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ドン・キホーテ 前編1(岩波文庫)

  • 発行年月:2001.1
  • 出版社:岩波書店
  • レーベル:岩波文庫
  • サイズ:15cm/431p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-00-327211-0

文庫

  • 国内送料無料

ドン・キホーテ 前編1 (岩波文庫)

セルバンテス (作), 牛島 信明 (訳)

紙書籍

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圧倒的に狂騒的な喜劇

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2003/06/18 21:01

評価5 投稿者:king - この投稿者のレビュー一覧を見る

四百年前に書かれたこの小説は、知名度と読まれている割合が反比例していることでも有名な作品だ。みんなが知っているこの有名な話を今更、しかも文庫本六冊にもなる冊数を前にして読む気がなくなってしまうというのも分からない話ではない。

しかし、本当にそうだろうか。

冒頭はこうだ。
ある名も忘れられた村に住む一人の郷士がいた。その男、暇を見つけては騎士道物語を読みふけり、蔵書は膨大な数になっていた。そして騎士道物語好きが高じて、ついには自らも騎士になるべく出発するのだ。この時点ではドン・キホーテは実はまだ騎士ではない。「狂気によって自らが騎士であると思い込んだ」、という説明がなされる時があるが、これは重大な間違いを含んでいる。彼は現実の腐敗ぶりを正そうとして、騎士道物語で活躍する騎士に自らを擬して社会に打って出ようとしているのである。その為、まず彼は騎士に必須の恋い慕う姫を捏造し、ある旅籠を城と見なし、宿の主人に騎士の叙任式を執り行わせるのである。これが狂人の行いだろうか。

「ドン・キホーテ」の物語とは、その空想的とも言える試みと現実との対決なのである。そこで彼はうまくやりおおせたり、手痛い失敗を喫したり、さまざまな活躍を見せる。古典といっても(ゆえに?)エンターテインメント的な物語性も充分だし、素っ頓狂なドン・キホーテとサンチョ・パンサとのやりとりはとても滑稽であり、深い洞察も垣間見せる。

そして、この小説が本領を発揮しはじめるのが(後篇)である。(前篇)の物語は基本は非常に単純で、一度旅に出たドン・キホーテが、みんなに騙されて郷土の人間に故郷の村まで連れ戻されるところで終っている。(後篇)はその直後から始まる。
(後篇)の最初の大きな特徴は、(後篇)の物語世界では、「ドン・キホーテ」の活躍を記した書物が広く出回っているということになっている点である。そして、ドン・キホーテは自らが主人公となっている書物に目を通すのだ!

(後篇)では、そのような奇想が随所に現われ、(前篇)とは毛色の異なる世界を作りだしている。一貫してドン・キホーテ以外のものには単なる畸人、狂人でしかなかったドン・キホーテが、ある富豪のいたずらで、まったき騎士として歓待されたり、ドン・キホーテがサンチョを連れてくる時に条件として提示した「サンチョを島の領主にする」という口約束が実際に実現してしまう下りなどは(後篇)のまさに白眉である。

このなかで狂人と正常人との単純な境界はどんどん崩壊していく。サンチョが島の政治に非常に有益な決定をしたり、ドン・キホーテがサンチョに影響されはじめたり、その当時セルバンテスの(後篇)より先に出版されたアベリャネーダの贋作の登場人物を本篇に登場させ、ドン・キホーテたちと対話させたりするなど、上下の関係や異常正常、虚偽と真実、贋作と真作の垣根をどんどん踏み跨いでいくような狂騒的な空間が現出する。

(後篇)はほとんどメタフィクションである。小説が小説であるという約束事を暴露し、パロディ化するような作品だ。そもそもこの作品は、騎士道物語のパロディである。ドン・キホーテが騎士道物語の読み過ぎで騎士になろうとした、という冒頭に提示されているように、その意図は明確で、いつでもドン・キホーテは騎士道物語のお約束を口にし、その通りに行動しようとするが、だいたいその行動は失敗か滑稽な落ちが付く。

ドン・キホーテの行動は当初、誰もがバカにする行動であった。しかし、それは単にバカにされるだけのものではない。ドン・キホーテが口にする言葉に人々がつい納得したり、説得されたりし始めるのにつれ、笑っていたものが笑われる立場に立たされる。バカにしていたものが安閑としていられなくなる。そこに出現するのは単なる「諷刺」ではない。「喜劇」だ。

