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  • みんなの評価 5つ星のうち 4.5 19件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2008.7
  • 出版社: 岩波書店
  • レーベル: 岩波新書 新赤版
  • サイズ:18cm/205,2p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-00-431140-9
新書

紙の本

戦争絶滅へ、人間復活へ 93歳・ジャーナリストの発言 (岩波新書 新赤版)

著者 むの たけじ (著),黒岩 比佐子 (聞き手)

週刊新聞『たいまつ』休刊から30年、その深い思索と熱い主張の到達点とは−。従軍記者経験をふまえ、憲法9条のもうひとつの意味、社会主義挫折への見方、そして未来を照らす希望の...

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戦争絶滅へ、人間復活へ 93歳・ジャーナリストの発言 (岩波新書 新赤版)

税込 814 7pt

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商品説明

週刊新聞『たいまつ』休刊から30年、その深い思索と熱い主張の到達点とは−。従軍記者経験をふまえ、憲法9条のもうひとつの意味、社会主義挫折への見方、そして未来を照らす希望の在りかを語る。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

むの たけじ

略歴
〈むのたけじ〉1915年秋田県生まれ。東京外国語学校卒。朝日新聞社記者を経て、週刊新聞『たいまつ』を創刊、主幹を務めた。ジャーナリスト。
〈黒岩比佐子〉1958年東京都生まれ。ノンフィクションライター。

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みんなのレビュー19件

みんなの評価4.5

評価内訳

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  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)

紙の本

かんじんなことを忘れないで考え続けること、の難しさ大切さをこの本は伝えてくれた。

2008/10/28 16:53

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「(戦争は)行ってしまえばもう「狂い」ですよ。P33」「「心の中に言えないものをもっているから、それ以外のことも、戦場ではこんなことがあった、といえないんですよ。P38」 朝日新聞で従軍し、終戦で退社したジャーナリスト、93歳でなお語り続ける著者の言葉である。
 本当の戦争とはどういうものかを語りましょう、とむのさんが語ったことに「ああ、やはり」と思うか、「いや、そんなことはない」と思われるだろうか。どちらにせよ、実際に体験をした人が語る言葉はおろそかにはできない重さがある。むのさんですら、93歳になった今だから言える、ということ部分あったかもしれない。「戦争直後にきちんとこうだったと書き残せなかった」むのさんの反省を活かすにはどうしたらいいのだろうか。特に、「戦争の後うやむやにずるずると持ち越してきた問題をどうするのか」、「資本主義の一人歩きが始まった今、ソ連がつぶれた理由のきちんとした解析が必要」、など、戦後をずっと見てきた元ジャーナリストの鋭い言葉に、現代のジャーナリズム、識者、いや、普通の我々もきちんと対応していかなくてはならない、の思いを深くした。
 特に、「のこるは資本主義だ。」とむのさんと対談者、編集者が書いたことは、現実に問題を露呈してきている。正しくものを見る人には、みえていたことなのだ。「○○がダメなら××」と船上を皆が一度に移動し、船はバランスを崩している。揺れ続ける船の上で、なにができるのだろうか。

 第6章のタイトルのように「絶望の中に希望はある」と思えるかどうかなど、むのさんの主張に異論もある。しかしそれはそれで、自分の考えだけが正しい、とかあたりまえ、とすることなく、意見の違いを正直にぶつけ合えばよいのだろう。
 結び書きは、奔放でむのさんらしい文章である。「私たち普通のあたりまえの人間たちは、結局のところ人間の常識を大切にして普通に生きつらぬくことではないか。」とむのさんは書く。そして多分、なにが「常識」か、をも問い続けることなのだ。

 幾人かのかたが、既によい書評を書いておられる。でも、どうしても一言加えたく、書かせていただいた。それは、むのさんの生き方を「英雄」視したり、美化したりはしないでいよう、ということである。「人は美談をつくるために生きているのではないp83」とむのさん自身も本書の中で書いている。「むのさんはすごい人」でかたづけ、カタルシスで終わってしまうのではいけないと思う。
 各自が自分の考える「かんじんなこと」を検討し、言葉にし続けるということで、はじめてこの本、著者の思いが伝わった、ということになるのではないだろうか。
 この文章もそのひとつ、であるとよいのだが。

