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投稿者:コアラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
東京オリンピックの頃(というか正確に昭和39年)の東京が詳しく描写されている。「そうそう」と楽しく読んでいたが,下層の人々の暮らしに胸を打たれた。そんなに悲惨だったのか…と。子どもの頃工事現場が好きでよく見物に行っていた。土方のおじさんたちは,陽気でやさしかった。それでもこんな境遇だったのか。たぶん著者は反政府主義者だから(サウスバウンドは楽しかった),多少の誇張はあるかもしれないが,こんなものだったのだろう。次の展開が待ちきれなくて,いい歳して徹夜してしまいました。
電子書籍
高度経済成長期の不都合な真実。
2019/06/08 19:44
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投稿者:トコトコくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
1960年代、戦後日本が高度経済成長を迎えて、将来に希望が溢れた明るい時代。その陰には、貧富の格差、都会と地方の格差が広がりつつあった。貧困に喘ぎ苦しみながらも必死に働く人達がいた。だが社会はそんな暗い部分を見ずに豊かさを享受していた。
格差によって生み出されてしまった、いわゆる底辺の人達の不満による一種の仕返しのように感じます。今の世の中にも通じるものがある気がしますし、読み始めたら止まらないです。
紙の本
格差社会に挑む
2017/10/22 06:15
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
1964年の東京オリンピックを前に、鬱屈とした思いを抱えている青年の心が伝わってきました。ワーキングプアなどは今の時代に繋がるものがありました。
紙の本
30年代後半の高度経済背長期における格差社会を描く傑作!
2016/06/20 08:54
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、昭和39年のアジア初の東京オリンピックを目指した日本の高度経済成長時代の格差社会を一人の主人公の目から描いた傑作中の傑作です。吉川栄治文学賞を受賞したの当然という気がします。主人公島崎国男は秋田の小作農の息子として生まれましたが、高校の教師から「この子はできがいいから大学にいかせてやりなさい」という一言がきっかけで奨学金をもらい、東京大学経済学部に入学します。ある日、東京の工事現場に出稼ぎにきていた兄が心臓発作で亡くなったという知らせを受け、彼の遺骨を受け取りに工事現場に出かけます。それから国男は兄がたどった道を自分も味わうことが兄の弔いであると考え、夏休みの1か月強の期間、建設現場で日雇いの仕事を行います。そこで、国男が見たものは!そこには高度経済成長を支える過酷な労働とそれを支える虫けらのような名もない人夫たちの存在があったです。国男はその矛盾に悩まされながら、自分の果たすべき使命を感じていきます!
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奥田英朗の語り口が絶妙。どう絶妙かってその時代のいて、登場人物たちの隣にいる気分になれる。下巻へ続く。
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おちゃらけ系かなと思いきゃ、また作風を変えてきやがったな。著者の作家力を感じる。
レビューは最終巻で。
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小生 東京オリンピックのカイサイをボウガイします――兄の死を契機に、社会の底辺ともいうべき過酷な労働現場を知った東大生・島崎国男。彼にとって、五輪開催に沸く東京は、富と繁栄を独占する諸悪の根源でしかなかった。爆破テロをほのめかし、国家に挑んだ青年の行き着く先は?〈吉川英治文学賞受賞作〉
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東京オリンピック開催を前に、東海道新幹線開通、名神高速道路開通など日本は「もはや戦後ではない」と言われる復興を遂げていました。秋田の寒村から東京大学に進学した島崎国男はオリンピック開催を錦の御旗に繫栄を独占するかのような東京と、未だ戦前の貧困を抜け出せない故郷との格差にやり切れない思いを抱きます。
