紙の本
展開は単調。しかし・・・
2014/02/09 12:40
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投稿者:108 - この投稿者のレビュー一覧を見る
石持浅海氏の第一短編集の文庫版。石持氏の登場人物の議論の中で、犯人を見つけ出していくという手法はここで確立されたように思う。(何度も続くこの展開を単調と感じる人もいるかもしれない。)
さて、本作に収められている短編は対人地雷を題材にして緩やかにつながっている。
地雷を除去して偉人になりたい者、地雷で被害を受けた者、地雷を製造する者・・・。様々な人の想いが、様々な行動となって現れる。時には殺人として。
本作を手にする多くの人は対人地雷に対して否定的であろう。地雷を作る者を批判する気持ちも起こるだろう。だが、地雷と無縁の国で生きている我々にその資格はあるのだろうか?石持氏は被害者・加害者だけでなく、傍観者にも問いを投げかけている。
対人地雷というテーマをミステリーに用いることに批判もあると思う。しかし、本作はそのテーマに向き合い、真正面から描いたミステリーの枠を超えた名作である。
電子書籍
地雷 (ネタバレあり)
2023/12/25 09:22
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投稿者:どら - この投稿者のレビュー一覧を見る
「地雷」をテーマにした短編集
珍しいテーマで統一したことや、同じ世界観での出来事という設定のためある作品の登場人物や組織が別の作品で重要な役割を担ったりする面白さがありました (ある作品で被害者となった某人物が、別の作品で「そういうとこやぞ」というのを見せつけるのは笑った)
ほぼほぼ罪を見逃す結末なのは悩ましいところ
なお最後の作品はデビュー作だそうで そうとは知らずに読んだので地雷が出てこないので戸惑ってしまった
紙の本
一粒で三度おいしいミステリー短編集
2021/01/31 21:32
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投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
対人地雷をテーマにした連作短編集。
知らない世界を垣間見れる薀蓄小説として、戦争の負の遺産に切り込む社会派ミステリとして、特殊設定を生かしたトリックを楽しむ本格ミステリとして、一粒で三度おいしい短編集です。
また併録の「暗い箱の中で」は、故障したエレベーターの中での殺人を描く著者のデビュー短編。捜査らしい捜査などできない中、ひたすらディスカッションで事態を見極めようとします。シンプルに推理の醍醐味を味わえる著者らしい一編です。
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わたしは石持浅海信者です、たぶん。
この人の書く推理小説が好きで好きでたまらない。
人が、自分の果たすべき役割をしっかりと知っていて、根を下ろして生きている感じが好きです。
あとは、ひたすらに綺麗な理論と、余計なところのまったくない謎も。
設定がそのまま謎解きに生かされていて、推理小説として無駄がまったくないんですよ。
アイルランドの薔薇からずっと大好きです。
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面白かったです。楽しめました。地雷を題材にした連作っぽい短編6作品と処女短編1作品の計7作品です。
石持作品は推理を楽しむという大前提があるので話の流れで「これはちょっと?」とか考えないようにしています(笑)
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持作品の魅力は「論理」と「登場人物の性格の悪さ」にあると思うのだけど、今回のこれはどっちも中途半端。そもそも倫理観の薄い石持キャラに社会派っぽい話はそりが合わなすぎる。イイハナシダナーって落とそうとするには無理がある。
「暗い箱の中で」は(まだ)楽しめた方。
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話題になっていたから図書館。
非常に文章が読みやすく、あっという間に読めた。キャラもわかりやすいし。
推理モノとしてはとても軽い感じで、これで本格名乗っていいのか疑問はあるっちゃあるけど読んでいて楽しいのがいちばんだと思うので、これからこの作者は見つけたら読もうと思いました。セリフもわざとらしくなくていいのよね。
最後をのぞいてすべての短編がリンクしているんだけど、好き嫌いで言えば私は最初のサイモンが死ぬ話がいちばん好きだった、と思ったら作者も同じことを解説で言ってたので、やっぱ伝わるもんなんだなとおもしろかったです。
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短編でも読み応えがあって満足。やっぱり読ませる力を凄く感じさせてくれる作家さんでますますハマりました。
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語りつくされた表現だけれど、確かに作家のデビュー作にはその全てがつまっている。
と、感じさせてくれた一作。
対人地雷という変わったテーマにいどんだ連作集はどれも、身近にはない地雷というもの、それにまつわる政治や活動、人の思い、残酷さ、貧富、格差、技術、さまざまなものを内包しながら、石持流のさらりとドライな語り口でスマートに読ませる。
最後の後書きに丁寧に語られた、作者自身の地雷に対する真摯な態度にも感銘を受けた。
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「地雷」と「ミステリー」なんて相容れない。
そう読む前に思っていたのに、そんなことは全くなかった。
時代の移り変わりと共に、さまざまな登場人物の思いが描かれていて、何だかやりきれない気持ちにもなったが、非常に良かった。
あらすじで難しそうだと避けずに、読んでみて欲しいと思う。
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対人地雷を扱った短篇集+デビュー作。
除去する人、作る人、被害者と別の観点から話が作られていて、登場人物もリンクしているのが面白かった。
地雷について考えさせられた。
デビュー作は、なぜそこで殺さなければならなかったのか、と犯人を特定するための理由がうまいこと考えてある。
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「地雷」小説。
といっても「つまらない」という意味ではなく、文字通り「地雷」をテーマにした短編集。
戦争が終わり、埋没されたままの地雷。
危険を承知でなおそこに住まわざるを得ない人々。
一方日本では「防衛」を主とした地雷兵器の開発。
一つのテーマでも切り口でいろいろ楽しめるのは作者の力、というところでしょうか?なかなかの良作でした。
あともちろん「地雷」についての深刻な状況とかも勉強になりました・・・
最後に、作者のごく初期の短編がボーナスなんちゃら的に収録されていますが・・・徹底した「クローズドサークル」にこだわるのははじめっからなんですね・・・ww
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「地雷」という統一したテーマで、あらゆる視点から様々な事件が起き、バラエティに富んだ短編集でした。
「地雷」という武器はこうも陰湿なものかと考えさせられます。
仕掛けられた方だけでなく、仕掛ける方にとっても相手の顔が見えない武器だからこそ、こうも長く一般市民を苦しめているのでしょうか。
深いテーマですが、本格ミステリの枠から外れることなく、謎解きはロジカルで軽快な話ばかりでした。
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地雷撤去に携わる人たちの中で起こる殺人。
心情的に理解しかねる部分はあるものの、重いテーマを分かりやすく紹介してあり、薄いわりに内容が濃い。
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うーん。連作ミステリーで、主要登場人物が限られているものに共通した話なんですがね・・・どうして、そんなにその人たちの周りで殺人事件がいっぱい起きるのさ・・・って思ってしまうんですよね。なおかつ、対人地雷をテーマにしているので、それに関係した人たちが亡くなる訳で・・・そこのあたりの不自然さみたいなものがどうにも気になって。あと、恐らく作者は、対人地雷の非人道的であることやNGO団体の実態やその難しさみたいなものも同時に訴えようとしているのですが、ミステリーとそのテーマとの比重がうまくいってない気がします。というか、殺人をテーマにからめて無理矢理作り出している感がある・・・ので、動機とかが弱いというか、心理の裏づけが弱い・・・私はどっちかというと謎解きよか心理劇の方が好きな方なので、好みじゃなかったなあ。まあ、対人地雷がいかに非人道的かということや、NGO団体のよい面悪い面などを知ることができたのはよかったかなあ。