紙の本
天皇の戦争責任!
2023/02/02 10:18
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
少女マリは母によってどうしてアメリカに留学させられたのか、母は一言も理由を話してくれない、初めは私たち読者も見当がつかない、ある日マリは担当教師から進級の条件としてディベートをすることを義務付けされる。そのテーマは「昭和天皇の戦争責任」、主人公も言っているように戦後史はあまり授業で習っていない私たちの世代、彼女も必死で天皇について考える、この「戦争責任」というテーマは私は未読だが、作者の代表作「箱の中の天皇」へと繋がっていく彼女の重要なテーマだ。最後に私は彼女の母が彼女をアメリカに送った理由がわかった気がしてくる、彼女の母は東京裁判の資料の翻訳に携わっていた、翻訳者だから個人の意見は挟めない、例え、不公平な裁判であるとわかっていても。だからこそ、その思いをマリに託したのではないかと
紙の本
戦後日本について
2019/07/30 11:40
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
夢と現実、過去と現在、母と娘、天皇と臣民などが互いに交錯してすごい不思議な小説になっている。最後のディベートの部分に引き込まれた。
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16歳のマリが挑む現代の「東京裁判」とは? 少女の目から今もなおこの国に続く『戦後』の正体に迫り、毎日出版文化賞、司馬遼太郎賞受賞。読書界の話題を独占し“文学史的事件”とまで呼ばれた名作!
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どこからが現実部分なのかわからない、ふわふわとした作品。この小説を読むまで、A級戦犯の意味も知らなかったことに気がついた。
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母と娘の問題に、娘が中年になって向き合った物語。二人が同じ16歳ごろにそれぞれの形で係わった東京裁判を接点にして、関係を作り直していく。読んでいてすぐ、時空を超える手法だったりテーマが似ていたりするので、村上春樹のねじまき鳥を思いだした。けれど印象はまったく違う。私はこの小説の方によりリアリティを感じた。
ただ、天皇制の問題を「母」≒「親」の問題に回収することで、主人公の母娘問題の解決の見通しも暗示してしまおうとするのには多少の違和感を覚える。確かに、作者の力量はすごい。人は母や肉親、多くの人々の思いによって形作られているのだということを、主人公が彼らの声なき声を表現していく過程を通じて描き出し、「個」が持つ責任の意味にまで言及してしまった!けれども、母を知ることで主人公の娘の葛藤も解消に向かうなら、娘だけの「個」はどこにあるのだろうか。語ることができた時点で、娘の「個」は確立したのだろうか。それでは、「個」を減価しすぎてはいないだろうか。
それとも、これは次の物語なのだろうか。次の作品が待ち遠しい。
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16歳のマリの目を通して、東京裁判、天皇の戦争責任を見つめなおす。テーマに惹かれて買ってみたものの、あまり入り込めなかった。
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自分には合わない。現実と妄想あるいは夢の中を行き来しているのだと思うが、区別が全くつかず話が理解できなかった。クライマックはディベートの場面でそこに向かって話が進んでいるのだろうが、作者が何を訴えたかったのも理解できなかった。
多くの人は「東京裁判」を描いている作品と捉えているようだが、本作の主題は、自分には日本人のイメージにはないアメリカを描いているように感じた。その歴史的な経緯も含め。
本書は沢山の賞を受け絶賛されている。確かに、私も作中のマリと同じで、意識的にか無自覚かも分からないが、天皇の戦争責任などということは深く考えたこともなかった。そう言う意味では、一石を投じた作品ではあるのだろう。
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ハードカバー発売時から気にはなりつつ文庫待ち。序盤のいくつかの時代と現実と夢だか妄想だかを行ったり来たりするパートは正直ちょいしんどい。ただ、それがあってこその後半の圧巻のディベートシーンであって、まぁガマンせにゃしゃあないし、ガマンする値打ちのあるディベートシーンの勢い、雲が晴れるような爽快感、それでも残るザラっとした違和感、読後感は決して悪くない。この時期だからこそ、かどうかはともかく。
