紙の本
ぶれない人だ、すばらしい
2021/11/12 08:12
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投稿者:飛行白秋男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
命が軽く扱われた戦争時代。
士官として戦争に関わらざるを得なかった主人公。
非難されようとも部下の命を守ることを最優先とする。
こんなリーダーがトップならば、戦争は避けられたのではないか。
新潮社の装幀室さまにアッパレ!
紙の本
激動に翻弄されていく兄妹
2023/02/01 00:49
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
進学を希望しながらも軍人の道へと進まざるをえない青年、鷹志の苦悩が伝わってきます。彫刻家を目指してカフェで働く雪子も、時代の流れに抗えないのがほろ苦い...
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『神の棘』は第二次大戦中のドイツを舞台にしていたが、こちらは日本の話。関東大震災から終戦までを1人の青年の目を通して描いている。
戦時中が舞台だが、描かれているのは家族や友人との絆だと感じた。軍事的な諸々の描写はやや甘いところもあるのだが、そこをツッコミ始めると主眼から逸れてしまうので取り敢えず置くw
(取り敢えず主人公の海軍士官を「利根」に乗せるのは割とマニアックな選択じゃないだろうか……)
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傑作というには色々惜しいけど個人的にはかなり好みだったです。
特に主人公の親友である江南が格好良くも切ないよなあと、後最後に手紙の意味が分かってまたまた切なさがたまらないことになるのだった。
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良い意味でも、悪い意味でも魅力的なキャラクターが多い
テンポ良くまとまっている分、
一人一人をもう少し深掘ってほしいような気がしないでもない
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負けるとわかっている戦いに自分を犠牲にする気持ちってどんななんだろうか
軍人として生きながら、生きたいと願うことに矛盾はないと信じる
国のエリートが皆死んだのはほんとうにもったいないなあ
人一人育てるコストときたら途方もないものなんだから、命を引き換えになにかを得ることは正しくない
正しい誇りを持ち、正しいプライドを持ち、生きたいと願う
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大正後期~第二次世界大戦終戦までの設定で海軍将校のお兄ちゃんと彫刻家を目指す妹のお話。
中盤あたりの雪子が周りからチクチク見られてるとことか、潔癖主義とか同調主義が今より強くて、自分の意志の強い人は生きづらかったんだろうなと感じた。
友達の手紙のシーンは鷹志と一緒に泣いたし、祥鳳が沈んだとこも涙目になった。
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私は戦争の本は好きじゃない。
誰も、人が死ぬのを知るのは耐えがたいものがあるから。でも、あの戦争の、フィクションであるけれども、そういう人もいたであろう、一抹の事実が書かれたもの、を避けては通れない。知っておかなければならない事実と言うのは、大陸で何をしたかと言うことでも、南洋や本土、のちのシベリアや戦犯裁判でされたこと、よりも、その時の、軍を動かしていた人間じゃない、命令されていた人たちや普通の人たちが、何を見ていたかと言うことなんじゃないかと。
なんとなく手に取った本。
タイトルが良かったから。でも、装丁で気づかなければならなかった。読みはじめてすぐに、あーこれは戦争の話になるぞ、と。
ラバウルという地名が出てきたところで、もうやめたい気分になったけど、やめられない。ここまで読んできた、ここまでで見知った人たちを、ここでやめてしまうわけにはいかないから。だけど本当に辛い。
手に取ったときは気づかなかったのだけど、須賀しのぶさんの本だった。
神の棘
あの本も、何て言うか。
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タイトルに何度も泣かされるとは思いませんでした。
激動の時代の中で兄と妹、それぞれが大人になるまでを丁寧に描いています。
途中何度も苦しくなっては胸中色んな思いがぐるぐると駆け巡っていました。
