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ブライアンさんのレビュー一覧

投稿者:ブライアン

23 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本言われた仕事はやるな!

2008/10/27 00:28

起業の方がリスクが少ない

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

ついに株式公開を果たしたネットイヤー代表取締役にしてMBAホルダー、シングルマザーとさまざまな顔を持つ著者のパワフルな半自伝的仕事論です。スタンフォード大学を卒業するところから物語が始まりますが、そこの始まり方から日本で安穏と暮らす大多数にとっては異様な価値観をぶつけてきます。


「大企業のマネージャー職と起業の2つを天秤にかけ、起業の方がリスクが少ないから起業を選んだ。」


自ら進路を選択し、自己責任で結果を出してきた著者にとって、新卒当時での男女雇用機会の不均等などは問題にならないほどのハードルだったことでしょう。多分に苦労があったハズなのに、さらりと経歴を流しながらブラザー工業の海外営業⇒外資投資銀行⇒スワロフスキーの事業立上げ・・・といったキャリアを経て、スタンフォード大学MBAに入学したときから彼女の人生観は一変するのです。


GoogleやYahoo!など、数多のIT創業者を生み出すスタンフォードについて、外から目線の訳知り顔で解説した本はたくさんありますが、その内部を詳細に語った本はほとんどありません。貴重な経験談と女性ならではの観察眼から世界のITをリードするスタンフォードの強さを語っている希有な本と言えるでしょう。個人的に面白かったのが以下のエピソードです。

  ■スティーブ・ジョブズがアップルをクビになったときの話

  「自分には双子の弟がいて、そいつがこの(解任を告げる)電話を
   取っているんだと思った。
   これは自分に起こったことじゃないと自分に言い聞かせた。」
  と彼は静かに語った。それ以上、口を開くものはいなかった。

  私たちはシリコンバレーが失敗を許してくれることを学んでいた。
  ジョブズだって失敗する。
  しかし、ジョブズにさえ、失敗を受け止めることは、
  簡単なことではなかった。



  ■スコット・マクネリ(SUNの元CEO)の起業に関する講演

  「起業したい奴は手を挙げろ」
   ⇒200名ほどいた学生のほとんどが手を挙げた。

  「この中で自分は起業に成功すると思っている者だけ、手を挙げ続けろ」
   ⇒半分くらいの手が下がる。

  「今、手を挙げている者で、成功する理由、自分がなぜ
   成功すると思うかを言ってみろ」
   ⇒ビジネスプラン?リーダーシップ?違う、100%運だ。

  「心配するな、運がなくたっていい、失敗してもいい。
   起業なんてリスクじゃないからさ」
  「起業して失敗する。それで無くすものなんて知れている。
   わずかばかりの自己資金か?ベンチャーキャピタルを損させることか?
   そんなものはリスクじゃないぞ。本当のリスクとは…
   会社が大きくなることだ。
   自分が背負いきれないほどの従業員とその家族、株主を抱えること。
   それが本当のリスクだ。」

   起業なんてスタート地点だ。株式公開なんて途中経過だ。


起業を志す人のみならず、すべての職業人にとって彼女のような強さは羨ましく映ります。それよりも、彼女自身が失敗は経験に過ぎない、挑戦することに意味を求める(Good Try!)のオプティミズムを具体例を交えて語る姿勢は非常に魅力的です。言われた仕事はやるな!好きな仕事は自分で作り出せ!そんな叱咤激励が聞こえてくるようです。

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なぜ、あの人に悩みを打ち明けてしまうのか?

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

子どもの頃から、なぜか話を合わせるのが上手い人って居ましたよね。そして大人になっても占い師だったりセラピストだったり、悩みを聴くことを商売にしているような人々もいたりします。いつの間にか悩みなどを打ち明けていたり、気分がよくなって話しまくってしまったり、いわゆる“聞き上手”な人というのは生まれ持っての才能なのでしょうか?


コールド・リーディング―Wikipediaより
コールド・リーディング(Cold reading)とは話術の一つ。外観を観察したり何気ない会話を交わしたりするだけで相手のことを言い当て、相手に「わたしはあなたよりもあなたのことをよく知っている」と信じさせる話術である。「コールド」とは「事前の準備なしで」、「リーディング」とは「相手の心を読む」という意味である。詐欺師、占い師、霊能者などが相手に自分の言うことを信じさせる時に用いる話術であるが、その技術自体はセールスマンによる営業、警察官などの尋問、催眠療法家によるセラピー、筆跡鑑定、恋愛などに幅広く応用できるものであり、必ずしも悪の技術とは言えない。


コールドリーディングは、表層的な情報から内面を聞き出していくテクニックです。誰にでも当てはまりそうな質問=ストックスピールを投げかけ、それに対するリアクションによってより深い部分を洞察していくという方法は少なからず対人関係のある環境の現代人にとって有効でしょう。そのストックスピールのネタについて、指になぞらえて「親分肌」、「人が好き」、「現在」、「情緒」、「赤ちゃん」というファクターに分類することで瞬時に引き出す方法が書かれています。そして当然、人間には相反する要素として「職人肌」、「人が苦手」、「過去&未来」、「理論」、「自立」といった性質がありますから、反対側の指からはこれらに関する話題を振ればよいというわけですね。


