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鬼平犯科帳
著者 池波正太郎
第1話『唖の十蔵』は主人公・長谷川平蔵が火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)の新任御頭(おかしら)として登場。御頭自ら先頭に立っての捕り物に、江戸の悪党たちから「鬼の平蔵=鬼平」と恐れられるようになるいきさつを描く。続く第2話『本所・桜屋敷』では、若いころ平蔵がともに剣の修行に励んだ岸井左馬之助となつかしの本所で再会。かつて二人のあこがれの女性だったおふさの話に花が咲く。そのおふさが婚家を出されて本所にいるというのだが……。
鬼平犯科帳<巻の1> 唖の十蔵/本所・桜屋敷
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紙の本鬼平犯科帳 新装版 1
2012/05/30 10:29
こんなキャリアばかりなら、日本は安泰。
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る
主任になって1年が経とうとしていた時、この本と出逢い一気に全巻読み通しました。それまでは、好きな上司のためには一生懸命働き、嫌いな上司だと、みんなで悪口を言ってストレスを発散していただけでしたが、自分が初めて上司というものになり、自分はどんな人間に見えているのだろうかと不安になっていた時でした。
そんな時、この本が、上司のあり方の一つを示してくれました。ここまで立派だと、下で働く者はある意味大変だと思うが、自分の思い通りに部下をこき使い、うまくいけば自分の手柄とし、失敗すれば部下のせいにするのではなく、ゴールと理念を示した上で、部下の意見を尊重し、うまくいけば部下をほめ、失敗した時は、責任を取ってやる。この心掛けを忘れなければ、みんなついてきてくれるのではないか、そんな思いを持つことができた。
中間管理職で、課がうまくまとまらず悩んでいる方、この本を読んでみてはどうでしょう。一つ一つの話は短く、通勤に読むのにちょうどいいですよ。
紙の本鬼平犯科帳 新装版 1
2006/10/04 00:15
「粋」がつまった平蔵親分
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きゃろらいん - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんと粋な人がいたものか、と
この世界にどっぷりとはまり込んでしまう。
「粋」という言葉以外に、ぴったりとくる言葉が思い浮かばない。
情の厚さと、悪への厳しさ。
「人間くささ」から、
この人の下で働けたらとも思うほどに、長谷川平蔵は魅力的だ。
そして、そう入れ込んでしまうほど、
この鬼平犯科帳もまた魅力的だ。
紙の本鬼平犯科帳 新装版 1
2003/01/26 22:25
娯楽時代劇の傑作
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この正月ケーブルテレビの時代劇専門チャネルを見ていたら、偶然にも鬼平犯科帳を1日中放映していた。それまでまったく興味を抱かなかった鬼平であったが、見ているうちに引き込まれてしまった。
その放映では、昭和40年代に先代の松本幸四郎が鬼平を演じていたものと、最近まで放映していた中村吉衛門の2通りを放映していたので、奇しくも親子の競演を比べることができたのである。しかも、同じ原作を同じ日に放映していたので、新旧の比較もできるという鬼平ファンにとっては答えられない企画となっていた。
江戸時代の犯罪の取締りでは、町奉行所が我々には馴染み深い。一方で、凶悪犯罪に対して、町奉行所のようにお白洲のような訴訟手続きを踏むのではなく、現場での成敗が許されているのが火付け盗賊改メで、その頭が鬼平こと長谷川平蔵である。ときの老中、松平定信に見込まれて頭に就いた平蔵であるが、みるみるうちに腕を発揮し、押し込み強盗などに恐れられていた。
このシリーズは文庫本でも24冊にもなる捕物譚である。作者の池波正太郎は小説以外にも食通としても知られている。話の中には見回りの最中に立ち寄る江戸市中の馴染みの飲食店が度々登場し、読者を飽きさせないし、単なる捕物話にはとどまっていないのである。
また、押し込みの被害を受ける大店でも、その職種は様々で当時の商いの様子がうかがい知れるのである。
それ以外にも楽しみ方が色々あることは、すでに語りつくされている感がある。それにしても、と私が気付いたことがある。話の中には江戸市中の様子が描かれているが、鬼平を始めとする火盗改メや密偵が今では考えられない距離をよく歩くことである。町駕籠を利用することもあるが、通常の移動手段は歩行である。
当時の江戸市街地は現在とは比較にならないほど狭いことは分かるのだが、それでも品川、押上、巣鴨、目黒といった郊外まで足を伸ばして探索を続ける。それ以外に交通の手段がないとはいえ、その健脚振りには驚かされる。
本書の楽しみ方は人それぞれであるが、それだけ人々に種々の楽しみを提供してくれる娯楽書は類を見ない。池波正太郎の真髄が凝縮されている。
