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日本のピアノ100年 ピアノづくりに賭けた人々 (草思社文庫)
【ヨゼフ・ロゲンドルフ賞(第18回)】リヒテルやグールドも愛した名器はいかにして生まれたか。1900年の国産ピアノ第1号誕生から100年間の、ピアノづくりに情熱を傾けた人...
日本のピアノ100年 ピアノづくりに賭けた人々 (草思社文庫)
日本のピアノ100年:ピアノづくりに賭けた人々
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商品説明
【ヨゼフ・ロゲンドルフ賞(第18回)】リヒテルやグールドも愛した名器はいかにして生まれたか。1900年の国産ピアノ第1号誕生から100年間の、ピアノづくりに情熱を傾けた人々の姿を通して、日本の「ものづくり」の軌跡をたどる。【「TRC MARC」の商品解説】
明治33年(1900年)1月、日本楽器は国産第一号となる簡素なアップライトピアノを完成させた。
まだ欧米には及ぶべくもなかった日本のピアノではあったが、大戦後、状況は一変する。
高度成長で勢いを得たピアノ・メーカーは新たなコンサート・グランド・ピアノの開発に情熱を傾ける。
そして、リヒテルやグールドなど世界の名演奏家が愛用するピアノを生み出し、
ついに日本を世界頂点のピアノ王国へと押し上げたのである――。
誕生から100年間のピアノづくりに情熱を傾けた人々の姿を通して、日本の「ものづくり」の軌跡を見事に
描き上げたノンフィクション作品。第18回ヨゼフ・ロゲンドルフ賞受賞作
<目次より>
プロローグ グレン・グールドのピアノ
戦前篇 洋琴からピアノへ 国産ピアノ誕生前夜から一九五〇年まで
第一章 文明開化期のピアノ
第二章 オルガン製造に群がる男たち
第三章 国産ピアノ第一号誕生
第四章 洋楽ブーム
第五章 戦前のピアノ黄金時代へ
戦後篇 世界の頂点へ 一九五〇年から二〇〇一年まで
第六章 戦後の再出発
第七章 大量生産の時代
第八章 イメージ戦略と販売競争と
第九章 コンサート・グランドへの挑戦
第十章 日本のピアノはどこへ行くのか
エピローグ 日本のピアノの未来に向けて【商品解説】
目次
- プロローグ グレン・グールドのピアノ
- 戦前篇 洋琴からピアノへ 国産ピアノ誕生前夜から一九五〇年まで
- 第一章 文明開化期のピアノ
- 明治初の女子留学生たち
- 鹿鳴館の花
- 上流婦人のピアノブーム
- 伊沢修二と明治維新の音楽教育
- 東京音楽学校とお雇い外国人教師たち
著者紹介
前間孝則
- 略歴
- 前間 孝則(まえま・たかのり)
ノンフィクション作家。1946年生まれ。石川島播磨重工の航空宇宙事業本部技術開発事業部でジェットエンジンの設計に20余年従事。退職後、日本の近現代の産業・技術・文化史の執筆に取り組む。主な著書に『技術者たちの敗戦』『悲劇の発動機「誉」』『戦艦大和誕生』(いずれも草思社文庫)、『満州航空の全貌』(草思社)、『YS-11』『富嶽』『マン・マシンの昭和伝説』(いずれも講談社)、『弾丸列車』(実業之日本社)、『新幹線を航空機に変えた男たち』『日本の名機をつくったサムライたち』(いずれもさくら舎)、『飛翔への挑戦』『ホンダジェット』(いずれも新潮社)など多数。
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紙の本
日本のピアノ作りに情熱を傾けた人々を通して、日本のものづくりの軌跡を描いた名著です!
2021/05/02 12:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、ノンフィクション作家の前間孝則氏と音楽ジャーナリストの岩間裕一氏による共著です。同書では、明治33年(1900年)1月、日本楽器は国産第一号となる簡素なアップライトピアノを完成させたことが述べられています。まだ欧米には及ぶべくもなかった日本のピアノではあったのですが、大戦後、状況は一変することも描かれています。高度成長で勢いを得たピアノ・メーカーは新たなコンサート・グランド・ピアノの開発に情熱を傾けたようです。そして、リヒテルやグールドなど世界の名演奏家が愛用するピアノを生み出し、ついに日本を世界頂点のピアノ王国へと押し上げたと書かれています。誕生から100年間のピアノづくりに情熱を傾けた人々の姿を通して、日本の「ものづくり」の軌跡を見事に描き上げたノンフィクション作品です!
紙の本
産業史ノンフィクションの名手が贈る日本のピアノ産業史
2021/02/26 16:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の産業史に造詣の深い著者による国産ピアノの歴史を俯瞰するノンフィクション。浜松に住んでいた山葉寅楠がオルガン修理を請け負ったことがきっかけで楽器製造に乗り出し、のちのヤマハに至り、当時のヤマハに勤めていた河合小市が独立して現在のカワイに至るなど、ピアノ産業の歴史を明治初期から辿っていきます。
当時のピアノといえばスタンウェイ(アメリカ)、ベヒシュタイン(ドイツ)、ベーゼンドルファー(オーストリア)といった海外製品の独壇場でした。それを研究し、日本独自のピアノ生産をまずはアップライトピアノから取り組みます。同じように作っても、海外と日本との材料となる木材の違いや湿度の違いによる影響でひび割れや反りが発生したり、全く同じに作っても、同じ音が出ないなどの困難に直面します。
いつしか「スタンウェイに負けないピアノを」が目標となりました。本書で何度も触れられていますが、ピアノという楽器を製造するには、精密に木材を加工したり、塗装するという職人的な伝統工芸要素と、アクションに使われる金属部品等を効率的に生産する大量生産的な要素の相反する性質が必要となります。
アップライトピアノの生産はその後者に軸足を置くものですが、それを通じて製造メーカーとしてある程度のレベルに到達したとき、次に直面したのが一流ピアニストがコンクールや演奏会で使用するコンサートグランドピアノの製造でした。こちらは大量生産のアップライトピアノとは異なり、1音1音の表現を極める極めて職人的な世界です。当時の日本にはクラシック音楽のピアノ曲の芸術性を理解できる人材が不足しており、そもそも「どういう音を求めるべきか」という視点から取り組む必要がありました。「スタンウェイに勝るピアノを」が次の目標となったのです。
製造技術者とピアニストとの協業の末に、ついに日本のコンサートグランドピアノが一流ピアニストに認められ、海外の主要コンクール等で使用されるに至るまでの様々な関係者の取り組みを丹念に描いています。
私自身はピアノを弾くことができませんが、聴くのは大好きです。この楽器に、これほどの歴史があったとは本書を読むまで全く知りませんでした。読み応え十分のノンフィクションです。