例えば合コンで話題を切り出す場合、

 ・親分肌=頼まれて何だかイヤと言えないことがあった
  ⇒ そりゃ世間体的に無下には断れんでしょ

 ・人が好き=みんなでワイワイ盛り上がるのが好き
  ⇒ そもそも合コンには来ないわな

 ・現在=今、ハマってるものがある
  ⇒ まぁ、何かしらは習慣化してますわ

 ・情緒=結構感動したりすることが多い
  ⇒ 人生1度や2度はあるもんです

 ・赤ちゃん=急に笑ったり寂しくなったり
  ⇒ 思い出し笑いを推奨してみます

というようなカンジでほとんどすべての人に当てはまるような話題を波状攻撃で仕掛けることによって、相手の内面まで切り込んでいくことができます。それによってある程度相手の性格を把握することができますし、相手からは何だか共通点があると認識してもらい、親近感を抱いてもらえるというわけです。


これらをどんどん発展させていけば、細●数子や江原■之といったプロにも匹敵するような話術を身につけることができます。もちろん、人を騙したり誘惑したりする悪事にも活用できるテクニックではあるんですが、そもそも人は誰かに自分のことを話すのが好きな性質がありますから、なるべく誰かと仲良くしたい、というときに使うとよいかと思います。


あ、早速「誰かに自分のことを話すのが好き」なんてストックスピールを使ってしまいましたね。まったく、油断も隙もあったもんじゃないですよ、この人は。

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上手い人には理由(ワケ)がある

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

「上達」という非言語的ノウハウを明文化するという挑戦的な本です。もともと上達のコツとか、何だか知らないけれどどんなこともそこそこ上手にこなせる人って少なからず居たりしますね。そんな“上達の達人”がどんな理屈で短期間に上達するのか、そのメカニズムが書いてあります。


著者は文中から音楽(バイオリン)、将棋、茶道といった仕事とはあまり関係のない趣味分野での“上達”を引き合いに出しながら、自分自身の体験に基づいた上達の仕組みを明示しています。スキーマの発達、チャンクといった専門的?な言葉も多く出てきますが、要するにあまり意識せずに一連の行動がスムーズに行なえるようにすることが重要であると説いています。


そしてそのスキーマを発達させるために有効なのが、反復練習や暗唱といった愚直な努力であり、無意識レベルで反射できる体制を構築することが中級者と上級者の違いとなります。上達は断続的に起こるものであり、一見上達していないスランプの時期にも継続できる能力が必要となるのです。


そうすると世の中で高学歴や体育会系といわれる、反復練習を多く経験してきた人材が重宝される理由も分かります。これら「上達の法則」は普遍的なものであり、一つのことである程度上達できた経験を持つ人には知らず知らずのうちにスキーマ構築の仕組み=「上達の法則」が出来上がっているわけですから。

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16歳も、16歳だった人も。

13人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

16歳-主に中高生向けに書かれた本です。その執筆者が豪華!ドラゴン桜で実際に講師として出したい人たちを選んだということで、東大に入った生徒たちが“東大入学後”にどのようなことを学んでいくのかという視点で、16歳の時点での進路相談の材料とするために書かれた本です。


子どもの頃によく考えた疑問としては、二次方程式やら微分積分やら数学の小難しい理屈を学んで何の役に立つのか、ということでしょう。それが現在社会の職場においては重要となっているロジカルシンキングやクリエイティブな発想の訓練であるというのは後々分かってくるようなことです。アイディアをブレストしていく過程なんかはまさに因数分解ですし、微分積分のように前提条件を変えることによってデータの質が変わるといったことは普段生活する上での知恵にも繋がります。


オイラも30歳を迎えて、あれほどアレルギーを持っていた歴史や政治経済に対して関心を持つようになりました。自分自身のことしか考えていなかった頃に比べて、周りを見る余裕が出てきたのでしょうか。そして、国家や社会の成り立ちについて深く洞察するべきタイミングに来ているのかもしれません。


日教組がどうだとかニュースで騒がれている昨今ですが、子どもの教育に対して最終的な責任は親が持つべきだと考えます。そのためには親自身が正しい情報を子どもに与える必要があるわけで、メディアや有識者といった人々の言葉を鵜呑みにしないリテラシーが求められます。


まずは16歳に戻った気分でオトナが読むべき教科書です。

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著者に敬意を持つことが最高の読書法

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

速読法やフォトリーディングなど、本を早く読む方法は数多ありますが、そのインプットを的確にアウトプットに繋げるところまでフォローした本は残念ながらありませんでした。「スピード読書術」はフォトリーディングをはじめとした速読法の類いというよりも、読書に対する心がけといった部分から、なるべく“身に付く”読書をする方法について書かれた本です。


