紙の本
掟というより、官僚組織の内情もの?
2016/06/20 22:48
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投稿者:坂の下の落人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
外務省という官僚組織を、著者の体験に基づく視点で「組織」と「個人」の普遍的な問題、組織の弊害、そこで身に付けた処世術などを章立てて語っています。示唆に富む考察も多く、納得させられ部分多いのですが、タイトルの「組織の掟」を外務省の事例だけで言い切るのは少し無理があると思いました。
本としてはそうした書名の方が売りやすいというのはわかりますが、若干違和感を覚えます。著者の外務省時代の総括、棚卸的な内容だというのが実態だと思います。
もちろん本として読み応えがあり、外務省官僚組織の実情が垣間見れたのは、個人的に興味深いものでした。
紙の本
組織の取扱説明書要約版
2019/01/27 08:03
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投稿者:もちお - この投稿者のレビュー一覧を見る
ありとあらゆる人間が関係する、いわゆる組織に関して、著者の外務官僚時代の経験を踏まえた組織の取扱説明書要約版のような本。各章に著者の経験が記されており、それがどれも面白い。そして、ああ、こういう人いるなとか、こういう経験あるなと思う点もちらほらあり、パラパラと眺めてニヤニヤできる。これから大企業や官僚組織に関与する人もすでにしている人にもオススメ。
紙の本
組織の一員として読んでおきたい一冊
2016/08/11 06:33
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投稿者:まき - この投稿者のレビュー一覧を見る
組織、特に巨大組織ほど、根本は旧態依然であり、是非、若い組織人に読んで欲しい一冊です。
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佐藤優氏のこういう趣旨の本が読みたいと思っていた矢先に本屋で発見。自身の外務省勤務時代での経験を基に、組織の明文化されていない掟を綴っている。自分が属する組織をどう読めばいいか悩むところだが、外務省という特異な環境は組織の掟の極みを凝縮したところなのかもしれない。
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著者1985年4月外務省入省
2002年5月逮捕
2009年6月懲役確定
2013年6月執行猶予期間満了
組織=人間を引き上げてくれる力 新入社員=お客さん扱い→教育を放棄しているだけ
組織には法律とは別の組織の掟がある。
英国陸軍語学学校ロシア語会話先生「初級の段階で正確な文法の知識と基本語彙を暗唱していないと,年々モスクワで暮らしても,ロシア人が外国人向けに話すやさしいロシア語しか理解できない」
相手に合わせた仕事が身に付く 大量の公電→大使名→大使の意向の文面
組織は人を引き上げてくれる→どの組織でも10年くらい一生懸命仕事をすると一人前→短気を起こして組織を離れると,結局,自分の力がつかない。
上司に逆らわない→組織は上司に味方する。
物理の法則 水の落下 汚い仕事,厄介な案件→下が処理する。
「あの人たちは滅私奉公で努力している」という物語で自分が置かれていた理不尽な状況を合理化していたにすぎない。
起業のリスク 日本の金融機関の中小・零細企業への融資 社長本人の連帯保証を求める→事実上の無限責任,倒産すれば全財産失う。
外務省 学生時代からクラスで1番→成績が2番以下になるのが耐えられない。
インテリジェンス機関は人がすべて→おかしな人を採用すると工作が失敗し,組織が存亡の危機に瀕する。
独自の正義感を持つ者→社内のコンプライアンス機関を通さず,マスコミ,警察へ内部告発するタイプ
仕事をする上では,コミュニケーション能力や事務処理能力,精神力や体力などのあらゆる能力が必要→どの仕事にも重要な基礎的な能力→外務省=語学力
基礎的な能力の低下は組織全体を弱体化させる→かつて省内で強かった外国語に対する執着という文化が急速に薄れてきた。
ロシアとの会談の様子 ウェブ トップクラスの通訳の誤訳や稚拙(ちせつ)な表現→通訳は専門職だが,監督する立場キャリア職員の語学力の衰え,日常的な指導をしていない。
大人になってから新たなスキルを学べる人→基礎的な知識を正確に記憶し,テキストを多く読み,問題を解き,集中力を欠かずに継続的に仕事に向かうことができる人
外交の世界の仕事 ロジスティックスLogistics(兵站へいたん→下支え),サブスタンスSubstance
(交渉の準備,現場で相手と直接討論)
①ロジ担当 ホテル,会議場確保 食事 空港 配車
②サブロジ担当 首脳会談日程
③サブ担当 首相の発言要領
④プレス担当 マスコミが「大成功」と報道する誘導
