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憲法とは何か (岩波新書 新赤版)
著者 長谷部 恭男 (著)
憲法は何のためにあるのか。立憲主義とはどういう考えか。ときに憲法は人々の生活や生命をも左右する「危険」な存在になりうる。改憲論議が高まりつつある現在、その本質について冷静...
憲法とは何か (岩波新書 新赤版)
憲法とは何か
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商品説明
憲法は何のためにあるのか。立憲主義とはどういう考えか。ときに憲法は人々の生活や生命をも左右する「危険」な存在になりうる。改憲論議が高まりつつある現在、その本質について冷静な考察をうながす「憲法再入門」。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
長谷部 恭男
- 略歴
- 〈長谷部恭男〉1956年広島県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学法学部教授。専攻は憲法学。著書に「権力への懐疑」「テレビの憲法理論」「憲法学のフロンティア」など。
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紙の本
憲法の本質を考える
2022/04/23 16:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
総選挙等で勝利を得た政党が多数を背景に必ず論じてくるのが憲法改正。改めて日本国憲法を考えるとき条文の解釈だけを考えて改憲するのか、国としての形(原理)を変えるために改憲するのかを考えるとき、現役の学者が薦める一冊。憲法とは何か、その本質はなにかを考えさせられる。立憲民主主義から生じた近代憲法。憲法によって国民は権力から自由と権利が守られている。改憲によって九条を改ることは、今までの国の在り方が変わり国際社会からどのように見られるか。国家間の紛争を防ぐためにも憲法は必要と論ずる。予期もしない国家間紛争が起きている今だからこそ憲法改正については国民は真剣に考えるべきではないだろうか。
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憲法をクールに語る
2008/12/26 22:49
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:半久 - この投稿者のレビュー一覧を見る
岩波新書によるタイトル『憲法とは何か』とくれば、憲法の最高法規性、前文や三大原理の崇高性、立憲主義とはなんなのか・・・などを正攻法でどうどう語りおろすのかと思いきや、そうではないのです。
あ、いや、著者が長谷部氏なのだからそうはならないのは、事前に予想されたことでした。あ、いや(またもや、すみません)、しょっぱなで立憲主義についての説明がなされるのですが(本格的には第3章で)、長谷部氏らしいプラグマティックな要素の濃い見解です。
もちろん、それだけではないのもこの人らしいです。4ページ目からミラン・クンデラの小説を引用したりして「高踏的」な一面もみせてくれます。
また、「公私区分論」が最近評判が悪いこともご存じですが、立憲主義的見地から擁護します。
改憲論についても、戦前への道にもどりかねないことを憂いてというより、「特定の人が信奉する価値(愛国心とか)を、憲法に書きこんだってむだですよ」とか、「改憲なんかに労力をそそぐ暇があったら、もっとほかにやることがあるでしょう」みたいな、どこか醒めた実利重視の論調なのです。
*(カギ括弧内は正確な引用ではありません。評者なりのいいまわしに変えました)
それでも、第1章『立憲主義の成立』の締めは、やや理想主義的ですがまっとうなものです。引用してみましょう。
《日本がリベラル・デモクラシーの擁護に貢献できるとすれば、平和主義の下で培われた日本への信頼を裏切って戦争による民主主義の輸出に加担することでも、市場万能主義の名の下に弱者切り捨ての経済政策を追求することでもなく、むしろ、現実のヨーロッパ社会のあり方を超えて、多様な価値観や文化を抱擁する公平で寛容な社会のモデルを創造することによってではなかろうか。「国を守る」ために、現行の九条の下での実力の行使に対する歯止めを今、捨て去る理由はなさそうである。》
前にも紹介しましたが、長谷部氏は、憲法9条を厳格に(つまり準則として)解釈することで自衛隊を違憲とする通説的立場をとりません。だから、一部の右派から「これからの憲法学をリードする存在」と奉られたこともありました。この方たちも後にはがっかりされたようです。別にこの方たちにリスペクトされなくても、長谷部氏はなんの痛痒も感じられないのではないかと想像しますけど。
ところが長谷部氏は、第2章『冷戦の終結とリベラル・デモクラシーの勝利』で《冷戦下において共産主義の脅威に対処するためにアメリカの核の保護を受けたことは、立憲主義に基づく議会制民主主義国であり続けようとする以上は、合理的な選択であったといえる。》と、反核派の頭に角がはえてくるようなことを、さらりとおっしゃいます。