01 本をツール化する習慣を身につける
02 情報感度が10倍高まるスピード読書術
03 読みたい本がすぐに見つかる選書術
04 対話力を高めるコミュニケーション読書術
05 論理的思考力が身につくロジカル読書術
06 発想が豊かに広がるアイデア読書術
07 どんどん自分を表現できるアウトプット読書術


本というのは目的に応じて読み方を変えて然るべきであり、恐らく購入に至る理由というのも何かしらの知識やメリットを得たいからこそ、読むという行動へのモチベーションが生まれます。


今はWebや様々なメディアを通じて数多くの情報が入ってくる時代ですが、そんな環境でどうして本を読むのかといえば、一言でいえば本が「濃いエッセンス」であるからでしょう。著者が自分の人生を通じて感じたこと、教訓などを全身全霊で文字にして表現したものが編集され、出版に至るワケですから、この書評のような個人が勝手な所感をまき散らしている情報とはレベルが違うのです。


そう、著者に対して敬意を持ちながら読むことこそが最も読書を“効果的”に行なう方法です。そんな「スピード読書術」は題名とは違い、著者の本に対する愛情が感じられる良書です。

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ラッキー☆ガールに出会えた

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

今年は北京オリンピックの年であり、同時期に北京パラリンピックも開催されました。佐藤真海選手は女子走り幅跳びの日本代表として、アテネに続いて出場しました。パラリンピックはどうしてもオリンピックに比べて注目度が落ちてしまいますが、実際我々がオリンピックを観戦する動機としては感動を期待する部分が大きいですね。その意味で言うと、むしろパラリンピックの方が選手のドラマを等身大で感じられる大会なのではないかな、と思いますね。


佐藤選手は20歳のときに右足首に悪性腫瘍ができたため、厳しい抗がん治療の末に右足の膝から下を切断という、妙齢の女性にとっては死の宣告にも等しい身体的ハンディを背負いました。その後、大好きだったスポーツを続けたいという熱い想いから再び陸上競技を始め、アテネパラリンピック出場、そして北京へという彼女の自叙伝として北京パラリンピック直前に発売されたのが本書です。


アメリカには、アファーマティブアクション=積極的差別是正という、マイノリティを優遇する措置が存在します。黒人や女性などに対して事前に枠を設けることによって、例えば大学に入学しやすくしたり公務員の職に就きやすくするといった逆差別とも言われる機会の平等を演出する仕組みがあるのです。


恐らく、佐藤選手は足を切断しなければ国際大会に出場するようなアスリートに選ばれることはなかったでしょうし、もしかしたらサントリーにも入社できなかったかもしれません。身体的なハンディキャップを背負ったからこそ、彼女の前に扉が開かれたと考えることもできます。しかしそれが何なのでしょう?自らの運命に向き合い、目標を持って努力する彼女の姿をそんな陳腐な理屈で片付けることに何の意味もないのです。


佐藤選手は自らを“ラッキーガール”と呼びます。様々な人々に助けられ、機会をもらって素晴らしい競技人生を歩んでいる幸福なアスリートであることを自覚し、周囲の期待に応えるために努力をしています。そして自らの役割を障害者スポーツへの理解と普及促進と決め、Blogやこのような本の執筆を通じて積極的に情報公開を行なっています。


誤解を招く表現になるかもしれませんが、五体満足で毎日食べる食料が保障され、キチンと屋根のある場所で寝られるという環境は世界でも20%程度の人々しか享受できません。日本では当たり前となっている生活環境は、ある国の人々にとっては天国にも思える場所です。格差社会だ不景気だと思考停止をして現状に不満を持つことは、とんでもない特権階級のなかの不公平感でしかないのです。


あなたがこうしてインターネットを通じてこの書評を読んでいることは、ほとんど奇跡に近いです。識字率が100%でインターネットのインフラも整備されている日本において、情報に触れる機会は誰もが平等に持っているのです。この国に生まれたあなたはホントにラッキーです。「神様はその人に乗り越えられない試練は与えない」、佐藤選手の言葉をもっと多くの人に知ってもらいたいですね。

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紙の本傷つきやすくなった世界で

2008/10/27 00:36

言葉のシールはあなたのすべてを表すものではない

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

石田衣良さんがR25に連載しているコラムをまとめた新書で、1つ1つのコラムが短いので電車に乗っている間など細切れ時間に読むのに最適です。


内容としては2006~2008年の時事的な話題から石田さんが注視する雇用や格差の問題、そこから派生する人間社会の在り方を描いています。といっても上から目線というよりは働き詰めなR25世代を心配する良き兄貴分みたいな論調で、ときには客観的にR25世代が置かれている立場を俯瞰するような、ときには自身の経験を織り込みながら、読んでいるうちに励まされているような気分になる本です。


個人的に参考になったのが、「究極の難問、先輩後輩」のコラムです。一般的には地位も権力もある先輩寄りになってしまいがちなところを、敢えて後輩の味方をしよう、とR25世代に呼びかける内容で、それこそが“情けは人の為ならず”いずれ自分自身が歩いていく道を造っていくと説いています。


