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43件
葉村晶シリーズ
女探偵・葉村晶(あきら)は探偵事務所からの仕事で生計をたてながら、時に家族がらみの無料捜査も押し付けられる、何でも屋だ。念願の本を出版し、結婚直前だった順風満帆の婚約者はなぜ自殺したのか? 受けてもいない健康診断の、ガンを知らせる通知書が届いた意図は? 瀟洒なプチ・ホテルに集う常連に隠された惨事とは? 彼女に持ち込まれる事件の真相は、少し切なく、ぞくっと怖い。構成の妙、鮮やかなエンディングにうならされる、みごとな連作短篇集。
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悪いうさぎ
2004/07/07 17:13
タイトルの「悪いうさぎ」の真相に辿り着いたとき、かなり寒い思いをします。
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エルフ - この投稿者のレビュー一覧を見る
手加減しない探偵・葉村晶、彼女に降りかかる数々の事件や災難の中でも今回はスバ抜けて最悪です。
単純な女子高生の家出から始り、連続して起きていた少女達の失踪に繋がる今回の物語。
その裏にあった「ゲーム」の真相に辿り着いたときは胃の中に鉛を飲み込んだみたいな気分になりました。
しかも失踪事件と平行して晶に降りかかる問題は結婚詐欺師の牛島や歪んだ正義感を降り回す世良とタチの悪い連中ばかりと関わり合うこと。
でも二人とも現実の世界にいるタイプなんですよね。
読みながら晶に感情移入してしまうので心の中で色々な人達に毒づいてしまいました。
葉村シリーズ初の長編ですが、やはり長編だけに毒はかなりキツイです。
それでもこのハラハラ感と真相に近づいた時のドキドキ感は若竹さんならではの迫力!
さよならの手口
2017/07/09 19:16
「葉村晶」復活
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作「悪いうさぎ」から13年後に出版された今作で「葉村晶」も四十路を迎えていたのですが「静かな炎天」から読み始めた私にはむしろ違和感がなかったです。
この作品も素晴らしいできでした。「悪いうさぎ」の感想で今年読んだ中で最高かもと書きましたが、この作品も甲乙つけがたいです。
「人探し」というたんなる民間人である日本の探偵の仕事として違和感のない依頼を受けて、いつものように地道に粘り強く調査を進める中で様々な謎が次々とでてくるのですが、その一つだけでもストーリーとして十分な作品になりそうなのです。
それをもう惜しげも無くこの一作に詰め込んで、これでもか〜というぐらいのエンターテイメントに仕上がっています。
これで「葉村晶」シリーズを全部読み終えたと思っていたのですが、光文社文庫の「暗い越流」という短編集に「葉村晶」が登場する短編が2作収録されているようなので、これも探してきて読んでみるつもりです。
でも、それを読んでしまうと当分「葉村晶」ものを読めない感じなのでかなり寂しい気分です。
悪いうさぎ
2017/07/07 14:49
「葉村晶」シリーズ初の長編
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
「葉村晶」シリーズ初の長編です。
いや〜〜〜〜〜〜〜〜〜もう最高でした。
さらにクールにさらに魅力的に格好良くなった葉村晶がいました。
自分の弱さも欠点も受け入れ、それでも自分らしく生きることを諦めない姿。
正義を振りかざすことも、他人を批判することもせず、救いの手を求める者に自分ができることを仕事として淡々とこなしていく。
そのことをあくまでもヒロイズムではなく生活の糧を得るための仕事として自覚しているあたりがより魅力的なのかもしれません。
ストーリーは途中に緩みも滞りなく次第に次第に緊張感を高めながら一気にエンディングへ至り、読み終えた時の満足感たるや感動ものでした。
今年になって読んだ中では最高の一作かもしれません。