紙の本
身近な野鳥
2016/01/06 11:42
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:端ノ上ぬりこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
カラスの特徴、生態等を面白く解説している。国内のカラスはハシボソカラスとハシブトカラスに大別される。それぞれ棲み分けできていて、ハシボソは農耕系で上手に歩きながら餌を探し、ハシブトは空から獲物を狙うため、チョンチョンと飛ぶように歩くとか、アスファルト上に木の実を落とし割って食べる、あるいは車に轢かせて食べるとか、ごみ集積所の黄色のネットは誤解だとか、興味深い話満載。
ねぐらをどこに決めているのか等気になっていたことを、研究している人に敬意を表したい。野鳥だということすら忘れている存在のカラス。悪いのはカラスではなく人間のエゴなのだと改めて感じた。
読んだら誰かに話したくなる本。カラスのことを楽しそうに話している人がいたら、この本の読者かもしれない。とっくに売ってしまい手元に残ってない本なのに勢いだけだ書いてしまった。おすすめです。
紙の本
意外と身近な野生
2008/09/17 10:31
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kokusuda - この投稿者のレビュー一覧を見る
普段の生活の中で動物好きにも嫌われているのがカラスです。
特に女性には100%嫌われているようです。
自他共に動物隙を認める私の母もカラスに種類があることさえ
知りませんでした。
「シートン動物記」や「ソロモンの指輪」などにもカラスが
登場するので、もっと知られていると思いましたが。
著者はNHK自然番組なども制作していた鳥類が専門の
科学ジャーナリストです。
本書ではカラスはどんな鳥なのか、さまざまな疑問に答え
補足する形で解説していきます。
本書を読んでカラスも野生動物であることを理解して
共存していくと考える人が少しでも増えればよいなぁ、と
思います。
試しに自宅近所を観察してみると殆どがハシボソガラスです。
しかし、徒歩5分の駅前まで行くとハシブトガラスが
多くなっていました。
本書を読んでみて庭付き一戸建てや芝生の公園が多い場所に
草原型のハシボソガラスが多く、高いビルの多い駅前に
森林型のハシブトガラスが多く生息しているのだ、と
理解できます。
身近な野生や自然を知りたい方に読んでほしい本です。
電子書籍
身近な隣人の生態を知る
2015/08/31 17:56
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:amisha - この投稿者のレビュー一覧を見る
よく見る動物なのに、その生態を知らないままでいた。本書は、野性生物との正しい付き合い方指南書として最適である。
投稿元:
レビューを見る
よかった。
正しい論理展開だった。
石原都政批判もきちんとしている。
後ろアタマを蹴られる実験がすばらしい!
投稿元:
レビューを見る
わたしのカラス本コレクションに新しく加わった1冊.杉田昭栄氏や唐沢孝一氏などの諸々のカラス本と比べて,特段に新規で珍奇な新情報がたくさん追加されているというわけではないものの,この本は,カラスの都市伝説などに発する誤解を丁寧に丁寧に解いていくことに力を注いでいる.とても好感がもてる.
そう,私達は,この身近な鳥カラスについて,もっと正確できちんとした知識をもち,お互いうまく楽しく共存していく道を模索しなければならない.何かにつけて駆除だの規制だのを持ち出したがる某都知事などは,スズメを駆除して大凶作を招いた毛沢東の失敗を,大いに学ぶが吉と思う.自然をなめてはいけないのだ.
