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コラム

丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ) 2018年3月号

今月の特集は
『スポーツする頭脳』
『春、新しい門出を迎えるあなたに薦める本』

丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ)。今月の特集ページを一部ご紹介致します。
気になった書籍はネットストアでご注文も可能です。
(※品切れ・絶版の書籍が掲載されている場合もございます。)

すべての内容を、WEB上でお読み頂けます。





今月の特集(一部抜粋)



『スポーツする頭脳』
 現在の東京大学総長・五神真先生は、その著書『変革を駆動する大学――社会との連携から協創へ』(東京大学出版会)で、東京大学に新たに設置された「スポーツ先端科学研究拠点」について触れ、そこでは「身体機能を理解し、身体をより上手に使うための研究や、いろいろなハンディを持った人たちの状況を理解し、例えば身体機能を補助するための器具を開発することなどを通じて、そのような人たちがより良く生きることができるような社会をつくることを、東大の総合力を生かして提案することができないかと考え」て、同拠点を立ち上げたと述べています(同書、一四七-一四八頁)。
 この五神先生の言葉に現れているように、スポーツを核にさまざまな角度から科学的研究を行うことは、私たちの未来にとっても非常に重要なものになっています。こうした大きな問題意識を持ってスポーツについて考えてみることは、とても有益なことなのではないかと思います。
 つい最近まで韓国で平昌五輪が開催されていましたが、今年(二〇一八年)はサッカーのワールドカップがあり、来年(二〇一九年)は日本でラグビーのワールドカップが開催され、そして二〇二〇年には東京五輪、二〇二一年には関西でワールドマスターゲームズが行われます。スポーツの素晴らしさを堪能する数年間が始まりました。これを機会にスポーツの持つ奥深さやさらなる可能性を、数ある書籍から感じてみたいと思います。そこでのキーワードは「知性」です。
 五神先生の著書にはこんなエピソードも紹介されています。「二〇一六年六月に開催したスポーツ先端科学研究拠点開設記念シンポジウムには、柔道全日本男子の井上康生監督も来てくれました。その折に、最近の柔道は頭脳戦なので、技を掛けるにはどのような筋肉を鍛えるかなど、非常に科学的なトレーニングを重視しているとおっしゃっていました」(同書、一四九頁)。五神先生は、井上康生監督とのやりとりから柔道全日本男子のリオ五輪での活躍を確信したそうです。その結果は皆さんもご存知のように、柔道全日本男子は、金メダル二個を含む全七階級すべてにおいてメダルを獲得しました。その前のロンドン五輪が金メダルはゼロ、銀二個、銅二個という結果だったところから考えますと、飛躍的な成果です。それはどのように成し遂げられたのでしょうか。
その一端を見せてくれるのが、井上康生監督ご自身による著書『改革』(ポプラ社・一五〇〇円)です。本書は、ロンドン五輪での不本意な結果のあと監督に就任されてからリオ五輪までの四年間に、井上監督が何をめざし、どのような実践をされてきたかが簡潔にまとめられています。そこでは意識改革とメンタル面の改善、そして科学的な知見をベースにした技術の鍛錬とフィジカルの充実とが語られています。さらに、さまざまに飛び交う「情報」への対処の仕方など、本当に総合的でかつ綿密なプログラムが組まれ、実行されていったのがわかります。
 もう一冊、多くの方々に馴染みやすい書籍をご紹介しましょう。著者はメジャーリーグでも活躍し、最後は古巣の広島東洋カープを二十五年ぶりのリーグ優勝に導いた黒田博樹さんです。彼がまだヤンキースに在籍されていたときに執筆された『クオリティピッチング』(KKベストセラーズ・一五〇〇円)は、超一流投手の持つ知性を十二分に堪能できます。
 メジャーリーグの中では特に目立った体格を持っているわけでもなく、また、飛びぬけた球種があるわけでもない黒田投手が、あれほど安定して長期にわたって活躍できたのはなぜか。その理由が、黒田投手自身によるバッターとの対戦の具体的な分析を通じて、読者にも痺れるくらいに伝えてくれます。そこには、体調面はもちろん、事前の情報収集、その日にしっくりきている球種とそうではないものの見極め、状態の良い球種を活かす組み立て、前の打席での状況等々、ありとあらゆる要素の組み合わせから導き出された「解」が一球一球に込められています。黒田投手曰く「意図のない球は一球たりともないのです」。この言葉の重みを実感できる名著です。
 また本書では、投手と打者との駆け引きの記述も魅力です。それに関連して、すでに古典ともいえる山際淳司『江夏の21球』(角川新書・八四〇円)も、ぜひ併せて読んでみてください。

2018/03/02 掲載