- 販売開始日: 2021/07/03
- 出版社: 岩波書店
- ISBN:978-4-00-061466-5
分水嶺
著者 河合香織
クラスター対策に3密回避.未知の新型コロナウイルスに日本では独自の対策がとられたが,その指針を描いた「専門家会議」ではどんな議論がなされていたのか? 注目を集めた度々の記...
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商品説明
クラスター対策に3密回避.未知の新型コロナウイルスに日本では独自の対策がとられたが,その指針を描いた「専門家会議」ではどんな議論がなされていたのか? 注目を集めた度々の記者会見,自粛要請に高まる批判,そして初めての緊急事態宣言…….組織廃止までの約四カ月半,専門家たちの議論と葛藤を,政権や行政も含め関係者の証言で描くノンフィクション.
目次
- プロローグ
- 第1章 未知のウイルスを前に
- それぞれのルビコン川
- 厚労省アドバイザリーボード
- 専門家会議発足
- 市民への説明
- 独自の見解の準備
- 専門家会議としての会見へ
- 第2章 クラスター対策と「情報の壁」
- クラスター対策班
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コロナウィルス感染拡大初期に奔走した専門家会議メンバーの葛藤を描いたノンフィクション
2022/12/14 17:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
コロナ対策に関する提言で頻繁にマスコミに登場した「専門家会議」。3密とか、人との接触7割減とか、さまざまな提言を発信されました。その専門家会議は発足から約半年を経て、後継の組織へと引き継がれたのですが、その半年間に政権や厚労省などとどのようなやり取りがあったのかを追ったドキュメントです。
感染症の専門家であっても新型コロナは初めて遭遇する感染症で、”サイエンスは失敗が前提。新しい知見が出てくれば、前のものは間違いということになる。そういう積み重ねが科学であり、公衆衛生はエビデンスが出そろう前に経験、直感、論理で動かざるを得ない部分がある(本書より尾身先生の発言を抜粋)”という姿勢で臨まれたのに対し、政権や厚労省は”間違いたくない。誤ってはならない(無謬性の原則)”という姿勢で臨むため、どうしても両者の考え方には溝ができてしまう様子が克明に記録されています。
あくまで政権に科学的なアドバイスを与えるという立場で関わるはずだった”専門家会議”が、あたかも政策を決定している当事者と勘違いされるほどに前面に出ざるを得なかった事情、疲弊する経済界や自粛疲れの市民からのいわれのない誹謗・中傷を受けながらも”コロナ禍の収束に向けて何かできないか”と粉骨砕身で臨まれた様子が伝わってきます。
学者として譲れない部分と政権や行政とのすり合わせの中で妥協を強いらる状況への葛藤、感染症の専門家としての責任感や、どこまで政策決定に責任を持つのかという迷いとか、さまざまに変化していく状況下での専門家の皆さんの動きが鮮明に描かれています。コロナ禍がいまだ収束せず、多忙を極める専門家の方々の姿を、よく取材できたなぁ、と驚きを禁じ得ない印象です。
記者会見でよくお見掛けする尾身先生はかつてWHOで感染症対策の最前線を経験された方で、記者会見などでは一見クールな印象を受けますが、本書からは責任感の強さや使命感に燃える熱さが伝わってきて、この方が日本のコロナ対策の中枢にいて下さったこと、今も責任ある立場で関わって下さっていることが日本にとっての幸運ではないかとさえ感じさせられました。
頭が下がります。
2021/06/20 22:42
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ら君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
私が、マスクが買えないとか、外出できず買い物もままならないなどがしんどいとボヤいていた日々、こんなにも壮絶な闘いをしていた人がいたとは。
困難な状況でも投げ出さず、自身の能力を最大限に活かす人たちに感激しました。
コロナ禍のひとつの検証
2021/08/12 12:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
