に複雑な法律であることがあげられる。
 六法をお持ちの方は見ていただくとわかるが、1文が非常に長く、読みずらい構成である(ちなみに、私が一番読みづらいと思うのは、租税法関係である。あれは、わけわからん上に、規則、通達とかあるから勘弁してほしい)。しかも、その1文の中には、委員会設置会社とか、自己株式取得だとか、募集株式の発行だとか、まあ、初めてみる人にはなんだかよくわからない話が目白押しである(実は、法律は全部、初見では意味がわからないようになっているのだが)。
 このわけのわからない文言をキーワードごと区切って、その意味や趣旨、手続き、関連事項を、1つあたり2ページ程度で解説してくれている本である。
3 この「2ページ程度」というのがきわめて重要である。必要な知識がつまっており、しかも、あまり時間がかからず読める。会社法を勉強しなければならない人というのは、あんまり時間がない人が多いが(企業の人とか、司法試験する人とか)、キーワードごと区切って、必要な知識を習得するということができ、大変便利である。
 また、キーワードごと区切ってあるので、当該キーワードが別の概念とごっちゃになるような事態も避けやすく、整理して勉強できると思う。
4 ただ、分量が2ページなので、より詳しく勉強したいとか、もっと具体的なことが知りたいという人は、江頭会社法とか、百選とか読んでください。でも、難しい本からやっても、わけがわからない場合が多いので、できるだけ整理された本から読んだほうがいいと思う。
 知識を定着させるためには、この本を繰り返し通読するとよいと思われる。
 

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