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初韓国文学。
トッポギって、おやつ感覚で食べる物なのか…
そんなどうでもいい事を思いつつ、
学生の時の一緒になになにしようね!どこどこに行こうね!!と言うあの感覚…
大人になってくると何故だかその群れてなす事が煩わしくドライになっていくのに、何であんなにも友達と一緒にいる事に真剣にひたむきだったのか。
少女達が段々と熟したみかんになるように、それぞれが色んな事を考え体験して大人になっていく。
もう二度と戻れないあの時の場所だからこそ、読んでいて猛烈に懐かしくなった。
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娘の中高時代を思い出すような本だった。物事の良し悪しもまだよくわからない思春期の女の子達が、本能的に過ごす日常。育った環境や性格もみんな違う4人が自分で進路を決めていく。
女性が女だからと言われる事の多い韓国や日本。それでも自分の意思を主張して行こうという風潮が韓国には感じ取られる。日本だとなんだか炎上しそうだ。
10代の子達が自由に生きられる時代に…と切に願う。
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中学生、という繊細で激しい時代の苦悩や葛藤、嫉妬や煮え切らない感情の渦。それでも進むしかない光の時期を、とても見事に描いている。時代も国も環境もちがうけれど、かつての自分を思い出してしまう。こんなにも危うくて孤独な時を誰しも乗り越えてきたんだと。
ミカンの味、という核になりうる出来事をタイトルにしているのも良い。
韓国の教育事情や現代日本にも未だ残る性差別もよく描かれていて、誰しも感じる生きづらさが見事に表現されている。
切ない気持ちのまま一気読み。
彼女たちの未来が明るければ良いのに。
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高校進学を控えた4人の女子中学生を主人公に、それぞれの視点から“いま”を描いた作品。4人それぞれがなにかしらの悩みを抱え、不満や憤りを感じて生きている。一番多感な時期の少女たちの思いがみずみずしく、だが生々しい面も隠さずに描かれている。この作者ならではのフェミニズム的視点からの鋭い描写ももちろん盛り込まれている。韓国の進学事情には疎いため、巻末に付された訳注に助けられた。
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中学生女子四人が主人公の小説なので、YAかなと思ったけど、どうなんだろう。
それぞれの女の子が抱える悩みや家庭の事情もリアルだし、子どもには読ませたくないような表現もない。読める子どもは読んだらいいと思う。
でも、なんだか、一人一人に共感できる感じが薄い気がする。主人公たちと共鳴するような感覚はなかった。
これは私個人の資質、あるいは年齢によるものかもしれないが。
入試でなく内申と面接だけで決まる韓国の高校入試制度は、反抗したい思春期の子どもにはかなりハードだと思う。日本もジェンダーギャップは大きいが、家庭内で父親がかなり威張っていて誰も逆らえない感じは昭和の雰囲気に似ている。
子どもの学歴を良くするため、母親が情報収集して熱心に取り組むあたりは日本の中学受験にも似ている。
しかし。中学や高校の時の友情など刹那に過ぎず、皆それぞれバラバラの人生を歩むんだから、こんなことしない方が良いよ、新しい環境で新しい友達を作ったらいいじゃない?と思ってしまうのは年をとったからかなあ。
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中学から高校になる過程の少女たちの複雑な内面は、どこの国でも一緒だな~
親との関係、友達との関係。
仲良し4人グループの中でもちょっとしたすれ違い。
確かに甘酸っぱいミカンの味なのかな。
名前が似てるから、誰だっけ?誰だっけ?と登場人物を確認しながら読みました。
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“「ちゃんと二つの手があるのに自分の食事も作れない人間は、みんな出来損ないなんだよ」”(p.77)
“何もせず何の考えもない人が、わかったような顔をして後ろ手に組んで他人のことをあざ笑うものなんだよ。何もせず、何の考えもないから。”(p.92)
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中学生は忙しい。高校選択の時点で大学進学まで見通し、受験して特目高、私立高に入学するか、抽選で決まる一般高校に入学するか決める。映画部活動があって、文化祭の準備して、友人の言動に一喜一憂して、受験する周囲は塾通いや内申書に記載する活動に邁進して。家族や先生の期待と本人の希望の乖離に対し、友人とともに意外な行動にでますが、そういうとき、すでに中学生は子どもではないと思いました。
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「82年生まれ、キム・ジヨン」著者の新作という帯の惹句以上の予備知識もなく、オレンジの色味が美しい表紙につられて、私のようなおっさんが買ってしまった。
読み始めてすぐに、こっぱずかしさがこみ上げてきた。
登場人物はほとんどが女性。しかも自分から年齢がはるかに離れた女子中学生4人の心の声が交互に立ち現われてくる。私には、彼女らの声がリアルなのか、それともフィクション性が強いのかがまるで判読できない。
まるで映画「櫻の園」を見た時のような感じ、と言えばわかってもらえるだろうか?
