菜の花の沖(一)
著者 司馬遼太郎
江戸後期、淡路島の貧家に生れた高田屋嘉兵衛は、悲惨な境遇から海の男として身を起し、ついには北辺の蝦夷・千島の海で活躍する偉大な商人に成長してゆく…。沸騰する商品経済を内包...
菜の花の沖(一)
商品説明
江戸後期、淡路島の貧家に生れた高田屋嘉兵衛は、悲惨な境遇から海の男として身を起し、ついには北辺の蝦夷・千島の海で活躍する偉大な商人に成長してゆく…。沸騰する商品経済を内包しつつも頑なに国をとざし続ける日本と、南下する大国ロシアとのはざまで数奇な運命を生き抜いた快男児の生涯を雄大な構想で描く。
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人間くさい、素晴らしい歴史小説です。
2016/07/17 18:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:大阪の北国ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつもは『街道をゆく』を読んでhontoのレビューに投稿していますが、司馬さんの長編小説は長過ぎる気がして、今まで中々手が出ませんでした。今回北海道ものを読みたくて、初めて『菜の花の沖』を読み始めましたが、一巻も終わりに近づいたとき「えっ、もう終わりなの」と感じたほどの面白さでした。読む前は、商人の生涯なんて、どれほど偉大に描けるのだろうかと斜めにみていたのですが、さすが司馬さんが選んで採り上げる主人公は「人間くさく、大きいなあ」という印象です。
『街道をゆく』は、「沿道の風景プラス歴史や風俗の蘊蓄」という構造が面白く、読者を飽きさせませんが、この本はその「沿道の風景」が「嘉兵衛の生きざま」に置き代わって同じように展開されていきます。例えばこの第一巻では「蘊蓄」の部分が、
1.阪神地域での水車を利用した搾油業とその製品輸送業の発展
2.対岸の淡路島における搾油原料「菜の花」栽培の起源
3.当時の若者集団の組織である「若衆宿」の風俗やポリネシア等の南島文化と日本文化との関連
4.徳川幕府の海運・船舶政策と船舶の構造
などとして説明され、単なる主人公の人生のみが語られるだけの薄い小説とは違い、読み飛ばさずに真面目に読むと「勉強になる」というような深みが感じられます。
嘉兵衛が少年期に遭遇した貧困や村八分などのつらい体験にも、読者がつい引き込まれ感情移入してしまう、人間くさい描き方がまた司馬さんの特技だと思います。
嘉兵衛が生きた淡路島から兵庫、大坂などの風景は、今と重なる身近な地形や町の習俗が描かれており大変面白く、夢中になって読み進めました。これなら「六巻まで行けそう」という感覚です。司馬さん、面白い小説をありがとう。
マーケティングの基礎講座
2001/03/14 15:52
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:すみのえ - この投稿者のレビュー一覧を見る
極貧のいじめられっ子が全国を舞台とする商人になっていくサクセスストーリー。淡路島から物語がスタートし、北海道の美しく厳しい自然と人々の交流がこまやかに描かれています。
農本社会の日本人が貨幣経済の隆盛を迎えるということはどういう事なのか。ルネッサンスが商都フィレンツェの繁栄を土台とするように、商売は人間に構想力と認識力を身に付かせ、新しいものを創造することを可能にします。ペリー来航から半世紀程度前が舞台ですが、明治維新を展開するパワーがどのような土壌からでてきたかを知ることができます。
外資系超大手流通の上陸に脅威を持ってる方、あわてる前にまずこの作品を読みましょう。外国人との付き合い方や、商売の基本である商品政策、顧客満足から得られる「信用」についてまで幅広く学べますのでマーケティングの教科書としてもお勧めします。
若き嘉兵衛
2017/02/27 13:00
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投稿者:たはりゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
若き嘉兵衛のハラハラドキドキの展開。次巻が気になる一冊です。
異色の経済小説
2015/05/08 03:37
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
司馬遼太郎の作品のなかでは、珍しく商人が主人公だ。江戸時代の廻船商人高田屋嘉兵衛を通して造船技術やマーケティング論、当時のゴローニンなど政治的な事件にもふれている。作者の引き出しの広さには驚かされる。2月12日の命日は著者が好きだった花の名前にちなんで「菜の花忌」だ。このころに、こんな一冊を読むのもいいかもしれない。
和船の性能は悪くないのだ
2001/12/12 00:06
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投稿者:しっぽ - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公は淡路島で生まれて兵庫に出て、船の水夫から船頭になり、ついには商人として蝦夷地との貿易に乗り出した高田屋嘉兵衛という男。この人、最後にはロシアの船につかまって、ロシアと日本の外交上の掛け橋にさえなろうとした人です。
こいつもぼくが好きな「帆船もの」ではありますが、ちょっとだけ毛色が変わっています。ここに登場してくる船は、いわゆる「和船」です。なんていうんだろう、「帆掛け船」みたいなイメージのやつかな。マストが一本しかなくて、でっかい帆が一枚ついててっていうあれです。七福神の乗ってる宝船みたいなやつね。
西洋の帆船と比べると、和船は性能が悪いというのが通説なんだけど、じつはそれは、徳川家康が船の建造を制限したからなんですね。船の大きさも上限を決めて、マストの本数も一本と限定されてたらしい。その制限の中でいろいろ工夫を重ねてたどり着いたのが、ああいう船だったということらしい。
が、しかし、昨年、大阪市が博物館に展示するために江戸時代当時の和船の忠実なレプリカを造ったところ、せっかく造ったんだから試しに走らせてみては、と話が盛り上がってしまい、実際に大阪湾でなんどか帆走実験をするという楽しいことになってしまったらしい。ぼくは直接は参加していないけど、実際にその実験で航海した人によると、和船も意外とよく走るらしい。ただ、操船自体はけっこう大変みたい。風が安定している時はいいけど、細かく風が変わるようなコンディションだと、帆がでかいぶん調整が大変だし、なおかつきちんと調整しないとうまく走らないような気がするとおっしゃっていました。あっ、なんか、本の話じゃなくてただの船の話になってる。
物語としてもとても面白いと思います。武士の視点からではなく、商人という、江戸時代の身分階級の中では下に見られていた社会の、その中でも異端の廻船問屋という立場からの、時代や社会に対するとらえかたが面白い。幕府による武士の支配が世の中の末端からきしみだしていくような感覚がある。そういう視点から歴史を見るのもなかなかに面白いですよ。
嘉兵衛
2025/02/16 18:58
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投稿者:みみりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
司馬遼太郎さんの長編です。
江戸後期の高田屋嘉兵衛という人についての話らしい。
そんな人は全然知らなかったので、だれそれ!?から始まった。