紙の本
そして主人公は出発点にたどり着く
2008/06/07 17:49
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る
やはりナカタさんと星野青年の魅力には、抗いがたいものがある。それは、ずいぶんとポジティブな力を、『海辺のカフカ』の読者に与えてくれる者のように思われる。ただし、それをもって、この少年カフカが救われていくのは、物語世界内の論理であることはわかるのだが、いささか都合のいい展開に感じられてしまう。
もちろん、少年カフカ自体も、いくつかのタイプの「自己との戦い」をくぐり抜けはする。村上文学で繰り返し書かれてきた「森」での出来事などは、その代表と見なしうるが、問題なのは、そこで何が起こったかということである。もちろん、本書は小説なのだから、どのような書き方をしてもいいのだが、やはり村上文学らしく「隠喩」で書かれるそれでは、いったい少年カフカが何と向き合い、何を乗り越えたのか、全くわからない。わからないままに、結末で少年カフカは、この物語の出発点にたどり着く。
いま「たどり着く」と書いたが、果たしてこれは、何かしらプロセスを経たポジティブな変化の帰結なのか、にわかには判断しがたい。見ようによっては、何とも向き合わず、何をも乗り越えなかった少年カフカが、再びスタート地点に戻された「だけ」のようにもみえる。むしろ、自体を客観的に分析すれば、そうした見方の方が自然なはずである。
しかし、新聞紙上の書評でもそうだったと記憶するが、本書から、多くの識者が〈癒し〉を感じ〈勇気〉をもらったのだという。この結末の解釈は、本書、さらには村上春樹の現在を評価する分水嶺となるだろう。
紙の本
結局ファンタジーだったということ?
2022/08/20 09:30
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投稿者:makiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
ナカタさんは入口の石を見つけて、ホシノくんの助けを得て佐伯さんに出会い、ミッションを終えて力尽き、ホシノくんが入口の石をひっくり返して解決、カフカくんは家に帰るという結末。結局、佐伯さんはカフカくんの母親だったのか、よくわからなかったです。観念がどうとかいう部分があったりして哲学的のような、ファンタジーのような不思議な小説でした。ベートーヴェンの「大公トリオ」が出てきて、聴いてみたくなりました。
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2005/03/12読了。
―そうだな、君がやらなくちゃならないのは、たぶん君の中にある恐怖と怒りを乗り越えていくことだ
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あっという間に読了。ナカタさんの解釈は難しい。こういう夢魔に支配されているみたいな話を、自分の現実と重ね合わせると、怖くなる。
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前から読みたいと思っていて、文庫になったと聞いて大喜びで購入。読み終わった後、クラシックを聞くようになった。
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満足です。すごい速読してしまいました。星野青年とナカタさんのやり取りが良いですね。ナカタさんみたいな人に出会ってみたいものです。
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村上春樹の小説について感想を述べたり、レビューをしたりするのって難しいんですよ。物凄く抽象的と言うか哲学的な作品が多いから。
でもつまらなくはなかった。むしろ面白かった。「なんとなく」面白かったとしか言えない。(´-,_ω-`)プッ
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本全体の形式としては、2つの話が交互に現れる「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」と同じタイプ。でもあちらよりもつながりも分かりやすい気がします。昔読んだからちょっと忘れちゃったけど。生きるとはどういうことか。なぜ人間は生きなければならないのか。永遠のテーマです。
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精神的圧迫と言うか、辛い、切ない、寂しい、悲しいそんな風に思った。
読んでてかなり精神的に恐かった。
本来はもっと前向きに解釈して読む本なのかもしれないけども…。
比較的村上作品って暗いですよね〜。
そこがまた好きだけど。
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「上」はけっこう展開があって面白いな、と感じてたんだけど、やっぱり後半になるにつれて、村上ワールドだった…。
内にある、ぽっかりした部分に取り込まれそうになる気がした。色々悩んでる時に読んでしまったのがまずかった。
村上春樹の作品は、基本的に、「あちら」と「こちら」、
2つの自分
バラバラになった半身
というものが出てくる。
「スプートニクの恋人」と似てると思った。他の作品もそうなのかな。
ほんとに、出てくる人みんな孤独なんだわ。
村上さんの内面が心配になってくる。
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読む前から期待していたし、呼んでいるときも最後が気になって気になって期待していた。でもいまいちでした。あまりにもまわりくどすぎて、疲れた。不完全すぎる。
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面白くて一気に読破。上巻では謎だらけだった登場人物達の関係が次第に明らかになる。カフカとナカタさんが次第に距離を縮めていく過程が交互に描かれていて面白い。すっかり、とぼけているのけれど不思議なパワーを併せ持つナカタさんのファンになってしまった。こんなに素直で憎めないおじさんが近くにいたら楽しいのに!(笑) 楽しいといえば、ユーモアセンス溢れる文章にもニヤニヤ。それにしても、これだけ入り組んだ長編に色々な情報を織り交ぜながら、よくこれだけ破綻なく書けるものだよなぁ。
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上下を通じてこの本はメタファー(隠喩)な本。それを頭に置いて考えるもよし、ただ感じて読むのもよし。細かい事実にだけは囚われてはいけません。
2度は読もうと思いました。
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読んだのは高3の冬。バイト代が入って、一番最初に買いました。
今じゃ内容はほとんど覚えていませんが(苦笑)、あのときに読んで良かったと思います。
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父親殺しはギリシャ時代からの神話的要素だけれど、日本は子殺しが主なのかえ?戦国時代はなんでもありだわなあ