『中川翔子のポップカルチャー・ラボ』第5回 衛藤ヒロユキ [前編]

Photo : Shuya Nakano Styling:Aya Omura Hair and Make:Toh Text by Takanori Kuroda Edit:Takuro Ueno (honcierge)

マンガを愛する中川翔子が、同じくマンガを愛する多彩なゲストとともに繰り広げる「文科系トークセッション」。hontoのサービスをご利用することで、気になる作品は手元ですぐに立ち読み(試し読み)可能。さらに今ならhonto会員に新規登録で電子書籍が50%Offになるクーポンをプレゼント中。おすすめのマンガとの出会いを提供します。

中川翔子が影響を受けた衛藤ヒロユキの世界

第5回となる今回は、『魔法陣グルグル』を手がけるマンガ家の衛藤ヒロユキさんが登場。ドラゴンクエストをベースにしたマンガ、『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場』で築き上げた世界観の延長線上にある、シュールなギャグセンスや魅力的なキャラクター描写により、熱狂的な支持を集める衛藤さん。その無尽蔵なアイデアは、一体どこから生まれるのだろうか。

ドラクエ、ゲーム、ネコと、中川の好きなものがぎっしり詰まった衛藤作品が彼女に与えた影響は、はかり知れない。今回は、そんな思いの丈を思う存分ぶつける熱い対談となった。

前編・後編の二部構成、まずは前編をお届け。

衛藤ヒロユキ(以下、衛藤)これ、11月10日から西武ギャラリー(西武池袋本店 別館2階)で始まる原画展『魔法陣グルグル大原画展 - 衛藤ヒロユキの世界』のチケットです。よかったらどうぞ。

中川翔子(以下、中川)ええ! いいんですか? ありがとうございます。どんな内容なのでしょう?

衛藤何年か前に中野でも原画展をやったのですが、今回の方が点数も多いです。『魔法陣グルグル』以前に描いていた、例えばアクリル絵とかそういうちょっと恥ずかしい作品も展示しています(笑)。

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中川それは楽しみです! 先生あの、私、『魔法陣グルグルランド 2』に載っていた絵を、ずーっと模写していました。もう手が覚えてしまってスラスラ描けるんです。もう本当に、どれだけ影響を受けたか……そんな神のようなお方に、こうやってお会いできる未来が訪れたのですね! この連載に私、足を向けて寝られません。先祖代々から末代まで、中川家全員でお礼を言いたい……!

(一同笑)

中川なので今日は、何からお話ししていいやらっていうくらい、想いが溢れてしまって……。そうだ、アリーナ(『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』に登場する架空の登場人物)の声をやらせてもらってますが、それも思えば、先生のお描きになった『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場』を読んで、大好きだったドラクエがもっと好きになったからこそ、この出会いがあると思っていて。もう何もかも先生のおかげなんです。

衛藤いやいや、恐縮です(笑)。

中川幼少期に先生のマンガに出会ってなかったら、趣味嗜好とか人格とか、形成の仕方が違ったと思うんです。

衛藤そこまで言っていただいて。とても光栄なんですが、ちょっと責任を感じちゃいますね(笑)。元々は、どんなきっかけで僕の作品を知ってくださったんですか?

中川小学校3、4年生の頃、隣のクラスに気になる可愛い女の子がいたんですけど、その頃は違うクラスってだけで別世界じゃないですか。でも、話したこともなかったのに彼女とはチラチラ目が合って。「あの子は絵を描くのもゲームも好きだから、話が合うに違いない」ってお互いに思っていたんですよね。そうしたら、ある日その木村さんが話しかけてくれた。

衛藤木村さんっていうんですね(笑)。

中川はい(笑)。「これ、絶対ナカショーは好きだから、読んだ方がいいよ」って、『魔法陣グルグル』を貸してくれたんです。それで読んだら「なんだこの面白い世界は!!」って衝撃を受けてしまって。ゲーム、ドラクエ、そしてネコという、私の好きなものが全部合わさってる。トビラ絵がすごくオシャレなのに、ギャグは結構シュールでククリちゃん(『魔法陣グルグル』のヒロイン)にも毒があって。世界観はドラクエに通じるから一瞬で“どハマリ”して、アニメをやっていることもそれで初めて知って。「なんてことだー!」と思ってすぐに観るようになりました。リアルタイムで楽しめたのも嬉しかったんですよね。しかも当時は『グルグル』が好きだとちょっと“通”みたいな感じだったんです。そのうちどんどん流行ってみんなが好きになっていくんですけど、先に好きになっていた優越感みたいなものも、正直ありました。もう、小学校時代の思い出=グルグルっていう感じなんです。

衛藤その前に、『ドラゴンクエスト4コママンガ劇場』も読んでくださっていたんですか?