傷つきやすくなった世界は、「格差」や「勝ち組負け組」といった昔はなかった言葉の出現によって、我々の潜在意識にあった劣等感や自意識が顕在化したものと言えます。でもそんな言葉のシールはあなたのすべてを表すものではない、そんな著者の励ましが背中を押してくれる好著です。

I
心まで格差をつけないで
「でも」の年
世界を切り取ろう
迷う力のすばらしさ
ラブ・キャンペーン
「いやらしい」を表現しよう
植物化する男たち
青いランドセル

II
新しい人よ、きたれ
究極の難問、先輩後輩
残業大国ニッポン
残業禁止法、制定
ユニクロの勇気
社長、それはないよ
大転職時代をひかえて
今目の前にある貧困
心のタフネス

III
怒りのネンキン
産む機械、はたらく機械
選挙にGO!
ミステリー辞任、KY辞任
猛暑の星
M氏の過失
靖国参拝に未来はあるか
ケンポー・パッシング
子どもマーケットの奴隷たち

IV
エッセイって、なに
カメラマンデビューの日
日本代表は日本人
牛丼マイウェイ
ハイテク買い物天国、ニッポン
熱狂の日の子どもたち
大人になったら音楽を聞こう
ハイヤーの趣味人

V
ようこそ先輩
大人の真剣な遊び、下北サンデーズ
インタビュワーを、インタビューする
地方発の文学賞
女子アナ的世界
作家と遊ぼう 推協60周年イベント
10年に一度の、作家祭り
今年は「できません」
新しい街、新しい生活
ネットを遠く離れて

VI
絶対おかしい
今年を代表する1字
てのひら返しのアップ&ダウン
知らなくていいこと
ハートをつなごう
いじめられているきみへ
傷つきやすくなった世界で

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紙の本草食系男子の恋愛学

2008/10/27 00:19

たったひとりから愛されるために

7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

非モテ系と呼ばれる、自分に自信がない若い男性に対して非常に親切な本です。あいさつする⇒雑談する⇒デートに誘う⇒心を通わせる⇒告白する といったプロセス毎に“草食系男子”が採るべき心構えを丁寧に記載しており、モテ=不特定多数の異性から好意を抱かれる ではなくたった1人の大切な人に対してどのようにアプローチするかを説いています。


ネット上の掲示板などでは、「イケメンに限る」や「スイーツ(笑)」といった表現で恋愛に参加できないルサンチマンに溢れたコメントが散見されます。つまり、恋愛は一部の勝ち組の男女によって行なわれる行為であって、見た目も悪くて学歴も低く、年収の少ない自分とは別世界の話であるという劣等感に支配された若い男性がかなり存在するのではないかと思います。


第3章の「成長したいと願い、夢を持つこと」は、そんなコンプレックスの固まりな若者たちに対して語りかけるような文体で、劣等感を成長への材料に変える方法、他人と比較する心を脱却すること、自分が一生をかけて取り組んでも後悔しない活動を見つけること、ありのままの自分を受け入れることによって生まれる余裕という魅力、、といった具体的アドバイスが並んでいます。


そういやオイラも、Blogを始めたきっかけは「他人と比較する心を脱却すること」だったなぁ、なんて振り返りながら日々の発見や気づきを積み重ねて早や8年、自分基準で世の中の矛盾を指摘するような勘違い君に成長しました。そんなオイラ独特の視点を面白がってくれる女性もたくさんいますし、これは一般的傾向かもしれませんが20代後半以降は女性の方から食事などに誘われるケースが多くなってきました。


そんな自分の経験を振り返ってみても、著者の“非モテな若者”に対するエールには100%賛同しますね。なぜなら著者も自らの暗い青春について、臆面もなくエピローグで語っているからです。こんなに誠実で、信頼できるオトナが他にいるのでしょうか?

  当時の私には、将来に対する何の展望もなかった。
  大学にはまったく行かなかったし、親友も恋人もいなかったし、
  華やかなことは何一つなかったし、就職しようという気持ちも
  まったく湧いてこなかった。留年したこともあって、
  田舎にいる親との関係も悪化した。

  自分には将来がまったくない、と心の底から思った夜、
  私は学生住宅の屋上に駆け上がって夜空の下で逆立ちをした。
  私の腕は自分の体重を支えることができず、私は屋上に
  大の字になって崩れ落ちた。自分は何なのだろうと思った。
  このまま人生は終わっていくのだろうかと思った。
  そのときの絶望感は、とても言葉では言い表しようのないものだった。
  前向きに生きようという気持ちが死に絶えて、もうこのまま
  どうなってもいいんじゃないかとしか思わなかった。
  灰色の時間が、ただ過ぎてゆくだけだった。



どーせ非モテの自分には関係ない、リア充が自己満足で書いているんだろ、とか思ってしまいがちな自己欺瞞ボーイに是非読んでもらいたい良書です。

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成金になってから慈善をしましょう

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

カリスマ・マーケッター、神田正典氏の成功ノウハウ本です。師匠からの推薦図書だったので読んでみました。このような成功ノウハウ本の多くは成功者の結果論だったりすることが多く、個人的に読んでもまったく役に立たないことがほとんどだったのですが、どちらかといえば敬虔的ではなくぶっちゃけなカンジで書かれているので取り組みやすい方法論だと感じました。