ところで本文中に,「カラスが学校などのグランドに引かれた石灰に群がって食べているという報告もある」という一文をみつけた.これはひょっとすると,わたしが 2003 年頃に,唐沢孝一氏と web ページ上でやりとりした写真や記事も元ネタの1つになっているかもしれない.だとしたら嬉しいなぁ
投稿元:
レビューを見る
「愛」を感じる本です。
相手のことをもっともっと知りたい。相手の立場になって考えてあげたい。どんなに嫌われ者でもかばってあげたい。これって愛でしょ。
カラス専門家といってよい著者の科学ジャーナリストは、愛らしくて、想像よりはるかに賢いこの黒い鳥を、本当にいとおしい眼差しで観察し生態を綴っている。
走る車のタイヤを上手く使って胡桃を割るシーン。BMWのCMのあの映像って、創作じゃなくて本当のカラスの知恵なんだよね。
東北大学の先生が真面目に観察・研究した結果がこの本の中に紹介されている。1975年に仙台の青葉山麓にある自動車学校から始まったとされるこのカラスの行動。2000年ごろまで青葉山周辺一帯で見られたんだと。
偶然ですが、私はちょうど2000年に仙台に移り住んで、毎日青葉山の下を通っているけど、そんな場面見たことない。でもよく読むと、この技、カラス達にとっても高等技術らしくて、世紀の変わり目ごろ世代間の「伝承」が途絶えてしまったんだと。ナルホド。
他には、道具を使って釣りをするニューカレドニアのカレドニアガラスなんて「動物奇想天外」そのものだね。というか違う番組名でNHKで放映されたっていうから見た人は「あれだろ」と思うでしょうけど。
ともかく、この黒くてグロテスクで嫌われ者の鳥のことが、好きでたまらないんだね、この本の著者は。読んだ後は、黒い不気味な鳥じゃなくて、「かぁらぁす~、なぜ・・・」の愛らしい印象にすっかり変わっている事請け合いです。
「こどもの未来社」という出版社の名前も嬉しい。ちょっと難しいけど、子どものうちにこういう本を読んで欲しい。
自分の間違った先入観、固定観念が快く崩されていく感じ、これが本当のガクモンでしょ。素晴らしいね。
星っ、五つです。
投稿元:
レビューを見る
2007年出版の本がなぜ、大量に平積みになっていたのかは
不明だけれど、カラスが好きだから、思わず買ってしまった。
ハシブトとハシボソがいるのは知っていたけれど、
知らないことばかりだったなあ……
この本は、カラスの研究書であり、
著者が記しているように、
「相手の立場に立って考える」ことを知る本なのだと思う。
投稿元:
レビューを見る
2007年の本だったが、近所の紀伊国屋でフィーチャーされていたのでつい買ってしまった。
結果としては、非常におもしろく、ためになった。
もともとカラスはそれなりに好きで、でもゴミを漁る姿はやはりいただけないなぁと思っていた。
読み終わってからは、結局のところ悪いのはヒトなんだなと思わざるをえない。ごみ問題はカラス問題ではなく、やはりごみ問題なのだと。ゴミ捨てのルールを守らない人間のゴミのせいで人もカラスも迷惑してるわけだ(カラスは食事にありつけるから迷惑ではないだろうが)
でも、この本は別にごみ問題ばかり扱っているわけではなく、むしろほとんどがタイトルにあるように、「身近な存在のはずであるのにほとんど詳しいことを知られていないカラスについて」書いてある。
都市部と農村部におけるカラスの違いや、ハシブトガラスとハシボソガラスの見分け方や、どれだけ賢いのかとか色々なこと。
で、最後にごみ問題とカラスの関係が来る。
しかしながら、ゴミを荒らすカラスに悩んでいる人がこの本を読んでも、(ゴミ捨てのルールを守る、ネットやゴミボックスを使うなど)ある程度のことを既にしている人には残念ながら役に立たないと思われる。
投稿元:
レビューを見る
よくみる鳥なので何かとわかっているのか、と思っていたら、主食すら、「推定」。
ただいろいろな未知の話は一杯入っていて、
「カラスは見て餌を探す」(紙で多いをかけると探せない)
「自分の巣の近く=テリトリーに入ってきたり、巣を除く行為をするとそれをした人間を見分け、正確に攻撃する」
「ただし、人間との体力差を自覚しているせいか人間が後ろを向いたところで後頭部を蹴る、という攻撃に特化している」
カラスはよく嫌われるがだからといって駆除の対象にするのはどうかと思う。都市部では「自然のバランスを取り戻す」と言ったところで何が自然か、という話になる。
結局カラスが目障り、という人間のエゴに帰結するのではないか。
投稿元:
レビューを見る
カラスはスカベンジャーとも言われる種類の鳥です。スカベンジャーとは、ゴミや死体などを食物として、自然界の掃除役を担う動物を表わす言葉なんだそうです。それが、たとえば東京に大集中して、ゴミをあらし、人生を謳歌して、どんどん増えていきもしました。著者は、それは、ルールを守らない人間によってカラスを招き入れたのだ、というように分析しています。ゴミの日を守らない、ゴミをきちんとした体裁で出さない、カラス対策にネットをかけるのも怠る、などによって、カラスはとても生きやすかったわけです。そんなことをしながらも、行政の方ではカラスを捕獲し、全国では年に40万羽ほど殺処分しているそうです。学校にカラスの巣ができて、親ガラスが児童を攻撃するから駆除しようとなると、その児童たちの意見として、「人間の邪魔をするのだから、殺されて当たり前」というものが飛び出したりもするのだとか。カラスが増えたのは人間の暮らしかたによるもので、そして、減らそうと捕獲し処分するのは人間の都合。そして、そんなあり様を見たり感じたりしながら、子どもたちのこころは荒んでいく、と著者は危惧します。そのあり様を作っている大人たちも、こころは荒んでいて、それを気にも留めていないのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
カラスはちょっと怖い。でも、相手をよく知れば怖さも減るかも。
ハシブトガラスはちょんちょん飛んで歩き、ハシボソガラスはトコトコ歩くのが多いらしい。そんな違いを知ったらなんだかかわいく思えてきた。