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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「植物も動物も細胞」「地球の先輩」
くらいの前提を持って読んだけれどもそれを超える話だった。
首長竜も多くいた恐竜時代に比べて、
高い所の餌を専門にする草食動物はキリンくらいだな、
というのは思ったことはあるけれど、
(その頃は今と重力が違ったという説もあるけれど)
食物連鎖の基盤にあたる植物に嫌われると
動物は生きることすらできないということは、
言われれば当然だけれど考えたことがなかった。
外来種の話もあったけれど、
タンポポの話も単純に考えてしまっていたので、
まだまだ世界は広い。
紙の本
わかりやすく面白い植物の深い話
2020/07/12 19:29
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投稿者:白くまJr. - この投稿者のレビュー一覧を見る
植物への深い知識と愛が感じられる。
この作者の本は数冊読んだが、これが一番好きです。
中学1年で学ぶ被子植物、裸子植物、シダ類など、教科書よりこの本を読んだほうが、ずっとわかりやすく、ためになると思った。
生物は暗記だけでなく、ストーリーを教えてくれたら、もっと興味をもつ学生が増えそうだ。
紙の本
植物の生き方から著者が学んだこと:「強さとはなにか」。
2016/07/28 09:57
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投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
植物、それも誰もが知っているようなものについて、一寸知識を増やしてくれるわかりやすくて楽しい文章をたくさん書いている著者。本書はもう一歩植物の性質に踏みこみ、長年の植物との付き合いの中で考えたことをまとめた「エッセー」という雰囲気です。植物紹介の向こう側に、「生き方」「存在」などの哲学的な考察が入ってきます。
「雑草」というと「強い」イメージを感じることも多そうですが、実際にはどうなのか。砂漠で生きているサボテンの例がありますが、彼らは「競争に強い」というより「競争には弱いが耐える力が強い」と考えることもできる。
植物の進化の話・光合成能力の話など、知識として読む部分もあるけれども「オンリーワンであることがナンバーワンにもつながる」とか「正面から戦わなくても、生き残り方法はいろいろ」とかの「人生訓」的な言葉もたくさん出てきます。あとがきの一部では「雑草が語った言葉」としてこんな言葉もありました。『生きているものに弱いものなどない。ただ「弱さ」を読み間違えると自分は弱いと思えてくる』。
これは「逆もまた真」なのでしょうか。『生きている存在に強いものなどない。「強さ」を読み間違えると自分は強いと思えてくる』ということもあるでしょうか?
「強い」とか「弱い」という言葉は主観的な表現の言葉でもあるので、さまざまな解釈が成り立ってしまう。それだけのことかもしれませんが、やっぱり「人生訓」のように読めてしまう「植物の本」です。
紙の本
植物に学ぶ
2017/01/31 22:06
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投稿者:でぃー - この投稿者のレビュー一覧を見る
植物という生き物から我々の生き方について考えることもできる。ゴキブリの話も少し書かれているが、その部分は大変興味深いのでぜひ
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つい当たり前だと思ってやり過ごすことにも、実は理由がある。読み終わる頃には道端の雑草を見る目も変わっているはずだ。
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動けないから自由がなく、動物に食べられるばかりの植物。もちろん花の美しさに癒されるけれど、生命体としては見下していたかもしれない。しかし、その驚異の進化とメカニズムを知り、目からうろこなのだ。そもそもは動き回っていた単細胞生物が、摂取した葉緑体と共生し、二酸化炭素と日光から体内で栄養分を作ることができるよう進化したのが植物だという。動物は基本的にエサを食べるために動かざるを得ないのだ。動かなくても腹が満たされるなら動かないのだ。また、岩石、石、砂はもとから地球を形成する物質だが、土は有機物、すなわち生物の死骸からできている。よって、生命が誕生する前の地球には土がまったくなかったってのも、言われりゃそうだけど、なるほどである。
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ととも良い内容だと思います。
植物はなぜ動かないのか、それは動かなくてもいいから・・
というところから、生命の進化・植物の進化、植物の
生物学的仕組み。それぞれの植物の生命種的な戦略。
(CSR戦略:競争・ストレス耐性・攪乱適応)
がわかりやすくかかれてあります。そればかりか
それらから導かれる、人類の哲学。処世術。啓発的な
内容までが書かれてあります。
自分の息子も、あまり強い方ではないのに、強さへの
憧れか、不正や変化環境を受け入れられないようで
それらによる苦しみや生きづらさがあるタイプ
のようです。
植物の変化対応力。ずらすということ。逃れること。
耐性をつけること。。。これらを学んで身につけて
くれたらいいなあと思います。読んでほしいと
思いました。
ナンバー1にならないと生き残れない。だからナンバー1に
なれるようにオンリー1をめざす。という戦略は
非常に示唆のあるものであると思います。
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植物がコケ,シダ植物,裸子植物,被子植物と変化してきたことと,恐竜を含めて地球上の動物との関係などがうまく解説してあり,楽しく読めた.雑草の成功戦略で逆境×変化×多様性を挙げて説明していたが,教えられるところが多い.