例えば「嫌な相手には営業するな」という論理は、一般的な考え方からすればかなり異質でしょう。普通であれば、嫌な客でも誠意を持って話をすれば通じるとか、何かしらキレイゴトを並べてある本が多いですね。ただこの本は、読み進めていくうちにこういう考え方もあるのだ、と営業に対するイメージのコペルニクス的転回を得られることは意識を変えるきっかけとなります。


惜しむらくは、フォトリーディングやテープでの学習法など、自らのマーケティング理論への我田引水の部分が鼻に付く印象です。もちろん役に立つからこそ広めているのでしょうが、具体的にどのように活用すべきかのイメージが湧かなかったので半信半疑な受け取り方になってしまいました。


いずれにしても、これまでの在り来たりな成功法則の視点を変えるためには役に立つ本だといえます。これからは個人の時代だといえますから、すべてのビジネスパーソンに対して読んでおいて損はない本だと思いますよ。


■成功は「悪の感情」から始まる
・魔法のランプのこすり方
・なぜ成功者のアドバイスは、障害になるのか
・お金と心の問題を切り離す
・凡人から脱するための2ステップ戦略

■やりたくないことを見つける
・成功者が誰にも教えないこと
・よい目標と悪い目標
・私に30分くれ!本当の自分に気づくはずだ
・「やりたいこと」「やりたくないこと」に決着をつける
・さらにミッションを見出す
・自分のミッションを見出してみる
・なぜ紙に書くと実現するのか?
・成金と凡人の会話1

■自分にかける催眠術
・現実をコントロールするか、されるか
・眠る前にニタニタする
・年収を10倍にするカギ
・さらに加速化するためには
・目標の形式をチェックする―SMARTの法則
・目標を毎晩10個書く

■自分に都合の良い肩書きを持つ
・成金と凡人の会話2
・なぜ通常の成功法則は、うまくいかないのか?
・あなたのコンピュータの性能をバージョンアップするには?
・一瞬にしてスーパーマンになる肩書きの威力
・年収10倍のためのセルフイメージ

■非常識的情報獲得術
・センスのある人の共通点
・カセットテープが奇跡を起こす
・究極の勉強法「フォトリーディング」とは?
・フォトリーディングは誰にでもできる
・ひらめきを得るには順番が大事
・「乗らないと損と思える提案」で成功者の扉を開く
・クリックされたように世界が変わる

■殿様バッタのセールス
・成金と凡人の会話3
・営業マンは、悪女のように集めて、切る
・興味のある客に手を挙げさせるには?
・今度は、集まった見込み客を見極める
・「断る営業」が凡人にとって効率的な理由
・自分の客としてふさわしいか、お客を面接する
・ふさわしくない客を見分けるには?
・顧客リストは真空を嫌う

■お金を溺愛する
・お金の習性を知っているか?
・お金の匂いを嗅ぐ効能
・お金に対する罪悪感はこうして消し去れ!
・お金が入る流れを一日も早く作る
・お金に嫌われない、お金の使い方
・自分がほしいだけの年収を得る方法

■決断は、思い切らない
・成金と凡人の会話4
・成功オタクが成功できないわけ
・新しい自分になることを決断するには?
・シナリオを作る思考プロセス
・タイムマシンに乗って将来と現在の溝を埋める

■成功のダークサイドを知る
・私が知らなかったこと
・成金と凡人の会話5

・おわりに

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紙の本21世紀の国富論

2008/10/25 22:05

これからの日本の方向性を示すバイブル

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

アメリカ・シリコンバレーでベンチャーキャピタリストとして活躍されている原丈人さんの著書で、主に技術的なイノベーションの観点から21世紀の日本が歩むべき道を予見しています。イトイさんとの対談も非常に面白くて注目していた方で、その青眼ぶりには感服いたしました。


20世紀最後の10年に、インターネットは爆発的に広がりました。IT革命ともてはやされ、日米でITバブルが起こり、数多くの企業が勃興しては消えていきました。ただ、それらのビジネスモデルの多くはパソコンというプラットフォームを前提としており、主に計算をするために進歩してきた機械を使っているに過ぎません。そのためほとんどのITビジネスと呼ばれるものが、既存のリアルビジネスの流通やマーケティングをインターネットに置き換えただけのサービス業そのままなのです。


これらはアメリカ型の短期的な金融指標に基づいた資本主義の弊害といえます。つまり、経営者や株主が短期的なリターンを求めるあまりに長期的な研究開発が必要なイノベーションに十分な投資ができておらず、表層的なマイナーチェンジが多くなってしまった結果、パソコンという40年も変わらないインターフェースを使い続ける羽目になってしまったというわけです。


