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紙の本
漱石先生の事件簿 猫の巻 (角川文庫)
著者 柳 広司 (著)
探偵小説好きの「僕」はひょんなことから英語の先生の家で書生として暮らすことになった。先生は癇癪もちで、世間知らず。はた迷惑な癖もたくさんもっていて、その“変人”っぷりには...
漱石先生の事件簿 猫の巻 (角川文庫)
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商品説明
探偵小説好きの「僕」はひょんなことから英語の先生の家で書生として暮らすことになった。先生は癇癪もちで、世間知らず。はた迷惑な癖もたくさんもっていて、その“変人”っぷりには正直うんざり。ただ、居候生活は刺激に満ち満ちている。この家には先生以上の“超変人”が集まり、そして奇妙奇天烈な事件が次々と舞い込んでくるのだから…。『吾輩は猫である』の物語世界がミステリーとしてよみがえる。抱腹絶倒の“日常の謎”連作集。【「BOOK」データベースの商品解説】
柳広司×夏目漱石
傑作パスティーシュ!(文体模写)
探偵小説好きの僕はひょんなことから先生の家に書生として住み込むことになった。
先生は癇癪持ちで、世間知らず。書生の扱いときたら猫以下だ。
家には先生以上の“超変人”が集まり、次々に奇妙奇天烈な事件が舞い込んでくる。
後始末をするのは、なぜかいつも僕の仕事だ。
先生曰く、
「だって君、書生だろ?」。
『吾輩は猫である』の物語世界がミステリーとしてよみがえる。
ユーモアあふれる“日常の謎”連作集!
<解説・田中芳樹>【商品解説】
収録作品一覧
吾輩は猫でない? | 5−58 | |
---|---|---|
猫は踊る | 59−109 | |
泥棒と鼻恋 | 111−158 |
著者紹介
柳 広司
- 略歴
- 1967年生まれ。2001年『黄金の灰』でデビュー。2001年『ジョーカー・ゲーム』で日本推理作家協会賞、吉川英治文学新人賞をダブル受賞。他著に『新世界』『トーキョー・プリズン』『ダブル・ジョーカー』など。
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紙の本
柳 広司の勝ちである
2011/02/28 15:18
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぜのぱす - この投稿者のレビュー一覧を見る
パスティーシュは、後出しジャンケンのような物であろう。
後出しする以上、勝たなければ意味がない訳だ。その意味で、パスティーシュを書く以上、作家は相当なプレッシャーを感ずるはずであろう。何せ、本家を凌駕して勝たなければ、意味がないから。
パスティーシュで良くあるパターンは、或る作家の文体を(時にはモチーフをも含めて)真似て、別な物語を作る場合で、ミステリィの世界では、シャーロック・ホームズが良くパスティーシュの題材になっている。
しかし、今回読んだ柳 広司の『漱石先生の事件簿 猫の巻』は、タイトルからも察せられる様に、かの名作、夏目 漱石の『我輩は猫である』を、単に文体、モチーフに留まらず、ソックリそのまま、パクってしまったのである。
面白い。柳 広司の勝ちである。
実を云えば、本家の方は、大昔に読んだので、スッカリ忘れてしまっており、本来なら、本家を読み直してから、本作について語るべきで、その意味では、後出しならぬ先走りなのであるが、仮に、本家の存在を知らず、何の潜入感もなく、本作を先に読んでから本家を読むと、本家の方がパスティーシュに思えるに違いない、と云う予感がする程、本作は見事な出来映えであり、あたかも優れた物真似に依って、真似された側の歌手が再脚光を浴びる様に、私の中では、今から本家を読み直すのが楽しみである。
以下、作者自身の言葉(「」)で、本作の内容を語ると、「漱石が『我輩は猫である』に仕掛けた謎を解き明かすために生まれたのが、本書『漱石先生の事件簿 猫の巻』で」あり、「本書では、名なしの<猫>ではなく、ひょんなことから先生の家に居候することになった探偵小説好きの少年<僕>の目を通して、六つの事件が語られます」が、その全てが本家の「作品に実際に出てくるエピソードで」あり、「天の橋立を股ぐらからのぞいてみると、また格別なおもむきが出る」のと同様に「"文豪" 夏目漱石の"名作"『我輩は猫である』を<股ぐらからのぞいてみた>のが、本作品です。」
探偵役の<僕>に依る謎解きの過程は、所謂本格ミステリィ好きな読者には、物足りなく感じるであろうが、それを云うのは野暮と云うものであり、優れたパスティーシュを純粋に愉しみ、元の作品を憶うのが正しい本書の活用法であろう。
柳 広司は、たまたまアンソロジーの中の短編を一作だけ読んだことがあるだけで、これ迄は知らなかった作家であるが、今後は眼が離せない作家の一人となった。
紙の本
これぞオマージュ
2019/12/29 19:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
原作の中の6つのストーリーをベースに、謎解き要素を加味したオマージュ小説です。猫の目ではなく、書生の目から見た先生の日常を描いています。原文の風合いを損ねずに展開していますので、あたかも原作を読んでいるような錯覚に陥りました。中でも、冒頭のエピソードゼロ的な話と、ラストの「猫」の顛末の話が良かったです。柳先生の「贋作坊ちゃん殺人事件」も傑作でしたが、本書はそれにも劣らない快作でした。私自身は、原作について、小・中・高と三度、途中で挫折したという苦い読書経験がありますが、今だったら読めそうな気がします。
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おすすめです
2016/11/14 10:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nyagonyago - この投稿者のレビュー一覧を見る
ジョーカーゲームとは全く違ったテイストでしかもジョーカーゲームと同じくとっても面白い。夏目漱石に題材をとっているようだが漱石の吾輩は猫であるよりよっぽど面白い。
是非、全くの創作でシリーズ化してほしい。
紙の本
本家を再読したくなる
2020/05/05 22:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つきたまご - この投稿者のレビュー一覧を見る
「吾輩は猫である」の物語に沿って、本書では語り手となる書生君が、日常の謎を解いていくお話。予想外の面白さでした。
「吾輩は猫である」に沿った話とはいうものの、そちらを未読でも、全く問題なく楽しめると思います。かくいう私も、小学生の頃に確かに「吾輩は猫である」を読んだはずなのに、ほぼ内容を覚えていません(笑)おかげで、漱石先生の事件簿で扱われている6つのお話の中でも、「猫は踊る」「春風影裏に猫が家出する」の2つの内容しか原作とリンクできず。そんな状態でも、文句なしに面白い本でした。
むしろ、この本を読んだおかげで、本家の「吾輩は猫である」をきちんと読みたくなりました!そして、どの辺がリンクしていたのかを知って楽しみたい!
「漱石先生の事件簿」の中の先生は、それは変人ではありますが、かわいいところもあります。特に、最終話の猫の家出の話は、かなり良かったです。