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紙の本
検事の本懐 (宝島社文庫 このミス大賞 佐方貞人シリーズ)
著者 柚月 裕子 (著)
骨太の人間ドラマと巧緻なミステリー的興趣が見事に融合した連作短編集。県警上層部に渦巻く男の嫉妬が、連続放火事件に隠された真相を歪める「樹を見る」。東京地検特捜部を舞台に“...
検事の本懐 (宝島社文庫 このミス大賞 佐方貞人シリーズ)
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商品説明
骨太の人間ドラマと巧緻なミステリー的興趣が見事に融合した連作短編集。県警上層部に渦巻く男の嫉妬が、連続放火事件に隠された真相を歪める「樹を見る」。東京地検特捜部を舞台に“検察の正義”と“己の信義”の狭間でもがく「拳を握る」。横領弁護士の汚名を着てまで、恩義を守り抜いて死んだ男の真情を描く「本懐を知る」など、全五話。第25回山本周五郎賞ノミネート作品。【「BOOK」データベースの商品解説】
横領弁護士の汚名を着てまで、恩義を守り抜いて死んだ男の真情を描く「本懐を知る」ほか、骨太の人間ドラマと巧緻なミステリー的興趣が融合した連作短編全5編を収録。〔2011年刊の加筆修正〕【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
樹を見る | 7−80 | |
---|---|---|
罪を押す | 81−146 | |
恩を返す | 147−233 |
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紙の本
時空を超える描き方に感心する
2017/02/05 21:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は佐方シリーズの一編で、主人公佐方が検事時代のエピソードを5話集めたものである。佐方は当初は本書と『検事の死命』で著されたように、司法試験に合格して検事として活躍していた。ところが、検察の体質に嫌気がさして、退官し、所謂ヤメ検として弁護士の道を選んだのであった。
本書は『検事の死命』と同種の作品である。このシリーズの書き方、とりわけ順序が珍しい。いきなり弁護士になったところから始まり、検事時代に遡るのである。弁護士を主人公にする小説は特段珍しくはない。検事だって近年多くの作家が手掛けているので、珍しいとは言えないし、テレビドラマでも数多くの作品が放映されているので、検事の仕事も珍しいとは言えない。
しかし、本シリーズの主人公である佐方貞人は、信念をもって検事の職を務めている。単なるサラリーマン検事ではない。真実の追求こそが使命であると信じている。表向きはすべての検事がそう思って日々の仕事に立ち向かっているのであろう。しかし、大半が大勢に流されてしまう。佐方はそうではない。
こういう小説の場合は、一話一話の中身も重要である。どこにでもあるエピソードを紹介しても、読者にすぐに飽きられるのが落ちである。大岡昇平の『事件』もそうであるが、特に選び抜かれたものでなければならない。
本書の舞台は東北にある地検での出来事を描いている。ということは、検察の前段階で警察が動かなければならない。そこで発生した連続放火事件をめぐって警察幹部同士の葛藤が最初に読者に提示される。警察関係者の登場は本シリーズでは珍しくない。次の話は窃盗を繰り返す初老の男が、また罪を犯して留置場に戻ってこようとするが、佐方の洞察力の前に真実が明らかになる。
いつも同じ環境では読者も飽きると考えたのか、東京地検特捜部への応援もある。ここでは特捜部ならではの、贈賄がテーマである。検察官には必ず事務官が付随する。佐方は助手たる検察事務官の使い方もうまい。そして、信念をもって仕事に立ち向かう姿を見せることによって、この検察事務官を心情的に味方に引き込むのである。
柚月はこれらのエピソードをどこから持ってくるのかは分からないが、どれも引き込まれてしまう。佐方の性格や行動にも引き付けられる。今後の佐方貞人は弁護士として活躍するのだろうが、時間を超えて話が大きく前後するので、今後の佐方はどうするのかではなく、今まで検事時代にどのような事件を扱ったのかという点が再登場する可能性もある。そういう点で時間を超えているのだが、それだけで小説の時間的な幅が大きく広がったような気がする。また、佐方がどのような職歴であってもよいように準備がなされている気がしてきた。また、佐方の父親の事件については、テーマ提起が『検事の本懐』でなされ、解決編が『検事の死命』にあるのも面白い。
紙の本
胸も目頭も熱くなる作品
2019/02/02 20:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作『最後の証人』を読み、一気にファンになりました。その2作目。前作ではヤメ検弁護士として登場した佐方の検事時代の短編5作。どの作品も心にグッと来る内容で、読んでいて胸も目頭も熱くなるほど、素晴らしかったです。この作品を読めばますます佐方が好きになります。引き続き追っていきたい作家さんです!
紙の本
素晴らしい!
2015/08/08 09:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:スナフキン - この投稿者のレビュー一覧を見る
体調や繁忙状況で、年間読書量が10冊程度~100冊近い年と変わりながらも、結果大量に読み散らかしているのも、この作品の様な本に出会う為!一昨年メガネを遠近両用にしてから文庫本も苦労しなくなって、この本も文庫で読みましたが、ハードカバーを買い直したいレベルです。さらなる新作に期待します。
紙の本
木訥でありながら人間味溢れる主人公に惹かれる
2015/03/20 20:03
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ブックワーム - この投稿者のレビュー一覧を見る
息子佐方貞人は優秀な検事でありながら人間味溢れる好漢として描かれている。検察という組織の中、普通の人ならば流されてしまいそうな逆境において人の道として大切な部分を守りとおす強い存在となっている。
父佐方陽世は弁護士として、義理に厚く表現は異なるがやはり大切な物を守り通すことでの葛藤や苦悩する男として登場する。
父陽世については、やり手で抜け目のない週刊誌記者の目で描かれており、そうした視点で表現されている点でもこの作品の趣を高めれている。
紙の本
最後の証人の後に、
2016/08/13 16:14
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまぜみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
読んだ本、おもしろかった。
紙の本
よく練り込んである検事小説
2015/09/16 18:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
五話所収、うち前半の三話がよかった。特に、掏摸の常習犯が出獄後すぐつかまって「またやったのか」と誰もが思っていたところを佐方検事が調べ直し、真実を暴く話がよかった。まだ筒井が佐方の実力を知らず、様子見をしている段階なのも興味深い。五話目の佐方父に関係する話はいまひとつ納得できなかった。
ただ残念だったのは、どの話にも法廷が出てこなかったこと。公判担当と捜査担当の区別からなのかもしれないが、小説だとやはり、法廷での丁々発止のやりとりを期待してしまう。