そこで原さんはPUC(=パーソナル・ユビキタス・コミュニケーションズ)という概念を提唱し、今後は計算を志向したパソコンではなく、あくまでコミュニケーションを志向した端末がインターネットの主役になると説いています。

「あなたのパソコンは、電源を入れてから実際に利用できるようになるまでどのくらいかかるだろうか。30秒?1分?コーヒーを淹れるために席をたって、戻ってきたぐらいがちょうどいい頃合い、という人もいるかもしれない。そして多くの人はこの状況を変だと思いながらも、コンピュータに自分を合わせているのではないだろうか。 」

そのPUCによるユビキタス社会をいち早く具現化するのが、光ファイバーによるブロードバンド化世界一を達成し携帯電話を中心としたコミュニケーション文化が発達した日本に他なりません。我々がコンピュータに合わせて生活する時代は終わり、コンピュータが最適な形で自然と我々の生活をフォローしている時代が来るのです。


実際に網膜ディスプレイのようなウェアラブルコンピューティングのイノベーションもはじまっています。WiMAXや4Gの新しい通信規格の普及によって、車や家電、日用雑貨に至るほとんどのものがインターネットに繋がる時代はすぐそこまで来ています。我々はそれによって便利になり、コンピュータに合わせる必要がなくなれば時間にゆとりのある生活を送れるようになるハズです。


そのようなフラットな社会において、今後はピラミッド型の命令系統を有した大企業の存在意義は変わってくることでしょう。実際にオープンソースといったアメーバ状の組織が様々なプロダクトを作り出しており、事業会社はこれらに投資するリスクキャピタルとしての働きを担うことになります。それが新しい資本主義の形として、継続的なイノベーションを支えていくものです。


それは、オイラが今の会社に入社するときに言ったことそのままだと気づきました。イメージとしてはオイラは釣りをしながら、頭のなかで思い描いた資料などが瞬時に自動的にアウトプットされて自宅や会社のサーバに蓄積される未来です。人間を地理的、時間的制約から開放し、より自分らしいライフスタイルを送れるような社会を構築することが現在のIT産業に課せられているのだと想いを新たにした次第です。


目次:
はじめに
第1章 新しい資本主義のルールをつくる
第2章 新しい技術がつくる新しい産業
第3章 会社の新しいガバナンスとは?
第4章 社会を支える新しい価値観
第5章 これからの日本への提言

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あなたも読んだ方がよい、と弾言しよう。

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アルファブロガー・小飼弾氏の持論について、ヒト、カネ、モノという人生のリソース管理を行なうためのバランスシートとしてまとめた本です。自分自身の筆頭株主として個人がどのように世の中を渡っていけばよいのか、著者ならではの独特で明快な論理が「弾言」としてまとめられています。


まずヒトについて。
ヒトとは時間という有限資源を、自らのルールにおいて自分自身の価値を高めていく存在であると定義しています。その意味において、時間当たりいくらというような働き方はモノ扱いされているだけであり、正社員であろうがフリーターであろうが変わらないという認識です。実際にオイラも、たとえ正社員だろうと他者と代替可能な仕事をしている限りはいずれは外国人や機械に置き換えられるものであると考えています。自分しかできないものでなければヒトとしての価値は向上しない、そのためには自分自身について探求する時間が必要であって、残業やらテレビやら飲み会やら無目的に過ぎていく時間を極小化しなければいけません。


次にカネについて。
カネとは目に見える金=マネーのみならず、自らの思考や行動に関する利益とコストを定量化する考え方を指します。このカネが多い方が人生の自由度が増し、多くの選択肢のなかから最適な解を選ぶことが可能となります。もちろん現金などの資産があるに越したことはないのですが、それよりもどんな状況でも稼げる能力と最低限のコストで生きていける生活能力を重視するべき時代に突入しています。カネはあくまで様々なヒトやモノと交換可能なツールであって、目的にはならないというわけです。


最後にモノについて。
モノは有限であり、墓場には持っていけません。なのに人間はマイホームやブランド品など、モノに執着する傾向があり、自然から資源を搾取した上で欲望を満たしています。その結果、環境エネルギー問題が顕在化しているわけですが、それら諸問題はルールを変えることによって解決すると説きます。実際に資源のエントロピーが増大することによって廃棄物となるのですが、エントロピーはエネルギーによって下げることができます。つまり、エネルギー問題さえクリアすれば従属的に様々な環境問題が解決していくと考えられます。


これらの独特の視点から、近未来的な見通しが浮かんできます。ベーシックインカムによる必要最低限な社会保障と、適正な富の再配分による若年層チャレンジの醸成、太陽エネルギーの開発による持続可能な社会という仕組みづくりが見えてきます。その上で人間が自分らしく時間を過ごし、ヒトとヒトのネットワークが拡大していく世の中が近い将来に実現するのではないかという希望が持てます。


小飼弾氏のブログと同じくサラッと読み流せる内容でありながら、あるきっかけで気づいた瞬間に読み返せる「弾言」の数々、特に若い人たちには本棚に置いておいてもらいたい内容ですね。