けれども、この言明に拍手を送るような人へ水を浴びせることも忘れません。
《しかし、それ以上に、他国の体制の変更を求めて武力を行使することを厭わない特殊な国家との深い絆を求めるべきか否かについては、より慎重な考慮が必要であろう。》と。
第3章『立憲主義と民主主義』が、いちばん本書のタイトルにそった話になっていると思います。
第4章『新しい権力分立?』では、首相公選制問題にも言及しますが、いささか先端的な話をしています。新書なんだからもっとポピュラーな話題を増やしてはどうでしょうか?・・・なんてことを思います。
第5章『憲法典の変化と憲法の変化』と第6章『憲法改正の手続き』では、改憲問題にさらに深くつっこみます。
規範を三次のレベルにわける説明は、ややわかりにくいところがあります。憲法改正手続き要件(3分の2条項)の緩和反対論には説得力がありました。あるべき国民投票制度については、耳を傾けるにあたいする3つの提言がなされます。
終章『国境はなぜあるのか』は、憲法論議を超えています。ここの切れ味はいま一歩でしょうか。結語はいいと思います。境界線の維持を自己目的化することに警鐘をならしているのです。
毎度のことになってしまいますが、やはりこのお方の憲法本は、よくもわるくも「ありきたり」なものにはならないようです。
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憲法と戦争の関係
2010/03/24 18:32
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
フランス王ルイ14世は「朕は国家なり」と言ったが、本書流に言えば「憲法こそ国家なり」となろう。
フィリップ・バビットによると、絶対王政から革命期を経て立憲君主制に移り、三種の国民国家(議会制民主主義、ファシズム、共産主義)が鼎立する状態になる過程には、戦争形態の変遷が大きく影響を与えていたらしい。
ナポレオン時代の様に騎馬隊などの突撃戦法・会戦が有効な時代には、短期間に兵力の集中運用を行えば戦争の決着がついたが、銃火器の発達はその様な戦法を無効にしてしまい、徴兵制による大量兵員の分散・包囲による戦略が主流となった。この徴兵の代償として、国民は政治参加範囲を拡大させることとなり、徴兵を正当化するために、戦争の結果として国民の福祉が向上することを国家目標とするようになった。これが国民国家であり、それぞれの性格を決定づける概念が憲法である。
第二次世界大戦や冷戦では、異なる性格を持つ憲法に対する攻撃が行われた。前者では議会制民主主義と共産主義の共闘によりファシズムが粉砕され、後者では共産主義が崩壊して集結した。この結果行われたのは、勝者による敗者の憲法の書き変えだった。つまり、第一次世界大戦以降、戦争は憲法の書き換えを行わない限り集結しない仕組みになっていたのである。
三種の国民国家は全く異なる性質に思えるけれど、いずれも国民の同一性・均質性を要求するという点では同じだ。ただ、その実現方式として、共産主義は階級の同一化を、ファシズムは民族の同一化を選択する。一方、議会制民主主義は、公と私を分離し、私には多種多様性があることを認めつつも、公として同一であることを要求される。
では、これらの特質を決定づける憲法、特に議会制民主主義における憲法は、どのような性質を持っているのだろうか。H.L.A.ハートの慣行的理解によると、古い法律は新しい立法によって改廃されるが、道徳的な準則や原理はこうしたやり方では改正されないという。
社会生活における人々の権利や義務は、本来、社会的慣行として成立する。それをテキスト化したものが憲法だという。ゆえに、テキストを改正したとしても、社会的慣行がいきなり変わるわけではない。逆に言えば、テキストを変えなくとも、社会的慣行が変われば、その運用として下位法を改正することにより、実際上、憲法改正されたのと同じ効果をもたらすことが出来るのだ。この考え方が一理あるということは、例えば、"憲法の政府解釈"という行為を見てみればよいと思う。
前半は憲法の性質について、後半は首相公選制や憲法改正議論などに対する反対意見・無意味さの論理を展開している。個人的には、前半の議論が色々と考えさせられ面白かった。ただ、一文が長いことが多く、文頭と文末で何を言っているのか分からなくなることもあり、いかにも法律家的な文章だなとも思った。
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憲法とは何かを考えるのに格好のテキスト
2022/09/19 13:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
憲法とは何か、立憲主義の成立から国境はなぜあるのかという問題まで、論考の守備範囲は広い。薄い本だが内容は濃い。憲法とは何かを考えるのに、格好のテキストだ。特に改憲に関する部分は、必読だ。