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投稿者:くらげ - この投稿者のレビュー一覧を見る
チョ・ナムジュさんは感情の機微を的確に表現する作家だと思う。『82年生まれ、キム・ジヨン』『彼女の名前は』を読んでいてもそうだったけど、自分の中で取るに足らないと思って横流ししていた感情の引っ掛かりを思い出させてくれる。
『ミカンの味』ので描かれるのは、高校進学を控えた4人の女子学生。家庭環境や性格もバラバラな彼女たちがどこか気まずい時、そして無敵なほどに連帯する時。友人のたった一言で救われたような気分になったり暗い闇の底に突き落とされたり。そういった日々の中での刹那的な浮き沈みと、永遠に刻まれる記憶の両方を感じられる作品だと思う。
あと、私はこの作品を読んで初めて韓国に鮒焼き、という日本の鯛焼きと似ているおやつがあることを知り、韓国の文化により一層興味が湧いた。
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投稿者:るい - この投稿者のレビュー一覧を見る
韓国の本を読むことが3冊目。
アメリカ、ヨーロッパの国の翻訳本は、子供の頃から読んでいたので、スッとその世界に入れるけれど、韓国の世界は、大人になって、ドラマ、映画、TVの語学番組だからか、何故か、日常のお話でも、感覚的にわからないのか?と今回も思いました。絵本も韓国の絵本の邦訳は、やはり馴染めないところがあります。
でも、実際に韓国の方と日本で接する機会、韓国の方が演じるミュージカルを観る機会は、お互いに伝える努力があるからか、違和感は感じませんでした。読書の時よりは。
これから、今迄読んでいない国の邦訳の本を読んで、その国の感覚にも触れたいと、この本を読んで、改めて思いました。
少女たちの選択。
2021/07/02 14:04
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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
学内でお喋りをする四人少女たち。同じ部活動を通じて仲好く過ごしている。それぞれが家庭の事情を抱え、それぞれの悩みがある。それでも一緒にいたい。
韓国の学校制度、進学熱を絡ませながら、大人の期待と当事者の子どもの希望は重ならない様子が描かれる。
少女の揺れる成長の道程。
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
四人とも違った家庭事情を抱え、部活動を通じて心を通わせる。高校入試の前の、それぞれの心の動きが鮮明に書かれている。やや、日本人としてはどうかな……な点もあるけれど……。
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初韓国文学。
トッポギって、おやつ感覚で食べる物なのか…
そんなどうでもいい事を思いつつ、
学生の時の一緒になになにしようね!どこどこに行こうね!!と言うあの感覚…
大人になってくると何故だかその群れてなす事が煩わしくドライになっていくのに、何であんなにも友達と一緒にいる事に真剣にひたむきだったのか。
少女達が段々と熟したみかんになるように、それぞれが色んな事を考え体験して大人になっていく。
もう二度と戻れないあの時の場所だからこそ、読んでいて猛烈に懐かしくなった。
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娘の中高時代を思い出すような本だった。物事の良し悪しもまだよくわからない思春期の女の子達が、本能的に過ごす日常。育った環境や性格もみんな違う4人が自分で進路を決めていく。
女性が女だからと言われる事の多い韓国や日本。それでも自分の意思を主張して行こうという風潮が韓国には感じ取られる。日本だとなんだか炎上しそうだ。
10代の子達が自由に生きられる時代に…と切に願う。
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中学生、という繊細で激しい時代の苦悩や葛藤、嫉妬や煮え切らない感情の渦。それでも進むしかない光の時期を、とても見事に描いている。時代も国も環境もちがうけれど、かつての自分を思い出してしまう。こんなにも危うくて孤独な時を誰しも乗り越えてきたんだと。
ミカンの味、という核になりうる出来事をタイトルにしているのも良い。
韓国の教育事情や現代日本にも未だ残る性差別もよく描かれていて、誰しも感じる生きづらさが見事に表現されている。
切ない気持ちのまま一気読み。
彼女たちの未来が明るければ良いのに。
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高校進学を控えた4人の女子中学生を主人公に、それぞれの視点から“いま”を描いた作品。4人それぞれがなにかしらの悩みを抱え、不満や憤りを感じて生きている。一番多感な時期の少女たちの思いがみずみずしく、だが生々しい面も隠さずに描かれている。この作者ならではのフェミニズム的視点からの鋭い描写ももちろん盛り込まれている。韓国の進学事情には疎いため、巻末に付された訳注に助けられた。
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中学生女子四人が主人公の小説なので、YAかなと思ったけど、どうなんだろう。
それぞれの女の子が抱える悩みや家庭の事情もリアルだし、子どもには読ませたくないような表現もない。読める子どもは読んだらいいと思う。
でも、なんだか、一人一人に共感できる感じが薄い気がする。主人公たちと共鳴するような感覚はなかった。