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戦後日本国民のアンタッチャブルともいえる「天皇の戦争責任」を女子校生に正面から追いかけさせるという異色の小説。アプローチおもしろい。
まっとうな日本人分析が、夢と現実との往復や、東京裁判を模したディベートに乗せて繰り広げられる。
ひとり繰り返す語り口というか、女性一人称の文体がなんかウザくて終始イライラするのだが、そのせいかかえって冷静に内容追うことができた気がする。
いいんじゃないでしょうか。イライラしちゃうけど。
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うまく言えないが、感じる のではなく
理解する 本を好んでいるため、
赤坂さんの、感覚的、な文体(皮膚感覚的な?)になかなか馴染めずに今まではきた。
東京プリズンは、感覚的な部分がありながら
も、物語として肉厚で、最後のディベートの
カタルシスは、爽快だった。
それにしても、戦犯の等級が、罪の重さでは
なかったとは・・・
敗者には敗者の物語があって、それは天皇を
透過させなければ浮き彫りにできなかった、
ということなのか。
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あまりにも幻想的で形而上的な前半は戸惑いを覚えたが、後半からディベートが始まると本作は忽ち熱を帯びる。天皇の戦争責任、東京裁判の不合理性、さらには神の概念に対する疑問など、欲張りに盛り込まれた問題点は読む者を混沌とした黙示録的世界へと誘う。
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かつて日本が戦った戦争、その戦争責任を裁いた「東京裁判」を扱った小説。ストーリーのなかの主人公マリのいる時間と空間を追いかけるのに少し苦労、一読ではなかなか追いつけない。
しかしながら、作中後半ににおいてマリが参加するディベートという切り口で裁判の本質を上手く捉え核心に迫る、そして不快感を与えない。
スピリチュアルな表現がデリケートな点を薄めている気がする。
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本屋で平積みになってベストセラーとあったのと、タイトルが気になって購入。評価に迷う作品。最後のディベートシーンや狩りのシーンは面白かったけど、全体としては長くって、この半分のページでまとめてくれれば良かったのに…という感じかな。作者はこの小説をきっかけに昭和天皇の戦争責任を考えようなどという発想はなく、ただ30年以上前のアメリカ留学中に、そんなディベートをしたのが少女の人格形成に影響を与えた…ってそれだけの話。
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「東京裁判」「天皇の戦争責任」という、ある意味語るのが難しい問題について、アメリカへ留学中のマリの視点を通して描かれる。ただし、主人公のマリが、記憶を介在して時空を移動出来る?といった不思議な能力を持つ為、時間と空間、人物の視点が次々と入れ替わり、ある種、幻想譚の様な内容でもある。肝心の戦争問題に関しては、ところどころ新しい”気づき”を与えてくれる箇所もあったが、個人的にはもう少し踏み込んで欲しかった。終盤の山場である公開ディベートにおいても、結局幻想シーンになってしまった為、せめて最後は論理的なカタルシスを与えて欲しかった。
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天皇の戦争責任、つまり第二次世界対戦における日本軍の行動に昭和天皇は責任を有しているのか否か。そうした社会的な問いに対して、小説という枠組みで思考の一端を示した意欲作。
16歳の少女が1人留学したアメリカの高校で天皇の戦争責任を問うディベート大会に臨む、その少女は著者と思しき作家に成長するがはアメリカへと自身を送り込んだは母の意図がわからず、複雑な親子関係の中で思い悩む。2つの時代がパラレルに描き出されつつ、神を巡るアニミズムの議論などが重なり合い、読者も混乱させられつつ、最後のディベートにおいて、現人神とされていた天皇の神性にまで議論は広がり、天皇の戦争責任というナイーブな問題に答えが出される。
万人にお勧めできる作品ではないし、感覚的な描写も多いので意図がよくわからない場面も正直あったが、いずらにせよ文学でしかできない形での思考実験として捉えると面白い作品。