食いしん坊22さんのレビュー一覧
投稿者:食いしん坊22
2019/05/04 14:10
マル秘話から、生き方まで
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錚々たる名優陣50名が、声優という仕事について語っています。
特に、これから声優を目指そうとする人、すでに養成所などに入っている人たちに向けて語られていると感じます。私はそうではないのですが、それでもどのようなスタンスや意気込みで第一線の活躍者が声優業に向き合っているのかがよく分かり、非常に興味深いです。共通していることは、「演じるとは何か」が自分自身の中でしっかりしていないと続けるのは難しいということ。みなさん、共通しておっしゃっています。
過去のインタビューのまとめ的なところもあるので、最新のインタビューではないというところが残念ですが、大山のぶ代さんなど、認知症前のものが掲載されていて概して有名どころは押さえられていると感じます。現ドラえもんの水田わさびさんの語りも載っているので、両者を読み比べても面白いですね。
2019/05/04 14:26
論理的な話を、劇場タッチで
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著者がイタリア人だということに、まず驚きました。
しかし、日本文化に造詣が深く、日本人同士の心の綱引き的なところをよく理解していて、現実に則しています。
興味深いのが「それは偽善だ」は殺し文句で、これを言われたほうは何も言えないということ。しかし、ながら、偽善だと思って何もしないよりは、「これは偽善なんだけど」と申し渡しておいて、良いことを実行することを著者は勧めています。善行によって利益を受ける人にとっては、それをする人の心の動きなんてぶっちゃけどっちでもいいわけ。ここまで読んで、ふむふむ、なるほどです。
結局、偽善だと批判している人たちは、何もしない人、何もしようとしていない人なのだと悟りました。
論理的な話を、キャラの立った登場人物たちの会話によって進めていますので、読みやすいところもポイントです。
2020/10/03 13:17
福音に生きることこそ
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神学校で学んでいた時、フィリップ・ヤンシーを読む会というサークルが存在していました。神学生たちの中でも、彼の著作は特に人気がありました。
ヤンシーの特徴として、クリスチャンであることや洗礼を受けているかということは、特に特別視されません。なぜなら、彼が指摘しているのは新しく生まれたはずの教会がどうして、社会に良いインパクトを与えず、むしろノンクリスチャンたちをがっかりさせているのかということだからです。
しかし、この本では希望も示されています。クリスチャンが福音を知るだけではなく、福音に生きるときに世の光としての役割を果たすことができると。それは宣教師が送られた国や地域と、そうではない地域との政治的な差にも表れていると評価します。宣教師が送られた地域では、教育、医療、人権が重要視され、優秀なリーダーが立てられていきます。
はっきり言って、ヤンシーの教会批判は、耳に痛いものです。しかしだからこそ、福音に生きることの大切さを教えてくれる名著だと思います。
2020/09/05 14:22
寄り添い、繋がるために
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第6回日本伝道会議における「日本社会と教会」プロジェクトからの提言がまとめられた本です。
私自身キリスト教会で子ども食堂を実施しているので、実際的な見地からも多くの示唆を受けました。特に興味深かったのが、渡辺聡氏が紹介している1980年における調査結果です。伝道色を無くして活動していたリベラル派よりも、ある程度伝道的な働きとして、チャンスがあれば福音を積極的に伝えていった福音派の方が、結果的に教会が地域に溶け込んでいったという結果は、国や時代が違うからと一蹴することはできないと思いました。
紙の本水玉・ストライプ
2020/09/04 16:44
CD-ROMつきで技術があれば使える!
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おしゃれなパターン素材の本です。
CD-ROM付きで、後ろの方に本著の素材を使った、パソコンのデザインソフトウェア説明が記載されています。使用紹介ソフトは、フォトショップ、イラストレーターです。
またパターンを使ってのブックカバーやTシャツ、CDジャケットの作り方も番外編として紹介されています。極めて実用的な内容で良いと思いました。一生使います!
