葉村晶シリーズ みんなのレビュー
- 若竹七海, 若竹七海 (著)
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悪いうさぎ
2004/07/07 17:13
タイトルの「悪いうさぎ」の真相に辿り着いたとき、かなり寒い思いをします。
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エルフ - この投稿者のレビュー一覧を見る
手加減しない探偵・葉村晶、彼女に降りかかる数々の事件や災難の中でも今回はスバ抜けて最悪です。
単純な女子高生の家出から始り、連続して起きていた少女達の失踪に繋がる今回の物語。
その裏にあった「ゲーム」の真相に辿り着いたときは胃の中に鉛を飲み込んだみたいな気分になりました。
しかも失踪事件と平行して晶に降りかかる問題は結婚詐欺師の牛島や歪んだ正義感を降り回す世良とタチの悪い連中ばかりと関わり合うこと。
でも二人とも現実の世界にいるタイプなんですよね。
読みながら晶に感情移入してしまうので心の中で色々な人達に毒づいてしまいました。
葉村シリーズ初の長編ですが、やはり長編だけに毒はかなりキツイです。
それでもこのハラハラ感と真相に近づいた時のドキドキ感は若竹さんならではの迫力!
さよならの手口
2017/07/09 19:16
「葉村晶」復活
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作「悪いうさぎ」から13年後に出版された今作で「葉村晶」も四十路を迎えていたのですが「静かな炎天」から読み始めた私にはむしろ違和感がなかったです。
この作品も素晴らしいできでした。「悪いうさぎ」の感想で今年読んだ中で最高かもと書きましたが、この作品も甲乙つけがたいです。
「人探し」というたんなる民間人である日本の探偵の仕事として違和感のない依頼を受けて、いつものように地道に粘り強く調査を進める中で様々な謎が次々とでてくるのですが、その一つだけでもストーリーとして十分な作品になりそうなのです。
それをもう惜しげも無くこの一作に詰め込んで、これでもか〜というぐらいのエンターテイメントに仕上がっています。
これで「葉村晶」シリーズを全部読み終えたと思っていたのですが、光文社文庫の「暗い越流」という短編集に「葉村晶」が登場する短編が2作収録されているようなので、これも探してきて読んでみるつもりです。
でも、それを読んでしまうと当分「葉村晶」ものを読めない感じなのでかなり寂しい気分です。
悪いうさぎ
2017/07/07 14:49
「葉村晶」シリーズ初の長編
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
「葉村晶」シリーズ初の長編です。
いや〜〜〜〜〜〜〜〜〜もう最高でした。
さらにクールにさらに魅力的に格好良くなった葉村晶がいました。
自分の弱さも欠点も受け入れ、それでも自分らしく生きることを諦めない姿。
正義を振りかざすことも、他人を批判することもせず、救いの手を求める者に自分ができることを仕事として淡々とこなしていく。
そのことをあくまでもヒロイズムではなく生活の糧を得るための仕事として自覚しているあたりがより魅力的なのかもしれません。
ストーリーは途中に緩みも滞りなく次第に次第に緊張感を高めながら一気にエンディングへ至り、読み終えた時の満足感たるや感動ものでした。
今年になって読んだ中では最高の一作かもしれません。
依頼人は死んだ
2017/07/05 17:15
読むほどに「葉村晶」に魅せられていく
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投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
女探偵「葉村晶」が登場するシリーズの2作目です。
今回も9編の短編から構成されており、各話ともそれぞれ独立して完結していますが最後の1話を読むことで全体を通した1編の長編とも読めるものでした。
この本を読んでいて思うのは「悪意」ってそもそも特別なものだろうかということでした。
向けられた方からすればそれは「悪意」でしかないようなものでも、仕掛けた方は案外そこまでの意識すらない場合、それを避けたり止めたりすることはかなり難しいものになるのかもしれません。
身内も含めて他者に対して「悪意」を持って行動するすることは誰にでもありうることだと思えてしまうので、加害者にも被害者にも簡単になりえることに平穏に暮らすことの困難さを改めて思い知る読後でした。
それにしても「濃紺の悪魔」と「葉村晶」の今後の成り行きがもの凄く気になる作品でした。
悪いうさぎ
2016/10/17 02:57
このかわいらしい表紙との落差も、後味の悪さを引き立たせて。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
『さよならの手口』に入る前に、葉村晶シリーズ前作『悪いうさぎ』を復習。
シリーズ物とはいえ、それぞれ独立した作品なので復習する必要性はまったくないのであるが、「後味が悪くて、結構打ちのめされた」という強い印象は残っているものの、肝心の物語のほうはまったくといっていいほど覚えていない、ということに愕然としたからである。 いったい何に打ちのめされたのか、もすっかり忘れている。
子供の頃から記憶力がいいのだけが取り柄だったのに(が、実際のところ、ここ10年ぐらいは、読んだ本の細かい筋は忘れていることが多い。 印象や読後感は覚えているのだが)。 そんなわけで、再読。
一行目からインパクトのあること書かれているのに、まったく覚えていないとはどういうわけだ! 自分にびっくりだ!