第1章 ヒトpart1―自分の価値を「見える化」してレベルアップ
  (自分で打てる手はいくらでもある 暮らしがキツいのは、モノ扱いされているから ほか)
第2章 カネ―相互理解のツールとして戦略的に使いこなす
  (カネの誕生 カネは相互理解のためのツール ほか)
第3章 ヒトpart2―ネットワークにおける自分の価値をアップする
  (コネの価値はいくら? コネを「見える化」するのが会社 ほか)
第4章 モノ―「本当は所有できない」ということを理解する
  (増やせないのがモノ 石油がなくても自然破壊は起こる ほか)

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儲からない事業は悪である。

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本を読むことはおススメしません。世の中の経済の様々な仕組みが分かってしまい、ただコーヒーを飲むだけでもいろいろ損得を勘定してしまうようになりますから(笑)


一生懸命働いているのに、生活は一向にラクにならない。。金融危機で売上げも給与もどんどん減っているのにどうしよう!じっと手を見るだけで何か変わるのでしょうか?そんなビジネスパーソンに対して、この本は1つの解を示しています。顧客の収益性を上げて、その顧客を維持できればビジネスは非常に安定します。そんなビジネス戦略が具体例を伴って体系的に紹介されている本です。


この本のメソッドは、むしろソーシャルベンチャーに必要な内容かもしれません。社会的に必要であるにも関わらず、ビジネスモデルがよくない、資金調達ができない、、といった理由で退場していく事業が多いのは、私たちの社会の損失なのですから。 幸いにも、著者の竹内さんはホームページを開設していて、そのノウハウを無料で提供しています。


あなたはどうして、コーヒーを売っているカフェでサンドイッチなどの軽食が売られているか、分かりますか?

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これは単なる農業の話ではなく、起業です。

16人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

これは単なる農業の話ではなく、起業です。それも既存の常識を劇的に転換した、革命的な出来事を青森の片田舎のリンゴ農家がやったという、とんでもない物語なのです。主人公は木村秋則さん、歯がまったくない、でもいつも笑顔なおじいさんです。


本を読む【Before】
・リンゴなんて変わり映えしない果物で何が奇跡なんだろう?
・農業だから、まぁ将来的には関わることはあっても、
今すぐ必要な話ではないか。

本を読んだ【After】
・これは、すべての働く人たちが読むべき、人生譚だ!
・常識を打破するところに、新しいビジネスが生まれる。
起業家として、勇気づけられた。


まず前提の知識として知っておいてもらいたいことは、リンゴの栽培過程において農薬が不可欠となっている“常識”です。リンゴは18世紀はみかん程度の大きさで、酸っぱかったり固かったり、それほど好まれて食べられていたものではありませんでした。それが明治時代に西洋リンゴが入ってきて品種改良が加えられ、現在のような甘い大きな果実になったということです。そんな甘い大きな果実を害虫が放っておくわけがありませんから、農薬を使わざるを得ない果物として「無農薬のリンゴ」は不可能であるというのがこれまでのリンゴ農家の常識でした。


>木村が経験したことは、すでに100年前の先人たちが
>経験していたことでもあった。はっきり言ってしまえば、
>焼酎やワサビを散布したくらいで対処出来るなら、誰も苦労しない。
>明治20年代から約30年間にわたって、全国の何千人という
>リンゴ農家や農業技術者が木村と同じ問題に直面し、
>同じような工夫を重ねてきた。何十年という苦労の末に、
>ようやく辿り着いた解決方法が農薬だったのだ。


この辺りの試行錯誤に関する取り組みは、起業家と共通するものです。あるアイディアを思いつくと、それは世の中を変える画期的なものだと安易に考えてしまうのはオイラ自身も経験のあることですが、世の中には同じようなことを考えている人は絶対に存在します。それがなぜ出来なかったのか、結局現状はどうしてこうなっているのか、そのような形でゼロベース思考まで到達しなければいけないという示唆に富んでいる内容です。

>肥料というものは、それが化学肥料であれ有機肥料であれ、
>リンゴの木に余分な栄養を与え、害虫を集めるひとつの原因
>となるということだ。肥料を与えれば、確かにリンゴの実は
>簡単に大きくなる。けれど、リンゴの木からすれば、
>安易に栄養が得られるために、地中に深く根を
>張り巡らさなくてもいいということになる。
>運動もロクにしないのに、食べ物ばかり豊富に与えられる
>子どものようなものだ。


リンゴの果実はそのまま人間にも当てはまります。我々は豊かな経済社会を手に入れて果たして幸せになったのか?幸せと胸を張って答えられる人がどれだけいるのでしょうか?ここまでの考えに至るまでに、木村さんは40年間の壮絶な試行錯誤を行なっています。『私はリンゴの葉と、自分の歯を引き替えにしたんです』と語る木村さんの姿に、読者は感動を覚えることでしょう。機会があれば、木村さんのお話を聴きに青森まで行ってみたいものです。

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君はなんでそんなに幸せな環境にいるのに、やりたいことをやらないんだ?