紙の本鬼平犯科帳 新装版 8
2006/05/17 23:08
活劇と泣きで、また1冊読んでしまいました
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
お馴染み鬼平の第8巻です。6つの中短編が収められています。それぞれ独立した話としても読むことができますが、なんとなく繋がっていて、時間の流れを感じることもできるのが鬼平の魅力の1つかもしれません。
この第8巻では、脇を固める人たちの活躍が目立ちます。特に親友である岸井左馬之介が登場する話が2つ収められており、「あきらめきれずに」では結婚もします。
しかし、やはり一番は鬼平の活躍が目覚しい「流星」でしょう。東と西の盗人が鬼平を苦しめますが、最後には大捕り物となり、しかも最後の最後で泣かせてくれます。
これがあるから、鬼平はやめられないのですね。
紙の本鬼平犯科帳 新装版 6
2005/04/16 14:28
だから平蔵は火盗改方をやめられない
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
『鬼平』第6巻に収録されている話はどれも、これまでとやや趣を異にして、やや内輪話めいたものばかりであった。それは冒頭の「礼金二百両」にも表れている。話の始め辺りで平蔵が自らの仕事について、過去の仕事と比べて話をするところがある。そこで平蔵は言う。
「それにくらべると、いまおれがしていることは、日に日に新しい。いろいろな人間たちの、いろいろな心とふれあい、憎みながらあわれみ、あわれみつつ闘わねばならぬ。四十をこえて長谷川平蔵、人の世がまことにおもしろくなってきて、な・・・・・・」
好きとか嫌いとかでなく、火付盗賊改方という仕事にどっぷりとはまりこんでしまった、しかしなお人の世がおもしろくなってきた、ということを妻に吐露しているのだ。『鬼平』のおもしろさは、いくつも数えあがることができるのだろうけれども、何よりも鬼平がこのように感じながら活躍しているところが、一番趣きつけられるところなのではないだろうか。
先にも述べたように、この第6巻は内輪話というか、馴染みの登場人物たちの隠れた話が多く出てくる1冊である。その中でもとりわけ、「狐火」は読み応えある話であった。
実は、どれも捨てがたい話ばかりなのだけれども。
電子書籍鬼平犯科帳(一)
2020/10/12 15:46
父に影響されて
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:gunners - この投稿者のレビュー一覧を見る
父に影響されて読み始めたシリーズ。一個一個は短編で読みやすく、ドラマ版と違う部分もあるので違いを探す読み方もありです
電子書籍鬼平犯科帳(一)
2015/03/24 22:32
安定感のある小説ですね!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やよいこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
たくさんのキャラクターが登場しますが、なんだかんだと関連し合っていて、続きが読みたくなってしまいます。
どうしようもなくダメなやつ、感情移入できてしまうダメなやつ、平蔵のような完璧な男。
なるほどね〜と言いながらあっという間に読んでしまいました。
紙の本鬼平犯科帳 新装版 7
2005/02/23 23:32
出張の帰りの電車の中で読んでしまいました
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
出張で長く電車などに乗らなくてはいけない時には本を読むことにしている。買いおいて読まないままになっている本を持って出て、電車の中でひたすら読むのだ。実際には眠ってしまったりすることも多いのだけれど、つい先日の出張の時には眠ることもなく1冊読み終えてしまった。そこで、はたと困った。こんなに早く読み終えるつもりもなく、帰りの電車の中で読む本を持ってこなかったのだ。
仕方がないので、最寄の本屋に入って何か適当な本はないものかと探すことにした。家に帰れば読んでいない本が山とあるので、あまりその山の足しにしてしまうような本は遠慮しておきたい。出来れば帰りの電車に乗っている間で読み終われる本にしたい。などと考えながら探すと、適当な本が見つからない。
そんな時に目に止まったのが『鬼平』だった。これですよ、これ。サクサクと読めて、それでいてストーリーがイメージしやすく作品世界にすぐに入っていける。
で、車中で読んでしまった。
なぜ7巻を選んだのかと言うと、すでに『鬼平』シリーズは読みかけていたのでちょうどここらへんだったということと、中島梓の解説が載っているから。この解説が儲けものだった。『鬼平』が、サクサク読めて、イメージがしやすい、入り込みやすい物語だということの説明が、的確になされていたのだ。
そうだよね、だから『鬼平』はいいんだよ。
紙の本鬼平犯科帳 新装版 1
2004/12/17 19:53
よっ!平蔵親分、かっこいいねぇ、粋だねぇ。こんな親分の下で働いてみたいっ!