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名前くらいは誰でも知っていると思う。

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2002/11/28 21:55

評価5 投稿者:LR45 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ドンキホーテという作品は有名だが、読んだことがあるという人は知名度の割に少ないのではないだろうか。
一つには、ドンキホーテがスペインの文学であり、翻訳でしか読めないというのもあるだろう。
確かに翻訳書はその魅力が、翻訳者の能力、語学、表現力に大きく依存しているところがあるし、翻訳者の能力が芳しくない場合、本を読むことが苦痛になることもあるが、この点、この作品は極めて平易で読みやすい翻訳がなされていると思う。
原作にどれだけ忠実かは原書をスペイン語を読めないので何とも言えないが、少なくとも重厚さを残しつつ翻訳がなされている。
内容自体も意外と濃い内容で、有名なドンキホーテが風車と闘うシーンの他にも、ドンキホーテが各地で起こす荒唐無稽な物語は、一面失笑してしまうようであり、しかし、本質を突いた様な主張ばかりで、エンタテイメント性以外でも読む価値を認めることができる。
長いので、なかなか読み切れないが、簡単に読みたいのならば、同翻訳者の少年文庫版をお勧めする。

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近代小説

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2013/05/17 17:04

評価5 投稿者:ぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る

ドン・キホーテ、サンチョ・パンサ、司祭の三人は最後までかみ合わない。理解しあわない。(オデュッセイアではなく)イーリアスと比較してみると、面白いかもしれない。いつも冒険は、狂気或いは偏執に依って始まるものかもしれないなぁ。但し、日常も何かしらの妄信に支えられているもので、妄信を互いに確認しつつ生きなきゃならない。ご苦労様。数年でも、異教徒の捕虜として生きたセルバンテスだから書けたものかも。理解しあわずに共に生きる、理想を超えて共に生きる、難しいような、当たり前のような・・・愉快な小説です。

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文学にあまり馴染みがない人には、難しい作品ではないでしょうか。

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2003/05/25 21:17

評価4 投稿者:素人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

この作品は、滑稽であると同時に悲惨である、
人間というものの両面性を描いているといわれます。
しかしそれは、僕のような経験の薄い、
鈍い読者には読み取り辛いものなのではないか、と思います。
つまり、読むには読めるが楽しめないということになってしまうのです。
滑稽なものを滑稽と感じるためには、ある程度、
読者に余裕がないとだめですが、それを持たない、または、
軽いエンターテイメント性を求める人は、
この長編小説を読み始めても、途中で挫折してしまうでしょう。

以上を要約すると、「名作を読むのはなかなかしんどい」ということになります。

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やっぱり面白い

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2002/02/19 09:46

評価4 投稿者:白井道也 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 何世紀にも渡って読み次がれる小説だから読み継がれる小説だから面白くないわけはない、というのは読んで初めて分かること。騎士道物語を読みすぎた頭のおかしい男が時代錯誤の冒険に出る、というこの『ドン・キホーテ』は、物語が絵巻物のようにトントンと展開していって、読みやすい。登場人物たちの言動が滑稽で、面白い。

 前後編を合わせて、岩波文庫は計6冊、ちくま文庫は計4冊。でも装丁も訳も岩波の方がいいので、僕はこっちを買いました。

 えらいもんで、『ドン・キホーテ』を読んだ直後に、いろいろな文章で“風車に戦いを挑むドン・キホーテのような”という文章をいくつか見かけたのだけど、そういう時に“教養としての「ドン・キホーテ」”というのを実感した。

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ノルウェー文学クラブ世界傑作文学第一位

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2015/12/26 02:29

評価3 投稿者:かわ - この投稿者のレビュー一覧を見る

誰もが知る作品でですが、風車の話とお供のサンチョパンサが有名で、文学にいうよりは古い小説というイメージでした。
戦争と平和や百年の孤独などを上回る評価を得ていると耳にし、戦争と平和を全巻読了後読み始めました。

非常に軽妙です。訳がよいのか内容は非常にわかりやすいです。

なにか教訓やら現代の自分の生活にも通じるような文学的経験を得ることを期待していましたが、そういうものはあまり感じられませんでした。

読み進めていくとひょっとしたらこの作品の偉大さがわかってくるのかもしれません。

ただし、1巻の時点では、近代小説の成立・近代小説の技法を生み出したなどといったところが評価されたのかな?と思っているところです。

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評価3 投稿元:ブクログ

2008/06/16 00:40

騎士道の本を読みすぎて、騎士道の物語の世界と現実との区別がつかなくなった「自称・伝説の騎士=英雄」ドン・キホーテと従士サンチョ・パンサの珍道中を描いた小説。400年経った今でも、(程度の差はあれ)こういう人「いるいる!」って感じ。だけど、個人的には、1冊(全6冊中)で十分・・・。

