主権者を疑う ──統治の主役は誰なのか?
著者 駒村圭吾
近年の改憲ムーブメントで連呼された「最終的に決めるのは、主権者たる国民の皆様です!」――私たちは改めて主権者としての自覚が求められ、いよいよ最後の出番に呼び出しがかけられ...
主権者を疑う ──統治の主役は誰なのか?
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商品説明
近年の改憲ムーブメントで連呼された「最終的に決めるのは、主権者たる国民の皆様です!」――私たちは改めて主権者としての自覚が求められ、いよいよ最後の出番に呼び出しがかけられている。しかし、主権とは何で、主権者とは誰なのか? 本書は、神の至高性に由来するこの“取り扱い注意”の概念を掘り下げ、新たなトリセツを提示する。ロゴスから意思へ、神から君主そして国民へ、魔術から計算へ、選挙からアルゴリズムへ――中世神学から現代の最新論考までを包含しためくるめく“主権者劇場”がここに開幕!
目次
- はしがき/序章 見取り図──日本国憲法に登場する「国民」たち/第1章 主権者Part1──ロゴスと意思/1 「最終的に決めるのは、主権者たる国民の皆様であります」/改憲論議を振り返る──主権論の“重さ”と“軽さ”/国民投票の「権利」の剥奪?/2 主権についての伝統的理解/主権の三つの相/最高権力の源泉としての「最高の意思力」/3 ロゴスから意思へ/神の至高性と三位一体論──「ロゴスとしての神」とその万能性・永遠不変性/神、理性、意思──トマス・アクィナス/普遍か個物か、理性か意思か──スコトゥスとオッカム/神の意思の絶対性と恣意性/4 至上権争い──神権と俗権の攻防/神学から政治思想へ/両剣論──神権と王権の区別/教皇至上権へ/5 中世の解体と主権論の浮揚/教皇の没落と中世の解体/主権論と「王権の自律」──家族・教会・国家/神を演ずる王──王権神授説の専制化/中世神学の「反転応用」としての主権論/主権と法──至高性を枠づけるもの/6 本章のまとめ/第2章 主権者Part2──忘れられた巨人/1 破壊者=創造者/“破壊者=創造者”としての神──大魔神・ゴジラ・宇宙人/2 “破壊者=創造者”としての「憲法制定権力」/憲法制定権力とは/“破壊者=創造者”としての制憲権/3 主権者をおさえ込む?/超越的規範に訴える──自然法論の系譜と主権者の自己拘束/主権者の出番を少なくする──制憲権の常駐か封印か/主権の独占を許さない──意思主体か代表機関か/4 国民主権論はなぜ受け容れられているのか?/国民主権がはらむいくつかの問題/国民主権論とはどういう企てなのか/5 アメリカの経験から/「人民主権」と「州主権」/チザム対ジョージア事件判決(1793年)/チザム判決個別意見に見る初期アメリカの主権論/連邦法無効宣言危機/奴隷州、自由州、人民主権/南北戦争の遺産──「失われた大義」/6 主権と主権者/主権者の神格化/天皇機関説事件/ほか
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私たちの在り方を問う
2023/08/29 12:06
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本は「国民主権」である。しかし「国民の声を聞く」と称して政治家が安易な会見に導こうとすることに著者は違和感をおぼえる。本書は、そもそも主権とは何か国民とは何か、その概念の歴史からひもとき、「主権」が「主体」の恣意性が無制約になることを危ぶむ。
では誰が「主体」になるのか。やはり選挙で選ばれた政治家なのか。
さまざまな問いかけが成される。
導かれるのは、政治家の都合で動員される「国民」ではなく、私たち一人一人が権利や意思を持った民(市民)として、権力を監視したり声をあげたりする。主権者たる自身の権利や役割を果たすべきだという答えだ。
雄蜂族と愚民
2023/06/06 17:45
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投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
主権はフィクションであると言いつつ、主権者・有権者・市民としての役柄、選挙に依存せず代表制に頼らない民主主義の再構成を、主権の理論史を通して、政治と法のあるべき関係を意識しつつ主権在民を考えている書。