しかし20%ほど読み進めば、さりげなく書かれてはいるが事件に関係する部分が浮かび上がってきて、繋がっていく。 あ、そうだった、そうだったね。
だから私は「あ、そこをスルーしちゃダメだ!」と葉村晶を叱咤激励する立場となり(一回読んでいるのだから当たり前である)、多分余計にハラハラしたかもしれない。
二回目もこんなに楽しめるとは・・・『依頼人は死んだ』も読み返そうかなぁ(しかし、どこにしまってあるかちょっとわからないのであった)。
が、あれほど強烈な印象であった<後味の悪さ>に、どうも今のあたしは耐性ができてしまったのか、それほどでもなかったのであった。 これもびっくり。 あれ以降、どれだけイヤミスを読んできたのだ、私は・・・。 海外ものは容赦ないものが多いからかしら。
いや、読んだ年齢というのも関係あるかも。 その当時の私は作中の葉村晶と年齢も近かったし(逆に今、『さよならの手口』では同じくらいの歳かもしれない)、彼女の感じた焦りやもやもやとしたなにかに共感していた部分もあったから、余計に衝撃だったのかも。
となれば、今のあたしは『さよならの手口』にも痛い目を見るかもしれない。
読むのがとても楽しみになってきました。
再読してよかった!(2014年11月読了)
さよならの手口
2015/08/28 06:33
久しぶり
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投稿者:ももりも - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりの葉村晶シリーズ。主人公の年齢があがっていました。そこもいろいろおもしろい。少しずつ読むつもりでしたがストーリーに引き込まれて一気に読んでしまいました。
静かな炎天
2020/10/11 13:34
満点!
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投稿者:ひややっこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハムラアキラシリーズをゆっくりと読み進めていますが、面白い。特に本書!!
筆力すごいなあ。
ハムラアキラの細かな生活描写がまたリアルさを連れてきてくれています。
2020/06/21 19:28
羽村晶シリーズは最高!
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投稿者:Yokosuka - この投稿者のレビュー一覧を見る
今年になって、ミステリ関係の最大のサプライズは、NHKの金曜10時枠で、「ハムラアキラ - 世界で最も不運な探偵 - 」が放映されたことでした。NHK名古屋の制作ですが、先ずこんな企画が通ったことに、ビックリしました。でも、若竹七海さんのデビュー当時からのファンとしては嬉しかったです。このシリーズの初期のダークな作風をスタイリッシュな演出で良かったです。とても後味が悪いですが(笑)。羽村晶を演じたシシド・カフカも良い感じです。
これをきっかけに、羽村晶シリーズを読み返しています。この作品は、最近の長編で、40歳をすぎて、40肩に悩まされながら、老後の心配をしつつ、私立探偵という天職に目覚める羽村晶が良い感じです。初期の作品に比べるとユーモラスな面もあり、長編ハードボイルドとして、良くまとまっていると思います。相変わらずボコボコにされますが(笑)、良く生きてゆけるなという感じです。世界で最もタフな女性私立探偵ではないでしょうか?