15人中、15人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

今、オイラの手にはバングラディシュ製のバッグが握られています。マザーハウスという小さなブランドが作ったジュートでできたオレンジ色のバッグ。柔らかくて軽くて、非常に気に入っています。


マザーハウスは途上国から世界に通用するブランドをつくる。という理念から、バングラディシュ製のカバンを日本にフェアトレードし、現地のビジネス創出や雇用環境改善を働きかけている会社です。そんなマザーハウスを創設した山口絵理子さんの自伝的著作が『裸でも生きる』です。幼少時代から波瀾万丈の学生時代、そしてバングラディシュに単身乗り込んでどのようにビジネスを立ち上げていったのかが描かれています。


最初にマザーハウスを知ったときには、「どーせどっかの雑貨ショップみたいに東南アジアの安い雑貨を大量に買い付けてきてテキトーに売ってんだろ」くらいのイメージでしかありませんでした。それが実際にバングラディシュで工場を探して、自らデザインをして、品質までしっかりと保証するといったバッグ1つに対して並々ならぬ企業努力を行なっていることが分かり、一気にファンになりました。


実際にマザーハウスのバッグはそれほど安くありません。でも品質もデザインも素材もその辺に溢れているバッグとは根本的に異なり、オイラのような個性を重視するタイプの人間にとっては非常に魅力的かつリーズナブルに感じるような商品です。実際に仕事で使っているビジネスバッグも、「さわやかだね」とか「使いやすそう」とかよく言われます。


そう、それこそがビジネスを継続して成立させる努力として品質やデザイン、機能性に至るまで徹底的にこだわり抜いた結果なのでしょう。今や直営3店舗、全国の百貨店やセレクトショップにまで展開するようなブランドに成長しています。そしてこれらの売上げは再びバングラディシュに還流され、現地の雇用拡大やビジネス創出、さらには国際展開まで支援するような流れに繋がっています。


社会起業がボランティアと違うところは、慈善事業だから品質がイマイチでも、、といった甘えが一切ないところです。ビジネスはビジネスとして品質が担保されて当然であり、継続的にキャッシュフローが回っていく仕組みこそが不確定要素を排除して安定的に社会発展に貢献し続けることができます。


「君はなんでそんなに幸せな環境にいるのに、やりたいことをやらないんだ?」最低限の衣食住が保障されている日本社会において、この問いにキチンと答えられる人は何人いるのでしょうか?他人にどう見られ評価されようが、たとえ裸になってでも自分が信じた道を歩く、山口絵理子さんの姿はこれから益々輝きを増していくに違いありません。

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キングダムに感じた、日本人の死生観

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友人からの推奨もあり、キングダムを読みました。現在12巻まで出ているのですが、予断を許さない展開でとても面白く、一気に読んでしまいました。


キングダムは春秋戦国時代の中国が舞台で、秦を建国する若き始皇帝・政と下僕から成り上がって大将軍を目指す信という2人の少年の物語です。混迷の時代に数多くの傑物が登場するのは古今東西共通することでしょう。実際、この物語のなかにも魅力的な武将やキャラクターが多数登場してきます。個人的に気に入ったのが、魏国を攻めたときの大将軍・ひょう公です。知略よりも感性で動く、私と似たようなキャラクターで圧倒的な武力を持っています。


このマンガを読んで気づいたことは、中国では大量虐殺が非常に多いということです。敵方の捕虜は当然、家族は女子ども問わず、領民に至るまで殺してしまうケースがほとんどです。長平の戦いなどでは40万人を虐殺するなど、日本人から見たら信じられないような残酷なやり方で侵略を繰り返している様が分かります。実際、これは中国に限った話ではなくて、西洋でも十字軍などはかなりひどいことをしたようですし、近年でもアフガニスタンやイスラエルとパレスチナでのやり方を見るにつけ、大陸における戦いというのは多くの犠牲を生む場合が多いです。


日本は島国で、地震や台風など厳しい自然環境から力を合わせて身を守る必要がありました。自然に対する畏敬の想いが強いせいか、アニミズムに近い神道が発達して、多様性を受け入れる下地が出来上がったのだと考えられます。だから、北方カムチャッカからやってきた先住の縄文人を、大陸から出雲地方に上陸した弥生人は攻撃しましたが、虐殺まではせずにやがてその血は混じり合っていったと言われています。あるいは関ヶ原で負けた島津、毛利方の薩長が明治維新で倒幕した時も、賊軍を討伐することはしてもその領民まで手をかけることはしませんでした。


日本の将棋は、駒を取っても自軍の駒として復活させることができます。中国であれば、捕虜にまで食料などを分け与えることはないと言って殺してしまうところを、日本人は土地を開墾し、ともに生きていく仲間として迎え入れます。それは中国が野蛮とか日本が優しいとかいう話ではなくて、大陸という直接的に隣国からの脅威に晒されていた過酷な環境と、島国という限られた土地の中で生きていく共同体という、社会を形成する土台の違いでしょう。


中国の過酷な群雄割拠の時代を迫力満点で描く、キングダムの今後の展開が楽しみです。

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