幼い頃は反感を覚えていた父の生き方を、こんな方法で理解することなんてなかっただろうに…と、鷹志の歩んだ道を思うと何ともやりきれない気持ちになってしまいます。
説明も多く淡々と進んでいく物語ですが、沢山のドラマが詰まっていて印象的な場面ばかり。思い出すたび切ないです。
これはまた読み返したい作品だな…須賀さんって凄い作家ですね。
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須賀しのぶさんの、日本を舞台にした作品は初めてかもしれません。戦前から戦中、終戦の描写が、重く心に迫ってきました。中心となって描かれる鷹志の、兵学校での友人との日々は瑞々しく、そのことが返って、戦中の戦場での惨さを感じさせられます。戦中から、鷹志が、この戦争はきっと負ける、と悟り、それからも防人の精神で日々を送っていくのが悲しかったです。防人、と、紺碧の果てを見よ、の言葉をぐるぐると考えてしまいます。重い作品でしたが、とても面白かったです。負けた後に、どう生きていくか。自分にとっても考えさせられます。
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第二次世界大戦さなかに、海軍への道を志した兄と、慕いながら我が道を行くことになった妹。ふたりの全く異なる、けれど強い絆で結ばれた半生と、厳しい時代のさなかでの友や愛する人たちとの出会いと別れを描いた物語。
時代背景と舞台を鑑みれば、生死が首の皮一枚でつながっていることは明白で、甘い話ではないというのは分かり切ったことです。けれど、兄と妹の生き様を軸に描かれているので、重さよりもその「志」のありよう、「こう自分は生きるのだ、進んでいくのだ」という想いの強さに惹かれるように読んでいけました。
挟まれる独白の様な手紙が時代をさかのぼっていることに気づくと、最後まで読み終わったときにその時々の背景が浮かび上がり、離れ離れの二人の強固な絆の尊さが胸に迫るようでした。
当たり前のように明日があることの大切さを、自由が手に入っている時代の有難さを、もっと感じなければいけないな、と思いました。
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戦争が始まって以降の話には、精神論を掲げて現実を見ず、向こう見ずな戦いに若者を送り込んだ日本政府や軍に嫌悪感を感じた。この時代の中で、戸惑ったり、怒ったり、悲しんだりしながらも、必死に生き抜こうとする人たちの姿が清々しかった。
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須賀氏には珍しく日本の太平洋戦争時代の物語。
当時は弱虫の考えと思われたに違いない「逃げるが勝ち」の思想。海軍の、そして日本の敗戦を知っている現代の私としては、逃げて逃げてと願わずにはいられなかった。
そしてもっと大切なのは、鷹司の父も言っていたように「どうして負けたのかを考えること」。
そこまでやってこそ、多くの屍を乗り越えて次の時代に生き残る意味がある。
我々現代人も過去から学ばなければならない。
須賀氏の小説は、東欧モノの方が面白いかな。
2018/07
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「友よ、紺碧の果てを見よ。
愛するものの防人たれ。」
そう書き残して道半ばにこの世を去った盟友。
最期の瞬間まで、家族の防人であった父。
守るべき者たちをこれほど苦しめてまで、この戦争を続ける意味はあるのか?
我々は、紺碧の果てに何があると信じていたのだろうか…
平凡な夏休みから始まり、関東大震災を経て、次第に戦争へと近づくにつれ高まっていく緊張感と、章の合間に時系列を逆行するように差し挟まれる妹・雪子の兄・鷹志への手紙が切なさを呼ぶ。
最終章、艦上で終戦を迎えた鷹志の部下への訓示は涙なくしては読めず、読み終わったときは思わず本を胸に掻き抱いていた。
どのページを開いて、何度も読み返しても、胸は熱くなり、目頭も熱くなる。
あ~、この時期にこの作品に出会えたことが本当に嬉しい。
これからも、誰もが、いつまでも、愛するものと共にいられますようにと祈りを捧げたくなる作品でした。
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「ならぬものはならぬ」
少年時代は腰抜けだと思っていた実父の教えに、最終的には回帰する主人公『鷹志』
彼自身が生きるためというよりも、ともに戦う大事な『家族』を守るために、終戦まで逃げ切ることを決意するまでの葛藤に心を打たれました。
妹である『ゆき』や、妻である『早苗』との心の触れ合いも、鷹志の人間性が感じられてよかった。