評価3 投稿元:ブクログ

2012/08/04 13:34

思い込みの激しい人の取るに足らない出来事がひたすら語られる、と聞いていたとおりの内容だった。
ちょっと敬遠してたけど、読み進めていっても飽きないことに驚いた。さすがに長年読み継がれている作品なだけあるなぁ。
サンチョがいい味出していて、ドンキホーテも非常識と常識とを行ったり来たりで。どんな終わり方をするのか、続きが気になる。。

評価2 投稿元:ブクログ

2008/11/08 00:36

かなり悪趣味で最低な本。
騎士道文学を読みすぎて頭がおかしくなった男が、何百年も前のフィクションの世界を実現しようとして甲冑に身を固め旅に出る。そして行く先々でその時代錯誤から問題を引き起こす・・・。

要約するとそんな感じだが、主人公のドン・キホーテははっきり言うと完全に狂っていて、彼が引き起こす問題やおかしな言動は面白いというより呆れさせられる。
そして物語に登場する周囲の人間も、そんな彼を頭のおかしなヤツとしてからかい、バカにする。
そんな「認知症老人をみんなでイジめる」みたいな展開が、延々1200ページにもわたって展開されるんだから、寒いというか酷いというか・・・。とにかく今まで読んだ本の中で、最も教育に悪い本であることは間違いない。

ドン・キホーテが直接関係しない挿話も作中には多々あり、そちらはそこそこ面白かったのだが。

後篇3巻は前篇とは趣が多少異なるようなので、後篇に期待。

評価3 投稿元:ブクログ

2014/10/28 15:47

やっと読み終えた、けれど道はまだ長い…
序盤めちゃつまんないと思ったけど、美女がdisられてキレる話はなるほどと思ったし、暗闇で謎のケンカになるとか、謎の音におびえるとかの話は吉本新喜劇風に馬鹿馬鹿しくて面白い。やはり世界のベストセラー小説、侮れない・・・

評価4 投稿元:ブクログ

2012/12/27 23:40

全6巻のドン•キホーテ。まだ1巻読み終わったばかりだけどだんだん面白くなってきた。ドン•キホーテはただの狂人ではなくてユーモアあるし、このメタメタな重層の語りはモダンに過ぎる。アラビアの夜の種族とかは思いきりこれに影響受けてるなたぶん

評価3 投稿元:ブクログ

2012/11/11 17:20

物語を生きる《愁い顔の騎士》ドン・キホーテ。

神話を源流として虚構が語り継がれてきたものが物語なのだろうが、さて遡れば一体いつの時代から人はそれらを虚構と認識してきたのだろう。

反面今なお、神や仏が生活の中では生きていたりする。

ともすると現実の方があやふやになる所を、すとんと虚構に塗りこめたドン・キホーテの妄想力が瑞々しい。

しかし……一巻だけでも、身体ボロボロになってます。
ある種、コミカルを超えた決死の冒険譚と言っていい本作を、どちらの視点から読むかというのも考えどころ。

うーん。

とりあえず。後五巻、五体満足であって欲しい。

評価3 投稿元:ブクログ

2009/05/09 21:25

聖書に次ぐ世界第2位のベストセラー!う〜ん、あらためて考えると凄まじい売り上げ・・・いったい何人が読んだんでしょうね
文章は非常に読みやすい。まぁ、スタンダードだと思います。いずれ、荻内 勝之先生の新訳も読んでみたいですね。
自分にとってはすごい集中して一気に読むというよりは、たまに読み返していく本になっていますが、読むごとに違った味わいが出てきて楽しいです。

ちなみに、このお話に音楽をつけたものはたくさんありますが、リヒャルト・シュトラウスのは最高ですね。


前篇全1〜3巻 所有

評価5 投稿元:ブクログ

2009/07/30 21:55

内容も去ることながら、岩波版はギュウスターヴ・ドレの挿絵がこれまた贅沢。
―――

辻原登いわく、『ボヴァリー夫人』同様、キリスト教をパロディ化した小説だが、とはいえドン・キホーテの方が、読んでいて単純に面白いし物悲しい。痛々しくもない。

評価4 投稿元:ブクログ

2014/06/25 00:40

みんな知ってるラ・マンチャの男ドン・キホーテの物語。まずは前篇第1巻。金盥の兜の話も、風車に立ち向かう話もこの1冊目で出てくる。前篇3冊後篇3冊2500ページの大長編なので先は長い。

しかし、ロシナンテはロバじゃなくて馬なのね。電波少年世代はみんなロバだと思ってるよね。

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