「東京だけが富と繫栄を享受するなんて、断じて許されないことです。誰かがそれを阻止しなければならない。ぼくに革命を起こす力はありませんが、それでも一矢報いるぐらいのことはできると思います。オリンピック開催を口実に、東京はますます特権的になろうとしています。それを黙って見ている訳にはいかない」(本文より)
主人公島崎国男がたった一人で行動を起こすに至る当時の時代背景の描写が非常にリアルです。明の東京と、暗の故郷。そのコントラストがあまりに激しい。国家に対してたった一人で行動を起こした島崎国男の行く末はどうなるのか。下巻が楽しみです。
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秋田出身の東大生の島崎国男は、建築現場で働くの死を機に自ら人夫として働く。東京オリンピックの盛り上がりの裏で何人も犠牲になる人夫。
東京への富と繁栄の集中に憤り、オリンピックを妨害すべく爆破テロを実行。
当時の東京の街並を感じられる描写が見事です。
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東京オリンピックを中心に据えた、戦後日本のテロリストサスペンス。
犯人と、捜査陣や周辺人物の視点を交えて物語を進める構図が巧み。
後者は事件初日から、前者はその約一ヶ月前から語りを始め、徐々に間がつまり、ラストのオリンピック開会式で交わる。おそらく著者の狙い通りの、緊迫感と疾走感の加速が味わえてよかった。
ただ、テーマに据えてる戦後日本のプロレタリアートに対するオチが、見当たらないのが気に少しなる。
3+
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東京だけが富と繁栄を享受するなんて、
断じて許されないことです。
誰かがそれを阻止しなければならない。
ぼくに革命を起こす力はありませんが、
それでも一矢報いるぐらいのことはできると思います。
オリンピック開催を口実に、
東京はますます特権的になろうとしています。
それを黙って見ているわけにはいかない。
素直で真面目な人間が犯罪に手を染めることほど悲しいものはないと、わたしは思うのである。
そうさせた国や権力や時代、戦後20年を経て浮かれる東京の人々、何が悪いなんて言えないし、そもそも発展の過程として仕方のないことだとも思うけど考えさせられる。
想像もつかない時代背景に興味が止まらない。
下巻も一気読み必至。
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昭和39年夏、東京はアジア初のオリンピック開催を目前に控えて熱狂に包まれていた。そんな中、警察幹部宅と警察学校を狙った連続爆破事件が発生。前後して、五輪開催を妨害するとの脅迫状が届く。敗戦国から一等国に駆け上がろうとする国家の名誉と警察の威信をかけた大捜査が極秘のうちに進められ、わずかな手掛かりから捜査線上に一人の容疑者が浮かぶ。圧倒的スケールと緻密なディテールで描く犯罪サスペンス大作。
これは名作ですな。
下巻で語ります。
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素晴らしい作品です。☆5以外ありえない…んですが個人的好みで4。
5年後に東京オリンピックを控えた今、読むタイミングは完璧でした!!
東京オリンピック開催妨害と引き換えに、国家に身代金を要求する東大生・島崎国男。
章ごとに変わる視点と場面で、社会の底辺と、繁栄する日本を思う存分に楽しむ東京の若者たちの対比が痛いくらいに表現されます。
島崎を追う刑事たちも富を享受する側であり、貧困に窮する地方とは大きくかけ離れた生活を送っている様子が描かれていますが、彼らにその自覚は無く、この話では誰を憎めばいいのか……
島崎の思いが国家に届くことが無いのなら、せめて身代金を無事受け取ってほしい、そんな思いで読み進めました。
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東大生がダークサイドに墜ちすぎ。
オリンピックの裏で蠢く華やかさとは異なる深い人の闇が描かれていると思う。それが人間味のある。
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内容(「BOOK」データベースより)
小生 東京オリンピックのカイサイをボウガイします―兄の死を契機に、社会の底辺ともいうべき過酷な労働現場を知った東大生・島崎国男。彼にとって、五輪開催に沸く東京は、富と繁栄を独占する諸悪の根源でしかなかった。爆破テロをほのめかし、国家に挑んだ青年の行き着く先は?吉川英治文学賞受賞作。