中川そうなんですよ。『ドラクエ4コマ』はいろんな先生が描いていらっしゃるじゃないですか。その中でも一人だけ、ヘンな世界観だったのが衛藤先生だったんです(笑)。「あ、そうか! 『ドラクエ4コマ』と『グルグル』の作者は同じ人なのか!」って、気づいた時には驚くと同時に納得もしたんですよね。『ドラクエ4コマ』は、どんなきっかけで描き始めたのですか?

衛藤実を言うと、マンガ家を一度諦めたことがあって。そのあとに描き始めたのが『ドラクエ4コマ』だったんです。

中川え、そうだったんですか? 知らなかった……。マンガ家を諦めていた時期は、何をされていたのでしょう。

衛藤ゲームライターをしていたんです。ゲーム雑誌などによく掲載されている、攻略方法を解説する記事ってあるじゃないですか。「このステージのボスキャラは強いぞ」とか、そういうことを書いていましたね。当時はスーファミが全盛で、ファミコンもまだあったかな。ちょうど『ドラクエ4』が発売された頃だったので、もちろんこれも書きました。他にもシューティングゲーム、『グラディウス』とかよくやっていましたね。シミュレーションとかあまり得意じゃないんですけど、それでもやらなきゃならなくて。『三国志』とかかなり苦労したのを覚えています。

中川ゲームライターは大変な仕事ですよね。私、デビューしてすぐの頃にゲーム雑誌で連載をさせていただいていたんですけど、編集部に用があって行くと、編集者やライターのみなさんがゲームのコントローラーを握りしめたまま机に突っ伏して寝ているんですよ。「わ、怖い!」って思ったのを覚えています(笑)。

衛藤そうなんですよ。床に転がっていたりね(笑)。

中川でも、そんなゲームから様々なイマジネーションをもらったわけですよね。

衛藤そうですね。「これからはゲームしかない」と思い、しばらくは楽しく書いていたんですけど、そのうち段々不安になってきて。「今はいいけど、ずっとゲームライターはやっていけないだろうな……」と考えあぐねていた時に、たまたま『ドラクエ4コマ』の話が来たんですよね。マンガはちょっと難しいかなと思っていたんだけど、ドラクエのマンガだったら大好きだし、楽しく描けるかなと思ってまた始めたんです。だから、すごく運がよかった。

中川なるほど。そんな紆余曲折があったから、『ドラクエ4コマ』の先生の中でも、お一人だけ我が道を行きまくっていたんですね(笑)。あんなに登場キャラたちの性格とかを掘り下げてくれて。脇役であるミネアをあんなにいじってくれたり、ライアンとかああいうオヤジキャラまで面白く描きこんだりしているのは、衛藤先生だけでした。

衛藤例えばアリーナやマーニャは、ゲームの中でもどういう性格なのかはっきり提示されていますけど、ライアンやミネアはけっこう謎が多い感じで、こちらの想像の余地はあったんです。個人的にも「ミネアって、どんな性格なんだろう?」って気になっていたので、だったら自分で作ってしまおうと。

混ぜてはいけない要素を混ぜてみたり、呼ばれていないものを呼び出したりしている

中川『魔法陣グルグル』は、どんなふうに生まれたんですか?

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衛藤『ドラクエ4コマ』を、たくさんの方々から支持していただいたおかげで、編集者から「こんな感じで連載しませんか?」っていう話があったんです。つまり、『ドラゴンクエスト』シリーズの世界観や、プレイヤー視点のパロディをベースにしたオリジナルマンガを描いてみないか?と。だったら絵をもう少し可愛くするなど、自分の趣味もいろいろ混ぜてみようかと(笑)。

中川もう、先生の趣味が全開という感じですよね(笑)。なかでもやっぱり、ククリちゃんというキャラクターを生み出してくださったことですよね。今回、私が歌わせてもらったアニメ版のエンディングテーマ「Magical Circle」は、日本語では“魔法陣”という直球の意味が付いていて。打ち合わせの段階で「これはククリちゃんの歌にしよう」と話していたこともあり、すべての行がククリちゃんを歌った歌詞になっているんです。