2020/08/04 15:40
第二次世界大戦前の時代の雰囲気
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なぜロバート・キャパという架空の人物を作り上げて、一組の男女が時代を写真で切り取り続けたのか。
歴史上唯一無二のカメラマン。
時代が欲していた写真。この時代写真ほど雄弁に語るものはありませんでした。
インターネットもスマホもない時代、通信各社は、時代を切り取った写真を欲しがり、彼らはそれに答え続けました。女性のゲルダ(タローと改名)も、戦場へ赴き、キャパと一緒に撮り続けます。
興味深いのは二人の写真には共通点と相違点があることです。
二人の写真には、物語があり、人物が生き生きと描かれています。
しかし、それぞれの感性と着眼点が異なるので、同じ被写体でも印象が全く異なります。しかも、女性のタローの方を採用する通信社も多く、ロバート・キャパは、二人で一人なのだと納得させられます。最初は、仕事をとってきて、指揮をしていたゲルダも、キャパと同じように活躍していく。
日本人にはなじみの薄い、スペイン、ドイツ、イタリア、ロシア、そしてイギリスとフランス、当時のアメリカの思惑や指導者の計算など、非常に細かく描写されています。あの崩れる兵士がスペインで撮られた作品であることは知っていても、それがどういう戦争でどういう背景があったのか。キャパがどのような思いでそれを撮ったのかを知ることができます。
紙の本星野富弘全詩集 2 空に
2020/06/20 15:16
どんな思いで空を
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2年前に星野富弘さんの原画展を富山に見に行きました。
沢山の方々が見入っていました。
星野さんの作品は、詩と画が渾然一体となってその本領を発揮しますが、この詩集は画をあえて省き、その代わりに沢山の詩を掲載しています。ゆうに100を超える詩は、また新しい味わいを読者に提供しています。
第1集は「花と」でしたが、この第2集は「空に」。どちらも秀逸です。
紙の本生き方指南 聖書流
2020/06/17 15:32
聖書の良い知らせに基づいた分かりやすい指南
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著者は福音的なTV番組の司会・メッセンジャーとして活躍していたクリスチャンです。
分かりやすい3ポイントメッセージは、今もYOUTUBEでの配信などでおなじみです。
本著は、欧米と日本の文化や価値観を比較しながら豊富な例話を織り交ぜながら、わかりやすく聖書流の生き方を指南してくれます。
自分自身の価値や人を赦せないなどの生き方に躓いている人にとって、良き指南書となるでしょう。本当に読みやすいです。
2020/03/27 17:17
存在の意味、小さく弱い私が生きる意味
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著者は日本で最初にホスピスを導入した柏木哲夫氏です。
平易で分かりやすく、実際に遭った出来事などを紹介しながら、生きること、死ぬこと、人に迷惑をかけること、そうまでして生きることの意味を説いています。
そこには、キリスト教信仰に根差した温かな神のまなざしを感じます。
いのちが偶然ではなく、意志をもって造られ、与えられたものであること。
だからこそ、今生きている現実、生かされていることの意味へとつながっていきます。
支える・支えられるという相互の関係についても紹介され、考えさせられます。支えているほうが、実は支えられていることだってあるのだということ。
介護や見舞いなど、家族に寄り添うことの難しさを感じている人にもお勧めしたい本です。
2012/01/31 10:33
最先端心理学の見地から
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とても読みやすくタメになる本です。
特に営業マンや企業リーダー、人との関わり方に感心を持っている方にはおすすめです。
私が関心をもったのは、「なぜ男友達が多い夫の方が、浮気をするのか」と言った話や、「仕草で嘘は見抜けるか」という項目です。
私も大学のゼミでは、心理学をとっていました。しかし、大学は、深く学問を追求していくところなので、理論を議論できても、臨床の実際はなかなか把握できません。
著者はフロイトの功績を認めつつも、彼の理論が認められた時代は、性が抑圧されており、それが反動となって彼の理論が多くの関心を寄せたと述べています。そういう意味で、無意識レベルの行動や所作については、筆者はやや懐疑的です。この点を明らかにしている心理学本というのは、今まであまり読んだことがなかったので新鮮でした。
世の中によく知られている心理テストの信ぴょう性においても、本書はわかりやすい説明で疑問を投げかけています。
心理学に関する最新の見地を把握するには、最適の本です。
2020/10/02 21:41
短いメッセージに光る珠玉のことば
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本書は、クリスチャン新聞福音版に連載された文章に修正と加筆をしたもので、新約聖書から44人の人物を取り上げています。短いメッセージですが、キラッと光る金言が含まれています。たとえば、