ロジができない人に,絶対にサブは任せられないという確信
ロジは臨機応変な対応,絶対にミスをしないという注意力
外務省は大学の外国語教育をまったく信用していない→10か月で大学生3年分に相当する内容を詰め込む→在外研修→それでも高度な外国語能力が身につくのは2割程度 大人になってからの習得は難しい
1番病の新人 ロシアの政治,歴史,経済など「この分野ならば,外務省で1番分かっている」という自信をつけさせる。
外務��の新人教育システム→非常識な輩が一定数生み出される。
ロシア語の基礎能力がないと…エビ=××する ヨップ=××しろ ヨッホイ=○○
薔薇の花→必ず奇数にすること
嘘つきは死ぬまで直らない→小嘘をつく傾向 テスト(正直に言う4割,嘘か意味不明の言い訳6割)
男女関係のこじれ ストーカー化 プライドが高くて傷つきやすく,自分を抑圧してきた人→他人も批判の目で見る。
人間は環境順応性の高い動物,組織に過剰に同化しようとしてしまう。
逮捕の取り調べ中「あなたたち外務省の人たちと話していると,世間一般とかけ離れた基準で物事を考えている。金銭感覚に関しても,政治家との関係についても,一般社会はもとより,他の官庁ともだいぶ異なる」
社内の付き合いは消化すべき→課内旅行,親睦会,二次会は付き合うべき
健康管理も実力のうち 外交官だって基本的に消耗品 旧日本軍と同じ
不倫 ペアウォッチ ペア高級文房具→女性で勘のいい人が必ずいる→気づかれる。
佐川急便事件 自民党はソ連から社会党への裏金提供を調査開始
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組織は無理難題を押し付けてくることもあるが、人を引き上げてくれることもある
若いころの苦労は上司の肥やしになる
上司は選ぶことはできないが部下は選べる
筆者 選ぶことはできなくても断ることはできる
ストーカー対策の第一人者 小早川明子
プライドが高すぎて傷つきやすく、自分を抑圧してきた人は、他人のことも批判の目で見ます。批判するには正義を盾にするのがもっとも簡単で、「約束を守れ」「無視するな」と常に自分を正当の位置に置きたがる。その意味ではストーカーは実に律儀で、まるで教師のような態度で「誠意」「信頼」「道徳」「人として」といった言葉を多用します。
けれど実際にしていることはストーキングですから、外から見れば、言葉と行動が反比例しているような自己矛盾を曝け出しています
そこまで相手によりかかろうとするのは、独りで居ることへの不安が極端に強いからだと私は考えます。それは学歴や社会的地位、収入とは関係ありません。
いずれにせよ、酒乱やストーカなど、何かに依存し、本能的な衝動をコントロールできず、破滅的な行動を取るものは非常に危険だ。本人の努力や組織の指導ではどうにもならない。適切な治療を受けさせるとともに、上司としてはすみやかに遠ざけるべきだ
竹中平蔵 二次会がカラオケの時 早いうちに2曲くらいうたって、「あいつはいた」という印象を確実に残した上で、静かにかえって時間をムダにしないようにした
重要なのは、「あいつは人付き合いの悪い変わり者だ」とか「人間嫌いだ」という評判を立てられないようにするのが重要である。会社勤めは要領をもって本分とするということをわすれないようにする
官僚には3つの落とし穴がある 自殺の大蔵、汚職の通算、不倫の外務
常識の違う人は違う現実を見せてくれる
ごく一般的な仕事でも、仕事をやめざろうえないような状況が突然訪れる恐れは十分ある。組織がいつ個人を切り捨てるかもわからない。そのとき自分を助けてくれるのは、元いた業界や組織でなく、複合的に身につけた特殊なスキルやもうひとつの肩書きなのかもしれない
最近の組織を見ていて不安になるのは、自己愛を十分に制御出来ない人が増えていることだ
組織の中には競争がある。当然勝ち負けもある自己愛が過剰な人は、自分の能力がある分野においては、他人より劣っているということをどうしても認められない。自己愛が肥大しすぎていて、他人の気持ちになって考えることが極度にできなくなっているのだ。
こういう人は嫉妬心にも鈍感だ。なぜなら、自分は特別な人間なので、周囲が自分の楽しさや才能に嫉妬したとしても、自分は他人に嫉妬するような低劣な感情は持っていないと思い込んでいるからだ。
そうして自己愛が肥大したひとは、「現実が自分を呑み込むか、自分が現実を取り込むか」という危うい賭けを、自覚しないうちにし始める
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こちらはまた違った意味で買ってはいけないとわかっていながら。やはり面白いし、話の重複も比較的少なかったのもよい。
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結局のところ,その時々の自分の行動は,自分の人生哲学に回帰される.それが自分の中に一貫した骨子を持っているかどうかなので,参考にもできるしできないかもしれない.自分次第.