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紙の本

本当の戦争の怖さが伝わらなかったわけが納得。

2008/08/25 15:35

11人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:りっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 むのたけじさんは93歳。その生命力に圧倒される。胃ガンにも肺ガンにもへこたれず、医者に「むのさんは、まだ死ぬわけにはいかないという仕事をもっているから、何度でも生き返ってくるんでしょう」と言われたそうな。
 彼の情熱の出所は危機感。マスコミや知識人たちがまともに機能していないこと、戦争を再び繰り返すことになったら、人類も地球を危ういこと、生きているうちに伝えたいことが一杯あるからだ。私もその危機感を共有はしているのだけれど、何せ、戦争を体験はしていない。むのさんは報知新聞、朝日新聞の記者となり、敗戦記念日に戦争責任ととる形で退社、『たいまつ』を創刊、1978年の休刊後も著作・講演等、ジャーナリストとして活動している。
 「戦争のことを一番よく知っているのは、実際に戦場で戦った人たちです。ところが、戦場へ行けばわかりますが、行ってしまえばもう「狂い」ですよ。相手を先に殺さなければこちらが殺される、という恐怖感。これが、朝昼晩とずっと消えることがない。三日ぐらいそれが続くと、誰でも神経がくたくたになって、それから先は「どうにでもなれ」という思考停止の状態になってしまうんです。したがって、戦場から反戦運動というものは絶対に出てきません。
  本当にいやなことだけれども、戦場にいる男にとっては、セックスだけが「生きている」という実感になる。しかも、ものを奪う、火をつける、盗む、だます、強姦する・・・ということが、戦場における特権として、これまでずっと黙認されてきました。」
 「あえて言いますが、ほとんどの男は、とても自分の家族、自分の女房や子供たちに話せないようなことを、戦場でやっているんですよ。中国戦線では兵士に女性を強姦することも許し、南京では虐殺もした。そのにがい経験に懲りて、日本軍は太平洋戦争が始まると、そういうことはやるな、と逆に戒めた。軍紀の粛正を強調したんです。」
 「そこで、出てきたのが「慰安婦」というものです。」
 「何人もの女性たちを船に乗せてインドネシアまで連れてくるためには、軍の了解が絶対に必要です。それなしには、誰も戦地へは来られませんからね。やはり、慰安婦は軍部が一つの作戦としてやったことで、まったく軍の責任だった。そして、慰安婦一人ひとりの事情はさまざまだけど、やはり、だまされて連れて来られたケースが多い。
 慰安所ではどういう光景が見られたか・・・。日本の兵隊がやってきて、まず女に金を渡すんです。そして、もう順番ですよ。何十人もが長い行列を作って順番を待っている。女の前に行ってからズボンを脱ぐ時間がないので、順番を待ちながらマラをビンビン立てて、それを手で握って「早くやれ!まだかー」と叫んでいる。本当にあわれなものだ。
  ――なんだか人間ではなく、犬猫扱いというか・・・。兵士たちは戦地で、そういう扱いをされていたのですか。
 そうだ。ケモノになっている。さっきも言ったように、戦場では、殺さなきや殺される、という恐怖のなかで、神経を張りつめられるのは三日間。あとはもう惰性で、やがては人間からケモノに近くなる、ということだ。」
 ケモノになってしまうのは、日本兵だけではない。蘭・豪・英軍による強かんと殺戮の直後の現場も目撃している。戦争とはそういうものだ。私にも想像はできるが、従軍記者として、その目で見た人の話は貴重だ。そして、家族に語られない内容だったことの説明がとっても納得が行く。いくら平和教育をしても、これでは戦争の怖さが次世代に伝わらない。本当の戦争について、いまになって、朝日にとどまって書くべきだったと後悔されているそうだが、私もそう思う。その生の情報に触れるチャンスは、年が過ぎて行くとともに徐々に消えていくのだ。若者よ、彼の言葉に耳を傾けよ。
 「憲法九条とは何か。あれは、いわば軍国日本に対する“死刑判決”です。軍備はもたせない、陸海空軍すべてだめ、交戦権も永久に放棄させる。これは、あの乱暴な戦争をやった日本が、もう二度と国際社会で戦争はやれなくなった、ということにほかならない。言い換えれば、国家ではないという宣告です。交戦権をもつのが近代国家だ、ともいえるわけですから。」
 「ところが、一方で、人類が生き続けていくためには、戦争を放棄したあの九条の道を選択する以外にないといえる。だから、憲法九条を良いほうに考えると“人類の道しるべ”だということもできる。」
 「(この)両方の面を、突き合わせなければならなかった。その上で初めて、日本人は今後どういう生きかたをし、人類に対してどういう呼びかけをしていくべきかという苦闘が始まったはずです。そういう議論を、あのときしなければならなかった。」
 あいまいなままだから、戦争を始めた責任者たちは裁かれず、天皇制についてもGHQの占領政策に則ってそのまま、9条を御幣のように祀っただけだから、それを生かそうとする努力もない。自分たちが加害者であったという意識も薄い。
「敗戦直後の15年間、日本の民衆は、東京でも農村でも生きるために必死だった。そのなかでわかったのが、人の命の大事さです。「人一人の命は地球よりも重い」という言葉が出てきます。」
 だよね。で、必死に生きて働いて経済復興。でも、それは「朝鮮特需」のおかげ。つまり「日本の成長には中味が伴っていなかった。根っこが生えていなかった」と言うんだ。
 だから、9条も空洞化し、年金もぼろぼろ、教育も「人的資源の開発」だなんて言って、「幼稚園から大学まで“就職予備校”になってしまった」。「戦後の減反政策が、農林水産物をつくる第一次産業を完全にだめにした」。
「戦後の高度成長、それからバブル、バブル崩壊後の右往左往。きちんとけじめをつけるということをして、初めて出てくるエネルギーがあるべきだったのに」、「しかも、経済成長期からは、他者依存の生活になり、何か具合が悪ければ人のせいにする。いわば「主語がない」状態でずっと来てしまった。国家にも政府にも、当時の国民にも、いまの一億千万のなかにも「主語がない」んです。」
 だから、一人一個から始めること、「女中心」の世の中に変えることを提言している。そして、だれに対しても対等な口をきき、現実的な思考をする今の子どもたちにも希望があると。なんかねぇ、どこか楽観的なところが、もうひとつのむのさの長寿の秘訣だな、とも思ったよ。

