異能の芸術家・岩田道夫の世界

旭川の常磐公園近くに住み、自然や風景を愛し、あらゆる事象からその魅力を丹念にすくい上げ、様々な表現へとつなげる芸術家・岩田道夫氏。氏のメルヘン絵本シリーズ「ふくふくふく」の新刊「不思議の犬」が発売されました。やわらかな色彩の絵に、ちょっと不思議な「対話」が繰り広げられた言葉が寄り添っています。出版社の紹介文によると「ほのぼのとしたメルヘンの中に小さな真実がー」。
「ふくふくふく」のシリーズはカバー表紙の絵、裏表紙の消しゴム版画メッセージ、見返しのイラストなど、氏が身の回りに向けた眼差しとその思想が感じられる小さな「作品」です。現在「水たまり」「影の散歩」と本作でシリーズ3作目。「論理学が世界を知る道具であるならメルヘン絵本＜ふくふくふく＞は日常のふとした真実と共振する小さなオルガノン」ー出版社作品紹介より。オルガノンとはギリシャ語で「道具」を意味します。ぜひこの「日常の真実と共振する」小さな「道具」を店頭で手に取ってご覧ください。胸の中に秘めた「真実」が小さく震えるのが感じられるかもしれません。
岩田道夫氏の本は児童書と文庫・新書棚近くのフェアコーナーで展開しています。フェアコーナーには氏の詩画集「チノミシリ」「はれのちくもり」、そして微細なイラストが圧巻の「常磐公園地図集成」もあります。氏の創り出した温かく不思議な世界をご堪能ください。
●＜未知谷＞ふくふくふく「水たまり」「影の散歩」「不思議の犬」各1000円+税
●岩田道夫（いわた・みちお）1956年網走市生まれ。大学卒業目前に中退、以後、絵画や詩、童話など創作に専念。旭川に移住後、旭川の自然を中心に作品を制作。2014年心臓発作のため急逝。