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ちょっとニュアンスは異なるが、組織が人間を成長させてくれるという著者の感覚には共感を持った。自分自身が経験した事でもあるからだ。それと、上司はできる部下が可愛いということ、組織は上司を重んじるという事。サラリーマンは、日々の人間関係の中で「政治的に」自己を守らなければならない。そのためには、組織を自分優位にコントロールする必要があるのだ。
佐藤優を読み慣れた人なら、同じような言説に触れるかも知れないが、特に、前述したような要領の良さを得るためには、参考となる書だ。
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部下の活かし方と、部下のためにサボタージュするところが参考になった。
あとは、少なくとも組織にいればわかるかな、という内容。
外務省であった様々な経験がか書かれていて、そこまで書いて大丈夫か、と思う内容もあり。そういうものが好きな人には、さらに面白いかと。
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どこかで読んだことのある内容が所々出てくるが、官僚だからこその組織の掟のような話がふんだんに盛り込まれていて飽きずに読み切ることができた。ためになります。
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元財務官僚の方が書いた組織の構造と泳ぎ方マニュアル。
転職してから転職先の組織のことが全く理解出来なかったが、これで完全にクリアになった。旧態依然とした会社に勤めていて組織のあり方や上司との付き合い方に悩める方は必読。
同著者の他作と内容が被ってるとのレビューを見てますが、僕はこの本しか読んでないので分かりません。
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元外務省職員で執行猶予付有罪判決を受けた佐藤優氏の組織論。日本が輸入した欧州型の軍事組織からの組織を泳ぐ術についてまとめた一冊。珠玉の言葉が並ぶ。
(1)上司には絶対に逆らってはいけない。組織は上司に味方する。
(2)どこの組織でも上司の仕事は部下の成果を吸い尽くすこと。もっとも吸取り過ぎると部下がやる気を失くすので部下の取り分もそこそこ残しておくのがバランス感覚のある上司のやり方。
(3)汚い仕事にありがちな弱点や面倒な点を責めて断らせる。
(4)ロジは臨機応変な対応と絶対にミスをしないという注意力が必要とされる。ロジが出来ない外交官は仕事の要領が悪く機転が利かないというレッテルが貼られる。…部下の能力を判断する上での基本になると思う。
(5)一般論として受験勉強や就職活動に過剰なエネルギーを投入して漸く憧れの組織に入ってくる様な人はバネが伸びきっているので研修で新たなスキルを習得する事は難しい。…筆者の外務省での経験に照らして見るとやる気でカバー出来る能力の領域は極めて限られた範囲に過ぎない。
(6)組織の仕事は足し算ではなく掛け算。ゼロ型人材の人と極力接触しない事が組織の中で長生きする秘訣。上司は選ぶ事は出来ないが部下は選べなくても断る事は出来る。
(7)露見する様な嘘を平気でつく部下は自分のチームに入れない。酒乱やストーカーなど何かに依存し本能的な衝動をコントロール出来ず破滅的な行動を取る者は非常に危険。
(8)社内のコミュニケーションを円滑にする付き合いは、きちんと消化する。組織の中で生きていく以上特定の派閥かネットワークに加わる事は不可欠。
(9)役所には定員がある。外交官だって基本的に消耗品がある事を忘れてはいけない。健康管理も実力のうち。
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冷静に読むと、上司と部下の関係では当たり前の事を書いているが、ノンキャリで、登り詰めただけに説得力がある。
そして、どの組織にもいる困ったヤツへの対処法には、反論の余地は与えないほど、ビジネス書としての期待を裏切らない。
印象深いエピソードは、あるスキャンダルで、劣勢の自民党の情報戦に巻き込まれた項は、上質なサスペンスを読んでいる錯覚におちいるほど、リアルで、スリリングであった。