このシリーズは、20年以上にわたっていて、順序は気にする必要はないと思いますが、最近の作品の方が読みやすいかなと思います。
さよならの手口
2020/03/03 09:23
葉村シリーズの最高傑作
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たか - この投稿者のレビュー一覧を見る
大好きなシリーズですが、この作品が最高傑作だと思います。色々な謎が含まれており、バラして4.5本の短編や中編ができそうです。
あと歳を重ねて一段とドライな葉村晶の呟きが素敵です。
ドラマも見てますが、シシドカフカのボソボソ聞き取りにくいセリフにガッカリしてます。個人的には石橋静河さんがぴったりだと思ってます。
静かな炎天
2016/08/18 14:26
葉村晶の新作!
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投稿者:つきこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
と、なれば必読!40代を迎え、体調の変化はあれども、淡々とを装いながらも熱い捜査魂は変わってません。書店オーナーのあいかわらずな無茶っぷりも(笑)
さよならの手口
2016/03/10 11:08
張った伏線もしっかり回収
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投稿者:papanpa - この投稿者のレビュー一覧を見る
入院中の病室で、元大女優の老婆から娘探しを依頼された、私立探偵(休業中)の葉村 晶。痛みをこらえて捜査を始めたのだが、なぜか娘のまわりでは失踪事件が相次いでいて・・・。
個人的感想
さすが若竹さん、張った伏線もしっかり回収し、納得の面白さでした。
会話もストーリーも、活気があり良し。おススメです。
さよならの手口
2015/10/26 12:41
待ってました
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:普段着 - この投稿者のレビュー一覧を見る
葉村晶シリーズの最新刊です。
「依頼人は死んだ」を読んでからすっかり彼女のファンになり、依頼人〜以前のシリーズも全て読みました。今回は葉村晶も年齢を重ねて以前のとがった性格も少し丸くなり、落ち着きがでてきたような?
脇役にも魅力的な人物がおり、最後の最後でそんなとこにドンデン返しが!とすっかりやられてしまいました。またシリーズの続編が出ることを期待しています。
さよならの手口
2015/02/23 05:18
お久し振りの再会
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投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
すごく久し振りなのに、すぐ読んだらもったいないかなぁ、と思っていたのだけれど、結局読んでしまったのでした。 それでも、これまでのあたしにしてはゆっくり読んだ方かも。
前作『悪いうさぎ』事件のせいで暗闇で眠れなくなってしまった葉村晶は、その影響(トラウマ?)のせいで探偵という職業から遠ざかってしまったのだろうか・・・と心配していたのだけれど、杞憂でした。 フリーの調査員として所属していた長谷川探偵事務所が所長の引退に伴い店をたたみ、地震のせいで住んでいた家がダメになりお引っ越し、古い付き合いの本屋の店長に頼まれその店でバイト中、というのが探偵開店休業の理由。
年を多少食ったとはいえ彼女の反骨精神は健在。
他人とあまり関わりたくない、といいながら、あとで後悔すると自覚があるのにうかうかと人を信用してしまうところも変わってない。 ま、30歳以降、性格的なものってなかなか変わらないから、加齢に伴う身体の衰えを気にするようになったぐらいで、そのほかの部分は変わっていなくて当たり前ではあるんだけど、古い知り合いにものすごく久し振りに会ってみたらやっぱり変わってなかった、というよろこびはなんなんでしょうね(あたし自身も大して変わってはいないというのに)。