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:風(kaze) - この投稿者のレビュー一覧を見る
火付盗賊改方の長官を務めることになった長谷川平蔵こと鬼平が主役を張るこのシリーズ。予想以上に面白くて、第1巻収録の八つの話を次から次へと読んでしまいました。読み始めたら止まらないって感じ。
登場人物や彼らが関わる事件が、それぞれの話のなかで繋がっていますね。例えば、第三話で出てきた脇役が、第五話では主人公になるという具合に。やっぱりこういうシリーズものは、最初から順番に読んでいかないと面白味が半減してしまのだなあと、つくづくそう思いました。
まず「へえーっ」となったのは、モラルを守った“真の盗賊”と、兇悪無惨な殺しも平気でする“非道の盗賊”の二種類があるってえところ。真の盗賊の三箇条というのがありまして、これは次のようなことになっております。
一、盗まれて難儀するものへは、手を出さぬこと。
一、つとめ(盗み)するとき、人を殺傷せぬこと。
一、女を手ごめにせぬこと。
このモラルを守って盗みをする“真の盗賊”たちが、この道に背く“非道の盗賊”どもを嫌悪するところが面白かった。これは何だか、子供の頃に夢中になったアルセーヌ・ルパン一味の義賊に通じるところがあるではないかなどと、益体もないことを思ったりしたのですな。
また、平蔵の人柄や仕事のやる気に心を動かされて密偵として働くようになる盗賊や、平蔵の剣友・岸井左馬之助など、魅力的な脇役が次々と出てくるんですね。何年もかけて大仕事の準備を進めていく“真の盗賊”の大親分なんてえのも、法に照らせばそりゃあ悪いことをしているんが、これが案外憎めない。どころか、大親分に惚れ込んで一度はその下で仕事をしてみようなんぞという気になる盗賊が出てくる。その気持ち、分かるなあってなもんです。
初っぱなの第1巻がえらく面白かったので、このシリーズ、これからずんずん読んでいくつもりです。巻末の植草甚一さんの解説を読むと、巻が進むほどにますます面白くなっていくようなので、「これよりもっと面白くなるんか! わーい。そりゃ楽しみだあああ」と、もうわくわくしているのであります。
紙の本鬼平犯科帳 新装版 1
2003/08/03 18:00
全24巻読了
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:野猿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「鬼平犯科帳」全24巻、遂に読了いたしました。最初は「こんな長いの、読めるかなぁ?」と思いましたが、読み進むうちに面白くて、やめられなくなってしまいました。ほとんど一気読みという感じで、最近では中村吉エ門主演のビデオまで借りてきて、耽溺する始末でした。主人公、長谷川平蔵の剣捌きと、心憎いばかりのご差配は、もちろん格好いいのですが、この作品を読ませるのが、読んでいて垂涎の料理描写と、岡場所(下半身の娯楽場の方ですね)などを描いた際のエロチックさです。池波先生の鮮やかな手並みに、私の煩悩は刺激されっ放しでした。しかし池波先生がグルメであることは有名ですが、岡場所訪問もグルメであったのかなどと、読んでいてけしからん想像をしてしまいます。「鬼平犯科帳」は短編、長編取り混ぜて、全168本の作品があります。元来が「オール読物」という雑誌に連載されていたため、どの巻から読んでも、読者が作品のこれまでの経緯が判るように配慮されて書かれています。文豪といえども、細かい配慮のもとに執筆なされているんだなと感心いたしました。しかし、第24巻の途中にて、著者長逝につき、絶筆……。この続きが読みたい!
紙の本鬼平犯科帳 新装版 10
2007/08/11 18:58
むかしなじみー『鬼平犯科帳(十)』所収
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よくきた - この投稿者のレビュー一覧を見る
むかしなじみ
盗賊改方の老密偵・相模の彦十は、威勢はいい
が情にもろい。むかしなじみの盗賊、網虫の久八
の内輪話にもらい泣きした。
久八は上方で女房をもった。しかし、盗人稼業
があり、何時までも女房のおきんとは暮らせな
い。四天王寺の、豊次郎という少し頭の足りない
男に、五両をつけて女房をやった。
十八年ぶりに大阪に戻ったところ、おきんは身
すぼらしい、垢くさいなりをしていた。聞けば、
せがれが一人いるという。そのせがれの豊吉は久
八の子で、あのとき、おきんは身籠っていた。
豊次郎は豊吉が久八の種と知りながら、育てて
くれた。豊次郎とせがれの豊吉は、共に労該(ろ
うがい)にかかり、小さい家の中で凧の骨のよう
にやせ衰え、枕を並べて寝込んでいた。貯えも使
い果たし、三人で首をくくるしか道がないところ
へ、久八が現われたというわけだった。
「こうなったら、恩義ある豊次郎どんのために、
ぜひとも、まとまった金をつかみてえと、おら
ぁ、江戸へやってきたのさ」と、久八は締めくく
った。
秋の気配がしのんできた役宅の庭に、葛(く
ず)の匂いも流れていただろうか。
平蔵の前に現われた彦十は、久八と会ったこと
を隠し、しょんぼり、おずおず、本所界隈で鳴ら
した江戸っ子らしくない。
平蔵は相手をチラッと見ただけで泥棒と見抜く
勘ばたらきをするから、彦十の胸中に異変が起こ
ったことが、直ぐにわかった。それから、昔馴染
み一味を捕縛するまでの平蔵の心づかいは、放蕩
無頼の生活を送っていた頃の仲間に対する、友情
の厚さであった。
電子書籍鬼平犯科帳(一)
2022/06/08 21:42
上司ならば最高
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
こういう上司が、現代にいたらなぁ……と思わずにいられません。辛苦をなめた人生だからこそ、の仕事ぶりです。短編なので読みやすいし、それぞれのお話に哀愁があったり、爽快感があったり