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日本タンポポが減少しているのは、西洋タンポポのせいではなく、ヒトが都市化を進めたため、育つのに適した環境が失われたから。
強者は現在の環境に適合した勝者であり、環境の安定を望む。雑草は強者の植物が生きにくい環境で全力で生きる弱者。
雑草は踏まれたら無理して立ち上がらない。いかにして種子を作るかにエネルギーを使う。さらに、雑草は良い環境に置かれても手を抜かず全力で種子を作る。
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植物の魅力がふんだんに。最後の雑草の所が強いメッセージを発しているが、全編を通して興味深い語り口だ。植物を通して、生物と生命の生き残り戦略も、活き活きと綴っている。
・昆虫は複数の脳を持っている。
・現在の陸上植物が緑色の葉を持っているのは、青色と赤色の光を光合成に用いる緑藻類が祖先だから。
・土は有機物からできている。そのため、地球に陸地ができたときに、陸地には土がまったくなかった。
・恐竜時代には、裸子植物だったため、花はない。植物が美しい花を咲かせるのは、昆虫を呼び寄せて受粉させるためだから。
・果実を食べて、植物の種子を最初に運んだのは、哺乳類だったと言われている。哺乳類はもともと昆虫食だったが、果実を食するものも出てきた。
・哺乳動物で唯一、赤色を見ることが出来のは、サルの仲間である霊長類の一部。
・木から草が進化した。
・ライムギの根は、620キロメートルもあった。毛根まで含めると地球の直径ほども。
・サボテンなどのCAM植物は、気温が低い夜に気孔を開き、二酸化炭素を取り入れ、昼は気孔を閉じて、光合成をする。
・雑草は逆境にこそ生きる道を選んだ植物。逆境に生きる知恵を進化させた植物。
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もともと学生向けに書かれているとあって、非常にわかりやすい。植物の強さは、良く詩の題材(J-POPの歌詞にも結構あるし)として使われますが、食物連鎖の底辺なのに、したたかな生存戦略に裏打ちされた植物の生き方に触れるキッカケの教材になると思います。
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「弱者」とは何か。植物たちの生き残り戦術
動物と植物との大きな違いは、
動物は、動き回り、自分に合った環境を探し回るのに対し、
植物は、動き回らず、自分が環境に合わせる。
動物は、長い世代をかけて環境に応じて変化するのに対し、
植物は、一代で環境になじむ。
植物は、いつも、搾取される。動物に食われる。ほかの植物との生存競争にもさらされる。その場で生き残ることが「勝ち」であり「価値」だ。
植物には、さほど複雑な構造はない。動物に比べ、パーツは「繰り返し」でできている。
とにかく、植物は、人とは大違いだ。
なのに、とある歌では、世界に一つだけだの、どれもみんなきれいだの、ナンバーワンになりたがるだの、人と比べている。
しかし、植物は、
オンリーワンかつナンバーワン
なのだという。
自分らしさにおいてナンバーワンでなければ生き残れない。その環境、その場において、オンリーワンかつナンバーワンを求められる。むしろ、もっと過酷な世界だ。人間なんて、ナンバーワンになれなくても、死にはしないからね。
植物の生存戦略は、主に3つ。
Cタイプは、競争型。とにかく強い。通常やれば敵なし。ぐんぐん育ち、他を圧倒する。
しかし、それでは弱者にチャンスはないのか、というとそうでもない。環境は変化する。絶対王者のボルトだって、転ぶ条件が整えば転ぶ。
そこで、まずは、Sタイプ。ストレス耐性型だ。例えば、極端に水のない環境、氷雪の多い環境など、強い悪条件に耐えうる力だ。
最後にRタイプ。攪乱適応型である。つまり、環境が激変する場で生き延びる。
そして、この3つのタイプの割合が違うことでオンリーワンになり、ナンバーワンになる。そして、それを植物界では「ニッチ」という。
競争型は、安定環境下での勝負で、他の植物を出し抜くが、ストレス耐性型と攪乱適応型は、ほかの植物とは戦わない。勝負は、環境という、植物ではないものとなのだ。
だから、「どれが一番強い?」と問うのに意味はない。
生き残っていること、それがそのものの、その場においての強さなのだ。
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昔、小学校で学んだ様な内容を、分かりやすく深掘りしている内容。中学生でも十分読んで理解できる内容だから、生物学なんかつまらん!
という学生こそ読んでみるべき内容なのかも。
一言で強いと言っても個体としての強さだけでなく、種としての強さも強さの一つなんだな、と改めて考えさせられたりした。
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自然界の法則は、生きていく上での教科書みたいなものだね。で、植物の、というか生物の生存戦略は、社会での生き抜き方にそのまま通用するのよね。会社や組織、商品、サービスなど、どうすれば長く生き残っていけるのか。その回答がずばり書かれているわけ。まあ、私がそういう目線で読んでいるからかもしれないけど。
特におもしろかったのは、「第五章 生物にとって「強さ」とは何か?」のところでした。
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植物全般とはまた広い話だなあと思いましたが、これまた分かりやすく興味を誘う素敵な本でした。
植物が何故動かないのかなんて考えたことも有りませんでした。生物ではないと思っていたので当然だろうと思っていました。太古の昔は生物も植物も同じ先祖だったんですね。びっくりです。
一番興味を惹かれたのは、裸子植物と被子植物の違いでした。学校で習ったけれど名称しか覚えていませんでした。何故針葉樹が北国で群生しているのかなんて考えたことも有りませんでしたが、水を運ぶシステムの違いによるものだったんですね。被子植物の発達した導管(水の管)が凍ってしまう事で北方では生育が難しい。裸子植物は古いシステムで水をやり取りしている為(細胞一つ一つに受け渡しする)凍結の被害を受けにくいのであります。
なんと素晴らしき植物の世界。
草も花も木も皆違って見えてくる本です。通勤でふと見る草花にも優しい目を向けたくなる良書です。