いっしょに「事」はできても、いっしょに「人」と向き合うというような連帯性や親密性を持つことは難しい時代なのではないでしょうか。ですから繋がり・絆ということばがあふれているのです。23頁
などは、鋭い指摘であるばかりでなく、ことばとして光っています。
他のメッセージも秀逸で、同様の発見があります。
紙の本シンプリー・ジーザス 何を伝え、何を行い、何を成し遂げたか
2020/10/03 13:41
十字架しか語ってこなかったキリスト教会へ
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キリスト教の中心はイエス・キリストの十字架による、全人類の罪の赦しと、永遠の裁きからの救いです。
しかし、N・T・ライトは、イエスが説いた神の国にフォーカスを絞り、またそこを中心点として視野を拡大して私たちに語ります。イエスが説いた神の国とは、いったいどのようなものなのか。なぜ彼は、天の御国は~のようなものです、と様々なたとえで執拗に何度も語られたのか。
著書では、イエス以外に救い主だと期待された歴史上の人物、ユダ・ハンマーやバル・コクバ・シモンなどについても紹介されていて、ライト氏の膨大な知識と歴史理解の深さが伺えます。
2020/09/04 17:23
瞬きの詩人
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瞬きの詩人と言われた水野源三さんの第一集の詩集です。
推薦文を三浦綾子さんが感動の内に書いておられます。
小さいころに赤痢にかかり脳に大きなダメージを受けた源三さんは、しゃべることも自分で動くこともできませんでした。ただ母からのあふれんばかりの愛情を受けて、残された感覚とキリスト信仰を豊かに働かせて、数多くの詩を創作します。
創作方法は母があいうえお表を指さして、源三さんが瞬きをして合図をするという非常にアナログで大きな労力を要するものでした。まばたきの詩人と言われるゆえんです。
彼の創作物は、極めて正統的なキリスト教信仰、特に福音派と呼ばれる姿勢に深く根付いたものばかりです。それゆえ、キリスト教知識に希薄な方は、とっつきにくいかもしれません。その一方で、同じ信仰を持つ方は交換する部分や教えられる部分が多いでしょう。
この詩集には短歌や俳句も多数掲載されており、ひとつひとつ、彼と彼の母との労作に思いを馳せます。
紙の本家族写真の魔法
2020/09/04 16:34
家族写真を撮る意味について考えさせられる
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著者の父親も、カメラ写真館の館長。
父親との確執。愛情深い母親との思い出。
現在、家族写真を撮り続ける著者が、訴えたいことは、一つだと思いました。
それは、「仲が良いから家族写真を撮る」のではなく、「家族写真を撮ることで仲が良いことになる」ということです。
末期がんの祖母を持つ家族や3人娘の誕生日のたびに家族写真を撮る家族など、色々なエピソードが登場しますが、家族写真はセルフアイデンティティに深く関わっているということがよく分かってきます。また実際に仲が良いというわけではない家族でも、一枚の家族写真があるだけで、お互いの関係や立場を思い直し、思い量ることができる。まさに家族写真の魔法です。
本著には、スタジオで撮ることをお勧めするのではなく、自分たちで家族写真を撮る習慣が勧められたり、実際の撮影のアドバイスなども添えられたりしています。実際の家族写真もおそらく許可を得た上で、バランスよく掲載されていますので、家族写真をこれから取りたいという方には特にお勧めです。
私自身は、思春期となった子どもたちをどのようにその気にさせて、スタジオに家族で赴くかを考えています。本著でもアドバイスしているとおり、多少強引にでも連れ出して撮影してもらうと、思春期を過ぎたときに、本人たちが「なんであんなに反抗したんだろうな。良くしてくれていたのにな」と思ってもらえるそうです【笑】
紙の本真実の自分と向き合う 100の寸言50のおしゃべりレシピ
2020/03/27 18:40
角度を変えて人生を見つめ直す
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著者は臨床心理士です。
犯罪・非行の真理面接を21年、自身のがん・難病とつきあって10年。
ブログ「おふぃす・ふじかけ」を書いておられます。
本書は、二つの部分、「寸言」と「おしゃべりレシピ」に分かれています。
寸言の方は、本人が一人の人間として他者とまた自分と向き合ってきたことが神信仰の視点で語られており、大変教えられます。そこには、弱者への寄り添いが感じられ、叱咤激励というのではなく、気持ちに寄り添ってくれる温かさがあります。
レシピの方は、お互いを知る上でのお題が挙げられています。
たとえば、人から言われてうれしかった言葉は何ですか、といったもの。
聞けば、そういうことを話せばいいんだなと分かりますが、自分からはなかなかそういうお題は出ないもの。キリスト教会における交わりの最初に投げかけてみると意外に盛り上がるかもしれません。そういう実用的な部分もありお勧めできる本です。