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紙の本

「戦争絶滅へ、人間復活へ」の道にたいまつがともされた本

2010/01/20 13:47

6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ろこのすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る

敗戦の日に戦争責任をとる形で朝日新聞社を去った著者「むのたけじ」は、今、その選択を悔いる。
残って「本当の戦争」を伝え直すべきだったと。朝日新聞社を辞めたあと、著者は横手市に居を移し、1948年に「たいまつ」新聞を発足させ週間新聞『たいまつ』を創刊。地を這うような苦難の時代を経て全国各地へ購読者は広がった。
 その現役ジャーナリストも90歳を越えた。戦前・戦中・戦後を生き抜いてきた「時代の証言者」の彼に今のうちに聞いておかねばならないとインタビューをし、まとめたのはノンフィクションライターである黒岩比佐子である。
 彼女の率直な疑問に答えるべく「従軍記者としての戦争体験」「敗戦前後」と「憲法九条と日本人」「核兵器のない世界へ」「絶望の中に希望はある」など章立てて語っているのが本書である。
 戦争責任を取って朝日新聞をやめた「むのたけじ」がなぜ「朝日をやめるべきではなかった」と今になって悔いているか?
 それは2005年、敗戦60周年の記念として琉球新聞が作った『沖縄戦新聞』を見たからだった。戦争中は絶対書けなかった内容を新聞にしたものだった。むのたけじはこう思った。

 (戦後、すぐに「本当の戦争はこうでした」と読者に伝えて、お詫びをすべきだった。そうすればみんながもっと戦争のことを考えたでしょうし、敗戦から今日に至るまでの日本の新聞の報道の態度もまるっきり変わったと思うのです。)

