電子書籍
不穏な眠り
著者 若竹七海
仕事はできるが不運すぎる女探偵・葉村晶。 NHKドラマ化で話題の人気シリーズ!ミステリ専門書店でアルバイトとしながら、〈白熊探偵社〉の調査員として働いている葉村晶に今日も...
不穏な眠り
不穏な眠り (文春文庫)
商品説明
仕事はできるが不運すぎる女探偵・葉村晶。
NHKドラマ化で話題の人気シリーズ!
ミステリ専門書店でアルバイトとしながら、〈白熊探偵社〉の調査員として働いている葉村晶に今日も事件の依頼が……。
「水沫(みなわ)隠れの日々」
終活で蔵書の処分を頼んできた女性のもう一つの依頼は、死んだ親友の娘を刑務所から連れてきてほしいということだった。刑務所から女性の元に向かう道で、娘は拉致される。
「新春のラビリンス」
大晦日の夜、解体直前の〈呪いの幽霊ビル〉の警備をすることに。ヒーターが壊れ、寒さの中一夜を明かした葉村は、女性事務員から連絡が取れない男友達の行方を調べてほしいと頼まれる。
「逃げだした時刻表」
葉村の働くミステリ専門店でGWに〈鉄道ミステリフェア〉を開催することになった。展示の目玉として借りた弾痕のあるABC時刻表が盗難にあう。本の行方を追ううちに思わぬ展開に。
「不穏な眠り」
相続で引き継いだ家にいつのまにか居座り、そこで死んでしまった女の知人を捜してほしいという依頼を受けた葉村。女を連れ込んだ男の家を訪ねたところ、男の妻に危うく殺されかける羽目に。
解説・辻真先
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紙の本
最も身近な私立探偵
2019/12/15 00:15
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
私はあまりシリーズものの小説を読まないが、葉村昌シリーズだけは例外である。
このシリーズは毎度楽しみにしている。
そんな本シリーズの魅力は何といっても主人公のキャラクターだろう。
他の探偵とは一線を画した親しみやすさがあるので、共感を覚えやすい。
また、本シリーズはユーモアに溢れており笑えるシーンが多々ある。
その一方で、ヒヤッとさせられる人間の心の闇や狂気を描いている。
ユーモア溢れる軽い文体だからこそ、その反動でより恐ろしさが際立つのだと思う。
本書では葉村昌も40代半ばに差し掛かっている。
しかし、さすがは若竹七海。
葉村昌を甘やかしたりはしない。
ただでさえ加齢で様々な不自由が目立ちだすのに、追い打ちをかけるかの如く不幸な目に合わされる。
最早このシリーズで葉村昌が不幸な目に合わなくなったら、それは葉村昌シリーズとは呼べなくなる。
と思ってしまうほど不幸さが板についた主人公だが、それでも調査に手加減はしない。
主人公の魅力として親しみやすさを上記したが、それ以外にも葉村昌の魅力として、「カッコ良さ」が挙げられるであろう。
理不尽なことがあろうともへこたれずに図太く真相に食らいつくさまは、読んでいて気持ちがいい。
本書で特にお気に入りの話は、「水沫が暮れの日々」だ。
若竹七海の、伏線を張る上手さや人間の歪んだ心理を描きゾッとさせる上手さなどを再認識させられた。
これからも葉村昌シリーズが続くことを楽しみにしている。
紙の本
解説は辻真先!
2019/12/15 15:53
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
私立探偵・葉村晶シリーズの連作短編集、4編収録。
『水沫隠れの日々』・『新春のラビリンス』・『逃げ出した時刻表』・『不穏な眠り』収録。
有能だが運の悪い葉村晶の不運度は、短編だとより際立つ。度重なるとむしろスラップスティックコメディのような趣に(古いほうの『トムとジェリー』を思い出してしまうほど)。が、解き明かされる“事件”や“謎”には、人間のいやーなところがつまっている。
また途中で話を聞くことになる人々の中にも、ヤバい人たちがかなりいる。この国、大丈夫かと読んでいて真顔になるほどだ。
しかも予想通り富山店長は理不尽なことを言ってくるし(本人が自分に非がないと思っているので)、<東都総合リサーチ>の桜井さんとの持ちつ持たれつは相変わらずだし(とはいえ晶のほうが負担が大きい)、いつも通りな部分もあるけど齢は重ねていくので、いろんな意味で感情移入。
男たちにジロジロ見られながら、事務所を出た。こういうとき、年をとってよかったと思う。若い時分には、アキラなのに女かよ、とガッカリされるとそれだけでへこんだ。今は気にならない。勘違いするほうが悪いのだ。
(――『新春のラビリンス』)
みたいなこと言われると、「あぁ、わかる!」と力強く頷いてしまう。
彼女の考える“人として”の最低ラインを守ることが美学となり作品世界をハードボイルドなものにしているが、ちょっと意地を張ることすらも難しい世の中だということもあるのか・・・それでも、探偵であり続ける葉村晶を見ていたいのです。応援したい、だとちょっと違うかな・・・そうだよね、わかるわかる、と言いたいというか。
短編のほうがミステリとしての切れ味は鋭いのだが、いろいろ内省することが多くなる長編のほうが個人的には共感ポイントが高くなるんですよね・・・短編だとすぐ読み終わっちゃうし。
あぁ、なんか読み終わってしまってもったいない。
紙の本
1年4ヶ月ぶりの新作
2020/01/07 17:54
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作錆びた滑車以来1年4ヶ月ぶりの葉村晶シリーズの新作です。
4遍の中編からなる連作集です。
今回も主人公は不運に見舞われるのですが、
前作まではこれが思いがけない災難だと思えたのです。
しかし今回はなんとなく型にはまったような展開に思えてしまいました。
これは作者がどうのこうのではなくて読み手の方が馴れてしまったせいでしょう。
4話とも苦さとも痛みとも思えるようなものを残して終焉するのですが、
若干あっさりとした味わいであったように思いました。
紙の本
不穏な眠り
2021/12/12 09:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちーかま - この投稿者のレビュー一覧を見る
依頼人の話はおしゃべり叔母さんの無駄話みたいで要点が掴みにくいし、調査結果もいまいち煮え切らない。結局何も得ていない話