電子書籍
スウィート・ヒアアフター
著者 よしもとばなな (著)
お腹に棒がささった状態から生還した小夜子は、幽霊が見えるようになってしまった。バーに行ったら、カウンターの端に髪の長い女の人がいる。取り壊し寸前のアパートの前を通ると、二...
スウィート・ヒアアフター
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スウィート・ヒアアフター (幻冬舎文庫)
商品説明
お腹に棒がささった状態から生還した小夜子は、幽霊が見えるようになってしまった。バーに行ったら、カウンターの端に髪の長い女の人がいる。取り壊し寸前のアパートの前を通ると、二階の角部屋でにこにこしている細く小さい女の人がいる。喪った恋人。元通りにならない頭と体。戻ってこない自分の魂。それでも、小夜子は生き続ける。涙あふれる書き下ろし小説。
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紙の本
好きな本
2017/08/06 06:54
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:金柑露 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なぜこんなにもばななさんの言葉はスッと心に入るのか、本当に不思議。
読み終わってもう一度読みたくなる本だった。どの文章もその情景が浮かんでくるし、必ず読んでいて胸を締め付けられるような場面があって涙がこみ上げてくる。若い頃だったら死についてなど深く考えなかったかもしれない。歳を重ねてから読んで、親しい人の死や遺された人のことを思ったり、これからのことを考えたり、思い出したり(お盆も近いし)余計に心に沁み入ったのか。小夜子さんを見守る周りの人たちの話もよかった。
文庫版のあとがきに京都を舞台にした訳が書かれていたが、私が幼い頃から感じていた京都の日中間と夕闇から夜にかけての空気感についての思いがまるで同じで、おまけがついていたかの様にうれしく思いました。
文庫版で厚みもいつもより薄いのに、中身が濃くて、ばななワールドの言葉に魅了されます。
紙の本
生きるのがつらいときに読むと心が軽くなる本です。
2024/03/03 11:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:感謝 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者あとがきには「軽く書いているように見えるかもしれませんが、この本は東日本大震災への鎮魂の本です」というようなことが書いてあって、とても納得できた。
だって、この世をどうやったら軽く生きていけるかというテーマの本だったから。
どんなに辛い理不尽な状況でも(自分はお腹に鉄の棒が刺さって死の淵をさまよい、隣で運転していた恋人は永遠に喪われる)、人生は続いていき、いつか終わる。
外見をすっかり変えた主人公。中身は変わりないようだが、あの世と少し繋がれるようになって生きている。
自殺してもいいし、しなくて生きてもいい。悲しんでもいいし、悲しまなくてもいい。自分が生まれてきた事に意味はあるかもしれないし、そんなものはないかもしれない。
電子書籍
笑顔こぼれる幽霊
2022/08/03 12:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
予期せぬ交通事故に巻き込まれた小夜子が、迷い込んでいく世界は深く美しいです。可愛がっていた愛犬から懐かしいお爺ちゃんまでと、冥土巡りも幻想的でした。
紙の本
みんな悲しいほどにいろんなことを背負って生きている。
2019/01/27 10:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キティ - この投稿者のレビュー一覧を見る
死を身近に感じたときに読みたい本。
「背負ったことのある人」は細かく美しく動くから、背負ってしまってよかったと思う、というところがすごく好きです。
「悲しみを背負う」ことを、こんなに綺麗に表現するなんて。
よしもとばななさんの言葉は本当にすっと心に入ってきます。
私も細かく美しく動いていたい。
紙の本
心の深いところに響く、音楽みたいな本。
2020/09/05 12:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:梨桜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
静かなジャズを耳にする心持ちで、読むほどに落ち着いていった。
そぅっと生きる、お腹の声を聴く、という箇所が今回は響いた。
著者の作品は何回読んでも気になる場所と、響くのが変わる場所があって、自身の定点観測になっている。