https://booklog.jp/item/1/B006OSUYY4
だけど、女子高校生の心の奥底の光と影を織り上げるような展開の「櫻の園」と比べ、「ミカンの味」もまた違った繊細さであふれている。
実際のところ、現実の女子中学生からはキモいとまで言われかねない私のようなおっさんが、女子中学生の心理の綾(あや)に触れられるという点では、この本は読書のだいご味を味わわせてくれる(笑い)。
一方で、この作品には「櫻の園」とは異なる要素も多く含まれていることに気づかされる。
例えば先に女子中学生4人の心の声と書いたが、そこに挟み込まれるように彼女たちの家族、つまり大人たちの心の声が、自身の声または中学生の声を借りて奏でられている。つまりこの本は単純に女子中学生の物語としてだけでなく、角度を変えれば中学生を家族に持つ大人たちの物語としても読める。
また、韓国社会、特に現在の中学生を取り巻く韓国の学校生活に対する批判的視線や問題提起が随所に見られるのも特徴に挙げたい。だから、それらに逆らうかのような彼女たちの言動に対して、幼さゆえの無謀さと一笑に付してしまうより、彼女たちは学校や社会や制度にあえて染まろうとせず、ただ自分たちの心に素直であろうとしただけと考えるほうが自然ではないだろうか。
幼いというか、未熟なのは私たち大人のほうなのだとすら思ってしまうが、もし私が彼女たちの年代に戻りたいか?と聞かれれば、考えてしまう。だって、あんなに複雑で大変な人間関係と学校生活に巻き込まれるのだから(笑い)。
ところで著者は将来、彼女たち4人のその後を書いた続編を出すつもりだろうか?
私も単純に4人がいつまでも変わらない友情を保ち続ける展開を期待するほど楽観的ではないが、なんにせよ、4人がそれぞれ自分らしく生き続けることで幸せと読み替えられるようなその後の人生を期待したい。
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韓国のありふれた女子中学生4人の話。みんなそれぞれ家庭や進路・彼氏のことで悩みを抱えている。ところどころ、チョ・ナムジュさんらしいフェミニスト的な内容が隠れている。
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ソラン、ダユン、ヘイン、ウンジは中学で同じ映画部に入った。そして二年生が一年生に押し付けていった文化祭で企画を考え展示し催した。文化祭の行事で苦労した四人はそれからだんだんと仲良くなっていった。それぞれの家庭にはそれぞれの問題があったし、学業成績にはみんな追われていた。そんな中で一番成績のよいダユンが、外高(特殊目的高校の一つの外国語高校)に行かないという…。四人それぞれの悩みやそれぞれの家庭環境を描き、少女たちの友情を描いた小説。韓国の教育制度の厳しさや貧富の格差や男女差別もあらわに見える。ベストセラーになった「82年生まれ、キム・ジヨン」の作者。
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29.
ミカンの味はここで出てきて
こういう意味だったのかと納得する
映像化してほしいくらいリアルで
ヒリヒリする思春期の子達のお話
それぞれ悩みや環境が違うのは当たり前で
それによって感じ方や考え方が違うのも当たり前で
それぞれにちゃんと理由があって
不安定で強くて脆い友達関係
読みながら何度も泣いてしまった
お話自体はサクサク読みやすくて
訳者の言葉も解説も丁寧で
呼んで良かったなと思える作品でした
サハマンションまだ呼んでないのだけど
読みたい
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「仲良し4人組」と外側から定義するのは簡単。
けど実際はその時々でパワーバランスがあったり、3人と1人、仲良し2人組とその他、と感じてしまったりとか、色々ある。
記憶の扉が開きっぱなしで、心をざわつかせながら読んだ。
主人公たちの旺盛な食欲にあてられて、今夜の夕食はトッポギ。
季節外れだけどミカンも食べたい。
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韓国社会、子ども達のリアル。
思春期の感情は複雑で、傷付きやすい。
他人と社会と家族との狭間で、何とかやっているのは子どもも大人も同じだなと感じた。
映画部で文化祭の準備をした事も、4人で旅行へ行った事も、進路を決めた事も、全て自分達で考え行動している。
結末に少し驚いたけど、自らの意志を貫く姿は単純に凄かった。
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はじめてのK文学です。
作者は、『82年生まれ、キム・ジヨン』でおなじみのチョ・ナムジュさん。
家庭環境も性格もばらばらな4人の女子学生の繋がりを描いた作品。
もう子どもではいられないのに、
大人にもなりきれない、
自分の気持ちですらよくわからなかった曖昧なあの頃を思い出します。
ただ子ども達にもおとな達にもそれぞれの正義があるだけなのに、感情が絡み合って望まない方向へ行ってしまう。
自分の選択を貫き通そうと奮闘する主人公たちの勇敢さに心打たれますが、
主人公の親達が、エリート主義的な競争社会の中、生活と子どもの将来を守ろうと必死な姿にも無意識に目が向く。
これは、主人公たちの世代を越え大人になった今読んだからこそのものだと思います。
大好きなのに大嫌い、でもやっぱり離れたくない。
結局はそれぞれの道を選び歩んでいく、というラストは沢山ありますが、
『ミカンの味』が向かったラストにわたしは、心強さを感じました。
“友達”という関係の不安定さが、等身大に飾りっ気無く丁寧に描かれています。
主人公たちと同い年程度の中高生にも勿論お勧めしたいけれど、大人になって読むとまた蘇る記憶にヒリヒリ。
懐かしさを感じるとともに、大人になった自分に少しホッとした気がしました。
韓国社会の現状をわたしは何も知らない状態でよみましたが、巻末の丁寧な解説も面白い。
コロナ禍で発刊された本作の、
チョ・ナムジュさんの温かいあとがきにもグッときます。