 東北地方にあって個人新聞「たいまつ」を作り続けて30年、「草の根」活動として全国を講演した回数3000以上。日本の良心ともいうべき人がむのたけじである。この本の中で最も印象的だったのは第二章の「従軍記者としての戦争体験」である。戦争映画や小説の中で戦争が描かれることはあっても実体験による戦争現場における人間の心理、狂気と麻痺の状態がなまなましく語られることはなかった。それは戦場というものが人間を狂気にし、その狂気を麻痺させないでは生きていられないからである。そんな非人間的な体験を誰も語りたがらないからだった。だからこそ、みんなはこの「戦争」の狂気を、真実のあるがままの姿を知る必要があるのだ。
 机上論として、理想論としての戦争廃絶などではない。
 最後に語り手としての思いの章で「むのたけじ」はこういっている:

 (この本をすらすら読み進むのでなく、曲がり角や要所で立ち止まってほしい。彼はここで三丁目に進んだ。私なら一丁目に行く。彼が一丁目や二丁目に背をむけたのはなぜだったか。(略)
 と言った具合にあなたの生活のまな板に本書、すなわち「むのたけじ」を載せて包丁の背で存分に叩いてもらいたい。こういう叩き読みで学べば、生きるという動詞に真に値する生活力が鍛えられ、高められるのではないか。)

 ノンフィクションライターである黒岩比佐子のインタビューの仕方が素晴らしいことも,あいまって本書は実にわかりやすい。淡々と気負うことない語り口で「むのたけじ」という人間と「戦争絶滅へ、人間復活へ」の道に「たいまつ」がともされた本であった。
 日本の良心ここにあり!

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紙の本

生き方の指南書

2008/09/23 05:54

6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る

どんな事柄においても経験は強い役割を果たす。
「百聞は一見にしかず」などと言う使い古された慣用句を用いるまでもなく、直接の経験に裏打ちされた物言いは力強い。それだけに逆に経験者の語る言葉に対して、未経験者は真摯な姿勢で聞き置く必要があると言える。
そんな一般論の中でも、特に戦争の経験ほど未経験者には理解・体感できにくい物はない。戦争というものが、それだけ人間の感得しうる究極の経験であるからであろう。
そんな時代を生きた人の語る言葉は、できうる限り後世に残し伝えていくべきである。
むのたけじ氏は戦争の真っ只中で生きた。新聞記者として普通の人たちより多くの情報に接し、新聞をはじめ本来なら一般のひとびとを救うためにあるべきはずのものが、いっせいに権力の側を向き、民衆を騙し扇動する役割を果たすようになったのを、その眼で見た。身近に体感した。
それが、氏の戦後の生き方を決めた。
戦争中、権力に迎合し戦争を煽る側についた新聞に身を置いた自身を恥じ、敗戦の時と同時に新聞記者を辞めた氏は、戦後一貫して反戦を訴える生き方に徹してきた。その手段はミニコミであったり講演であったり場を選ばないが、そのスタンスは決して揺らぐことはなかった。
氏が氏の著書「詞集たいまつ(評論社)」に載せている言葉から。
『あとくやみをしたくないなら、何びとをも恐れるな。何びとをもあなどるな。つまり、最初に自分をゆびさして、よく考えることだ。』
氏は「あとくやみ」しない人生を選んだ。氏の歩んできた道、氏の生き方を、現代に生きるわれわれはしっかりと感じさせてもらおう。世の中が右傾化し、歯止めなき戦前回帰の道を進もうとしている現代において、「何びとをも恐れ」ず、「何びとをもあなどる」ことなく、「最初に自分をゆびさして」じっくり考えて自身の行動が選び取れる自分になれるように。氏に学ぶところ大である。
そんな人が一人でも増えれば、まだまだ現代も捨てたもんじゃない。