衛藤へえ! そうなんですね。

中川なので実際に歌っている時もずっと、「こんなキャラがいる作品ってすごいなあ」って思っていました。ククリちゃんはまず、どの要素から思いついたんですか? 「三つ編みにしている」とか「黒いローブを身に纏っている」とか、いろいろあると思うんですけど。

衛藤どうだったかな……個人的に魔法には昔から興味があって、「魔法使い」というキャラが大好きだったんです。ゲームをやって自分でキャラを選べる時には大抵魔法使いにしているくらい(笑)。なので魔法使いをメインにして、魔法陣を描く女の子というアイディアを使いました。

中川三つ編みヘアや黒いローブはどんなふうに思いついたのですか?

衛藤当時、ゲームに登場する“魔法使い”というと、見た目がとても華麗でミステリアスな外見が多かったんです。でも、僕個人の好みでいうと、もう少し地味な女の子に「かっこいい!」って感じるんですよね。例えば『赤毛のアン』のような女の子に憧れるというか。ヨーロッパはヨーロッパでも、ルーマニアとかベルギーのような東ヨーロッパにいそうなタイプ。ちょっと影があって可愛いんです、行ったことはないけど(笑)。ヨーロッパの中でもあのあたりが僕は一番好きですね。

中川ファンタジーなお城があって、ドラキュラがいて……みたいな。

衛藤そうそう。で、魔法をかける時も呪文を大声で唱えるのではなく、魔法陣を描くっていう。

中川ククリちゃんが杖で魔法陣を描くというアイデア自体が、ものすごく画期的だと思ったんです。すぐ真似して描きたくなるし、実際ノートに落書きしまくっていました。一般的には“地味キャラ”のクリリちゃんですが、結果的に斬新なキャラになりましたよね。やっぱり“好き”を貫くことって大事なんだなあって。あと、途中で髪を下ろしたり、バッサリ切ってボブにしたり、ショートにしたり。いろんな可愛い服に着替えたりもするけど、やっぱり最初のインパクトが大きいんですよね。

衛藤ありがとうございます。嬉しいです。

中川しかも、ククリちゃんよく失敗するし変な魔法がどんどん飛び出すっていう(笑)。「一体どんなメンタルで描いてるんだよ!?」って当時は思いましたもん。物語もとっても不思議ですよね。特にギャグは、独特というかシュールというか……。脇の下でおにぎり握るとかも、一体どの時間帯に思いつくんだろう。正気の沙汰じゃないっていうか、これまでの発想にはなかったものでした。

衛藤そんなことばっかり考えているんですよ、アシスタントにはよく呆れられていますが(笑)。おそらく、自分の中に溜まっている考えの中の、混ぜてはいけない要素を混ぜてみたり、呼ばれていないものを呼び出したりしているんでしょうね。

>>後編へ続く

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Profile

中川翔子

女優・タレント・歌手。2004年11月からスタートさせた公式ブログ「しょこたん☆ぶろぐ」で人気を博し、2006年にはシングル「Brilliant Dream」で歌手デビュー。同年、愛猫・マミタスの写真集『ギザ☆マミタス!!』も発売。このほかにも声優やイラスト、漫画家、ドラマ出演など、多方面で活躍するマルチタレントぶりを発揮している。デビュー10周年を迎えた2012年には念願だった初のアジアツアーを大成功に収めた。近年は女優としても積極的に活動し、2015年には朝の連続テレビ小説『まれ』に出演。2017年にはTBS系ドラマ『あなたのことはそれほど』で、横山皆美役を演じた。
2018年1月より東京芸術劇場にて公演のミュージカル「戯伝写楽」にヒロイン『おせい』役として出演予定。
http://www.shokotan.jp/

衛藤ヒロユキ

マンガ家兼自宅DJ。1985年に「時計屋の娘」でマンガ家デビュー。1990年に『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場』で掲載されたシュールなギャグが人気を博す。1992年から2003年まで『魔法陣グルグル』連載。何度もTVアニメ化されるなど、大ヒット作品となる。『がじぇっと』『ムジナトラックス』『衛星ウサギテレビ』『舞勇伝キタキタ』などの連載を経て、2012年よりガンガンオンラインにて『魔法陣グルグル2』連載中。

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