これは私個人の資質、あるいは年齢によるものかもしれないが。
入試でなく内申と面接だけで決まる韓国の高校入試制度は、反抗したい思春期の子どもにはかなりハードだと思う。日本もジェンダーギャップは大きいが、家庭内で父親がかなり威張っていて誰も逆らえない感じは昭和の雰囲気に似ている。
子どもの学歴を良くするため、母親が情報収集して熱心に取り組むあたりは日本の中学受験にも似ている。
しかし。中学や高校の時の友情など刹那に過ぎず、皆それぞれバラバラの人生を歩むんだから、こんなことしない方が良いよ、新しい環境で新しい友達を作ったらいいじゃない?と思ってしまうのは年をとったからかなあ。
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中学から高校になる過程の少女たちの複雑な内面は、どこの国でも一緒だな~
親との関係、友達との関係。
仲良し4人グループの中でもちょっとしたすれ違い。
確かに甘酸っぱいミカンの味なのかな。
名前が似てるから、誰だっけ?誰だっけ?と登場人物を確認しながら読みました。
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“「ちゃんと二つの手があるのに自分の食事も作れない人間は、みんな出来損ないなんだよ」”(p.77)
“何もせず何の考えもない人が、わかったような顔をして後ろ手に組んで他人のことをあざ笑うものなんだよ。何もせず、何の考えもないから。”(p.92)
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中学生は忙しい。高校選択の時点で大学進学まで見通し、受験して特目高、私立高に入学するか、抽選で決まる一般高校に入学するか決める。映画部活動があって、文化祭の準備して、友人の言動に一喜一憂して、受験する周囲は塾通いや内申書に記載する活動に邁進して。家族や先生の期待と本人の希望の乖離に対し、友人とともに意外な行動にでますが、そういうとき、すでに中学生は子どもではないと思いました。
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「82年生まれ、キム・ジヨン」著者の新作という帯の惹句以上の予備知識もなく、オレンジの色味が美しい表紙につられて、私のようなおっさんが買ってしまった。
読み始めてすぐに、こっぱずかしさがこみ上げてきた。
登場人物はほとんどが女性。しかも自分から年齢がはるかに離れた女子中学生4人の心の声が交互に立ち現われてくる。私には、彼女らの声がリアルなのか、それともフィクション性が強いのかがまるで判読できない。
まるで映画「櫻の園」を見た時のような感じ、と言えばわかってもらえるだろうか?
https://booklog.jp/item/1/B006OSUYY4
だけど、女子高校生の心の奥底の光と影を織り上げるような展開の「櫻の園」と比べ、「ミカンの味」もまた違った繊細さであふれている。
実際のところ、現実の女子中学生からはキモいとまで言われかねない私のようなおっさんが、女子中学生の心理の綾(あや)に触れられるという点では、この本は読書のだいご味を味わわせてくれる(笑い)。
一方で、この作品には「櫻の園」とは異なる要素も多く含まれていることに気づかされる。
例えば先に女子中学生4人の心の声と書いたが、そこに挟み込まれるように彼女たちの家族、つまり大人たちの心の声が、自身の声または中学生の声を借りて奏でられている。つまりこの本は単純に女子中学生の物語としてだけでなく、角度を変えれば中学生を家族に持つ大人たちの物語としても読める。
また、韓国社会、特に現在の中学生を取り巻く韓国の学校生活に対する批判的視線や問題提起が随所に見られるのも特徴に挙げたい。だから、それらに逆らうかのような彼女たちの言動に対して、幼さゆえの無謀さと一笑に付してしまうより、彼女たちは学校や社会や制度にあえて染まろうとせず、ただ自分たちの心に素直であろうとしただけと考えるほうが自然ではないだろうか。
幼いというか、未熟なのは私たち大人のほうなのだとすら思ってしまうが、もし私が彼女たちの年代に戻りたいか?と聞かれれば、考えてしまう。だって、あんなに複雑で大変な人間関係と学校生活に巻き込まれるのだから(笑い)。
ところで著者は将来、彼女たち4人のその後を書いた続編を出すつもりだろうか?
私も単純に4人がいつまでも変わらない友情を保ち続ける展開を期待するほど楽観的ではないが、なんにせよ、4人がそれぞれ自分らしく生き続けることで幸せと読み替えられるようなその後の人生を期待したい。
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韓国のありふれた女子中学生4人の話。みんなそれぞれ家庭や進路・彼氏のことで悩みを抱えている。ところどころ、チョ・ナムジュさんらしいフェミニスト的な内容が隠れている。
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ソラン、ダユン、ヘイン、ウンジは中学で同じ映画部に入った。そして二年生が一年生に押し付けていった文化祭で企画を考え展示し催した。文化祭の行事で苦労した四人はそれからだんだんと仲良くなっていった。それぞれの家庭にはそれぞれの問題があったし、学業成績にはみんな追われていた。そんな中で一番成績のよいダユンが、外高(特殊目的高校の一つの外国語高校)に行かないという…。四人それぞれの悩みやそれぞれの家庭環境を描き、少女たちの友情を描いた小説。韓国の教育制度の厳しさや貧富の格差や男女差別もあらわに見える。ベストセラーになった「82年生まれ、キム・ジヨン」の作者。