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紙の本

戦争廃絶の希望を、志をもって生きる「個」に求める

2008/09/30 14:21

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ナンダ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 戦中に朝日新聞の記者をつとめ、敗戦後、戦争責任をとって30歳で朝日を退職した。以来、東北地方の実家にひっこみ、週刊新聞「たいまつ」を発行しつづけた。
 戦前にマルクス主義にふれ、戦争中は特派員としてインドネシアを歩く。殺さなければ殺される状態で3日間もすごせばだれもが投げやりになる。中国では虐殺や強姦が相次ぎ、それを防ごうと軍が設けた慰安所では、何十人もの兵士が行列を作って順番を待ちながら屹立した局部を手で握って「早くやれ! まだか!」と叫んでいた。
 ただ、虐殺や強姦をしたのは日本軍だけではなかった。インドネシアでは、連合軍もまたすさまじい強姦をして、自分の妻が犯されるのを防ごうとして殺された現地の男の死骸がベッドの周囲に転がっていた。イデオロギーに関係なく戦争は人を狂わすことを体感する。
 日本に帰ると、新聞は権力のシモベになりさがっていた。学童疎開の記事を書いたら、検閲当局は何も言わないのに「この時局に、こんなセンチメンタルな記事を載せるとはけしからん」と社の幹部が怒った。官憲からの強制ではなく、自ら進んで自己規制していた。また新聞社内でさえも、3人が集まると、だれが密告するかわからないから大事なことは話せなかった。社会のあらゆる場で、自己規制と相互監視が蔓延し、密告することが「愛国」とされた。「愛国心」は自分と異なる人を「非国民」と差別することで生まれる概念であることがよくわかる。
 逆に、そうなる前の朝日新聞は人を大事にする会社で、部下の過ちは幹部が受けとめ、社員は職場のなかで学び合い、高め合っていた。事件があれば、警察を批判するためにも自分で現場に行き犯人探しをした。素朴なジャーナリズムの熱気が漲っていた--。それだけ立派な会社が、戦争をとおして社員同士でさえ物言えぬ状態に陥っていった。
 今の日本のカイシャはどうだろう。社員がちょっとミスをするとトカゲの尻尾切りのように切られ、上層部の巨大な判断ミスは看過され、たてつく社員だけに厳格な規則が適用される……そんな組織がはびこっているのではなかろうか。当然のことながら、社内の「自由な言論」など求めるべくもない。それも暴力的に封じられているのではなく、なんとなく、そうなっている。
 会社組織だけではない。全国水平社の松本治一郎は、戦時中の国会でノーネクタイ主義を通し、議事堂でも我が物顔の軍人の前で「軍人どもがいばりくさっている」と言って憚らなかった。そんな頑強な「個」があの時代に存在したことは希望なのか、そんな頑強な「個」があったのに国全体が破滅に向かったことは絶望なのか。

 筆者の憲法9条のとらえかたは、一般的な護憲論ではない。日本という国から交戦権を奪った9条は、我々の国への死刑判決であり、国家としては屈辱的である--という一面と、人類が生きつづけるには戦争を放棄した9条の道を選択する以外にないという相反する2面をもつという。その両面を真正面から突き合わせ、矛盾を自覚したうえで日本の進路を定めるべきだったが、そうはならなかった……。こうした論のたてかたは加藤典洋の「敗戦後論」に似ている。
 戦後、労働組合や大衆組織によるマスの運動が盛り上がったが、結局社会は変わらなかった。だから筆者は、「私」を大事にして自分に誇りを感じ、志をもって生きることが大切だという。「志をもちなさい。人生の方針を自分でつくっておけば、その通りにならなくても方針は変えられる。でも、方針がなければ変えることもできない。惰性に流されていくのは一番よくないよ」と高校生に告げた言葉は、無気力に沈む今の世にもっとも必要な助言ではあるまいか。
 9.11後の沖縄・辺野古の自衛隊の基地では、基地建設反対派の住民に平気で銃口を向け、威嚇射撃もしていた。「軍隊は住民を守らない」ことが実感された。「平和に暮らすということ、平和であるということを、空気やお日様の光のように思われては困りますものね」と現地の人は語った。
 歴史は一人から始まる、自分から始まると自覚し、一人一人が平和な社会を求める生き方を、自分の日常の365日、毎日の生活に貫徹する必要があるという。

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紙の本

平和論

2018/08/17 06:19

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る

むのたけじの体験から基づいた平和を希求する本。そしてそれは実現可能だと主張する。人々の切実な思いが理想郷を実現することを可能にする。

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2008/08/03 07:08

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2009/02/03 00:00

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2011/04/27 06:36

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2014/01/14 22:16

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