コラム
丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ) 2024年9月号
今月の特集は
『きのこ! きのこ! きのこ! 文芸書から人文書、ポピュラーサイエンス、事典、実用書、児童書、コミックまで』
丸善ジュンク堂のPR誌 書標(ほんのしるべ)。今月の特集ページを一部ご紹介致します。
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すべての内容を、WEB上でお読み頂けます。


今月の特集(一部抜粋)
『きのこ! きのこ! きのこ! 文芸書から人文書、ポピュラーサイエンス、事典、実用書、児童書、コミックまで』
見てよし、さがしてよし、食べてよし、そして読んでもよし。自然界の分解者=きのこの持つふしぎな魅力に毒された方々の本を集めました。あなたのあたまに胞子を放り込んで子実体を育てます。
【文芸/人文】
飯沢耕太郎編『泉鏡花きのこ文学集成』(作品社・2,970円)
「お姫様は茸だものをや。紅茸と言うだあね、薄紅うて、白うて、美い綺麗な婦人よ。湿地茸、木茸、針茸、革茸、羊肚茸、白茸、やあ、一杯だ一杯だ。初茸なんか、親孝行で、夜遊びはいたしません、指を啣えて居るだよ。さあ、お姫様の踊がはじまる。」
朝比奈弘治『夢に追われて』(作品社・2,640円)
「最初のあれ、真菌性のハナタケだったんだって。気がつかなくて申し訳なかったって頭を掻いてたけど、それが耳に来てしまったんだって。ハナタケがミミタケになったら、もう間に合わないんだって。もう脳の中に菌糸が入り込んでるの。だから治らないんだよ。」
『ユリイカ 2022年5月号 特集:菌類の世界――きのこ・カビ・酵母』(青土社・1,870円)
「自然葬に加わる可能性として取り上げられているのが、『きのこ葬』である。きのこの胞子を植えつけた糸が生分解性のオーガニックコットン製のスーツに頭からつま先まで刺繍されており、土葬すると遺体を基にきのこが成長することで、土に還すという仕組みである。」
ブライアン・W・オールディス、伊藤典夫訳『地球の長い午後』(ハヤカワ文庫SF・924円)
「ワタアミダケは、美しい、無秩序に成長するキノコで、一見したところは大型のイラクサゴケに似ている。だが、人間が近づくと、まるで忌み嫌うように毒のあるめしべをひっこめるので、害はまったくなかった。ワタアミダケは植物しか食べないのだ。」
ウィリアム・ホープ・ホジスン、井辻朱美訳『夜の声』(創元推理文庫・990円)
…続く
2024/09/10 掲載