コロナ禍としっかりと対峙してきた専門家会議の始まりから終わりまでを、丁寧に追ったルポルタージュである。専門家会議や行政側の視点を取り上げているので、読者の視点とは異なるが、そこに記録としての重要性は大きい。専門知のあり方や、政治と科学との葛藤は、専門家だけに任せておく問題ではなく、私たちが主体的に問い続けていくものである。専門家会議とはいえ、専門知も異なれば、社会観も異なる人たちで構成され、必ずしも統一のとれた集団ではなかったが、それ故に、大いに議論が盛り上がっただろう。
検証するための重要な記録
2022/02/27 16:18
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
新型コロナウイルスが確認されてからの政府とコロナ対策専門家会議の緊迫した日々を綴るノンフィクション。
2020年に雑誌『世界』に連載され、この単行本の観光は2021年春。
すでに1年が経過しており、さすがに遠い昔を回顧する感があり、もっと早く読んでおけばと言う感じがした。(つまりルポルタージュだけに時間が経過すると読むほうも冷めてしまっている)
しかし専門家会議の面々に綿密で丁寧な取材がなされており、コロナ対策を検証していく上では非常に重要な記録だと思う。
時の経過に耐える作品、という、尾身氏の望みをも果たすためにも。。。
2021/05/11 21:46
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投稿者:IYIY - この投稿者のレビュー一覧を見る
岩波「世界」への連載をベースとした一冊。
あとがきに、「時の経過に耐える作品が残ることを期待しています」という、尾身茂氏の言葉があるが、
まさにそれを目指していただくために、もし増補版などが検討されるならば、以下の点の工夫があるとよいと感じた。
○巻末の関連事項カレンダーに、本文該当頁を挿入(→時系列がよりクリアになる)
○人物索引的なもの (お名前を出せない、厚労省の関係者の方々も含め。。。→どの時期にどなたの活躍が大きかったのか、がより分かりやすくなる)
○用語索引(&解説)的なもの (→特に、本文から用語解説が分離されると、ストーリーがより締まった形で読めるように感じます)
10年経っても、読み次がれる一冊になるためにも、ぜひ。
コロナウィルス感染拡大初期に奔走した専門家会議メンバーの葛藤を描いたノンフィクション
2024/11/26 17:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
コロナ対策に関する提言で頻繁にマスコミに登場した「専門家会議」。3密とか、人との接触7割減とか、さまざまな提言を発信されました。その専門家会議は発足から約半年を経て、後継の組織へと引き継がれたのですが、その半年間に政権や厚労省などとどのようなやり取りがあったのかを追ったドキュメントです。
感染症の専門家であっても新型コロナは初めて遭遇する感染症で、”サイエンスは失敗が前提。新しい知見が出てくれば、前のものは間違いということになる。そういう積み重ねが科学であり、公衆衛生はエビデンスが出そろう前に経験、直感、論理で動かざるを得ない部分がある(本書より尾身先生の発言を抜粋)”という姿勢で臨まれたのに対し、政権や厚労省は”間違いたくない。誤ってはならない(無謬性の原則)”という姿勢で臨むため、どうしても両者の考え方には溝ができてしまう様子が克明に記録されています。
あくまで政権に科学的なアドバイスを与えるという立場で関わるはずだった”専門家会議”が、あたかも政策を決定している当事者と勘違いされるほどに前面に出ざるを得なかった事情、疲弊する経済界や自粛疲れの市民からのいわれのない誹謗・中傷を受けながらも”コロナ禍の収束に向けて何かできないか”と粉骨砕身で臨まれた様子が伝わってきます。
学者として譲れない部分と政権や行政とのすり合わせの中で妥協を強いらる状況への葛藤、感染症の専門家としての責任感や、どこまで政策決定に責任を持つのかという迷いとか、さまざまに変化していく状況下での専門家の皆さんの動きが鮮明に描かれています。コロナ禍がいまだ収束せず、多忙を極める専門家の方々の姿を、よく取材できたなぁ、と驚きを禁じ得ない印象です。
記者会見でよくお見掛けする尾身先生はかつてWHOで感染症対策の最前線を経験された方で、記者会見などでは一見クールな印象を受けますが、本書からは責任感の強さや使命感に燃える熱さが伝わってきて、この方が日本のコロナ対策の中枢にいて下さったこと、今も責任ある立場で関わって下さっていることが日本にとっての幸運ではないかとさえ感じさせられました。