古本屋として遺品整理業の人たちと一緒に本の整理に行った葉村晶は、そこでたまたま白骨死体を見つけてしまう・・・というオープニング。 この事件の解明だけで下手すれば中編になってしまいそうなところを、冒頭であっさり解決! その後もいくつかの小さい事件を調査・解決するうちにいちばんの目当ての事件の真相も見えてくる・・・という大変凝った構成でありながら行きあたりばったり感も見えるという贅沢さになっております。 作者が完成に時間がかかってしまったのもむベなるかな、です。
で、その合間に葉村晶の心情が皮肉屋のベールに包まれて、でも出てくる。
結構、共感ポイント多かった・・・。
それ故に、また彼女のその後を知りたいと思ってしまうのですよ。 でも次がまた13年後は、勘弁してください。
不穏な眠り
2019/12/15 00:15
最も身近な私立探偵
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
私はあまりシリーズものの小説を読まないが、葉村昌シリーズだけは例外である。
このシリーズは毎度楽しみにしている。
そんな本シリーズの魅力は何といっても主人公のキャラクターだろう。
他の探偵とは一線を画した親しみやすさがあるので、共感を覚えやすい。
また、本シリーズはユーモアに溢れており笑えるシーンが多々ある。
その一方で、ヒヤッとさせられる人間の心の闇や狂気を描いている。
ユーモア溢れる軽い文体だからこそ、その反動でより恐ろしさが際立つのだと思う。
本書では葉村昌も40代半ばに差し掛かっている。
しかし、さすがは若竹七海。
葉村昌を甘やかしたりはしない。
ただでさえ加齢で様々な不自由が目立ちだすのに、追い打ちをかけるかの如く不幸な目に合わされる。
最早このシリーズで葉村昌が不幸な目に合わなくなったら、それは葉村昌シリーズとは呼べなくなる。
と思ってしまうほど不幸さが板についた主人公だが、それでも調査に手加減はしない。
主人公の魅力として親しみやすさを上記したが、それ以外にも葉村昌の魅力として、「カッコ良さ」が挙げられるであろう。
理不尽なことがあろうともへこたれずに図太く真相に食らいつくさまは、読んでいて気持ちがいい。
本書で特にお気に入りの話は、「水沫が暮れの日々」だ。
若竹七海の、伏線を張る上手さや人間の歪んだ心理を描きゾッとさせる上手さなどを再認識させられた。
これからも葉村昌シリーズが続くことを楽しみにしている。
不穏な眠り
2019/12/15 15:53
解説は辻真先!
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
私立探偵・葉村晶シリーズの連作短編集、4編収録。
『水沫隠れの日々』・『新春のラビリンス』・『逃げ出した時刻表』・『不穏な眠り』収録。
有能だが運の悪い葉村晶の不運度は、短編だとより際立つ。度重なるとむしろスラップスティックコメディのような趣に(古いほうの『トムとジェリー』を思い出してしまうほど)。が、解き明かされる“事件”や“謎”には、人間のいやーなところがつまっている。
また途中で話を聞くことになる人々の中にも、ヤバい人たちがかなりいる。この国、大丈夫かと読んでいて真顔になるほどだ。
しかも予想通り富山店長は理不尽なことを言ってくるし(本人が自分に非がないと思っているので)、<東都総合リサーチ>の桜井さんとの持ちつ持たれつは相変わらずだし(とはいえ晶のほうが負担が大きい)、いつも通りな部分もあるけど齢は重ねていくので、いろんな意味で感情移入。
男たちにジロジロ見られながら、事務所を出た。こういうとき、年をとってよかったと思う。若い時分には、アキラなのに女かよ、とガッカリされるとそれだけでへこんだ。今は気にならない。勘違いするほうが悪いのだ。
(――『新春のラビリンス』)
みたいなこと言われると、「あぁ、わかる!」と力強く頷いてしまう。
彼女の考える“人として”の最低ラインを守ることが美学となり作品世界をハードボイルドなものにしているが、ちょっと意地を張ることすらも難しい世の中だということもあるのか・・・それでも、探偵であり続ける葉村晶を見ていたいのです。応援したい、だとちょっと違うかな・・・そうだよね、わかるわかる、と言いたいというか。
短編のほうがミステリとしての切れ味は鋭いのだが、いろいろ内省することが多くなる長編のほうが個人的には共感ポイントが高くなるんですよね・・・短編だとすぐ読み終わっちゃうし。
あぁ、なんか読み終わってしまってもったいない。