ブックキュレーターサッカージャーナリスト 安藤隆人
安藤隆人がオススメする選手の深層心理を深く描いたサッカー書籍
今回は読んでいただきたいサッカー本の紹介ということで、これまであまたのサッカー選手本が出て来た中で、より取り繕っていない真の姿というか、より物事の真相に迫った本をセレクトしようと思いました。これは私が選手本を書くときに大事にしている要素でもあり、ただの成功物語や成り上がり物語ではない、選手の深層心理の奥底に迫った本を紹介します。
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15歳 サッカーで生きると誓った日
梅崎 司(著)
この作品ははじめから衝撃的な展開でした。回想録や本の説明と言った余計な文章は一切無く、いきなり壮絶なドメスティックバイオレンスの細かい情景からスタートします。幼少期の梅崎司から今の梅崎司まで。物語のすべてが彼の視点で構成されていて、リアルな感情や苦悩、そしてトラウマ、反骨心と情熱・・・。すべての感情が入り乱れる様が事細かに刻まれている作品です。読み終わったほとんどの人は「よくここまで壮絶な人生を本にしようとしたな」と驚愕するほど。この本に関わった僕自身もそう思う作品で、サッカー選手としてだけでなく、親子の絆、関係性の難しさなど人間としていろんなことを教えてくれる作品です。
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I AM ZLATAN ズラタン・イブラヒモビッチ自伝
ズラタン・イブラヒモビッチ(著) , ダビド・ラーゲルクランツ(著) , 沖山 ナオミ(訳)
ズラタン・イブラヒモビッチは私の大好きな選手の1人であり、身体能力、プレーのスケール、そして人間的な豪快さなど、すべて桁外れの彼がどういう思考で、どういうバックボーンを持っているのかを知りたく読みました。貧しかった幼少時代から、野望と情熱に満ちあふれ、時には人と衝突することがあっても、フットボールを愛し、自分の信念を曲げなかった。きちんと結果を残して、はっきりと物事を言う。そこには忖度が存在しない。そんな彼の生き方を学べた一冊。
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これは名古屋グランパスで活躍し、後にグランパスの監督としてチームをリーグ優勝に導いたドラガン・ストイコビッチと祖国・ユーゴスラビアの内戦を描いたストーリー。本来ならば密接な関係であってはならない政治とスポーツが、どこかで深くリンクしてしまっている現状。まさにこの本はそれがどういう結末を生むのか、サッカーで輝くべき才能をどこまで苦しめてしまうのか。サッカーは悲しさを表現するものではなく、喜びを表現するものであるべきと、深い視点でもう一度フットボールを見つめ直すことが出来る作品。同じ木村元彦さんが書いた『誇り』とも合わせて読みたい。彼のジャーナリストとしての魂を感じられる作品です。
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RUN 流浪のストライカー、福田健二の闘い
小宮 良之(著)
これは本当に衝撃を受けた作品でした。1人のサッカー選手の人生をここまでリアルに描いた作品はあまりないですし、しかも母親の自殺という衝撃の事実も包み隠さず書き記されていることに、筆者と選手の信頼関係と、それを本という記録に残るものに記したという勇気に脱帽をしました。衝撃的な事件があった後も、自分やサッカーを見失うこと無くまさに走り続けた福田健二の生き様、そしてこうした人物物語の描き方は本当に大きな参考になりました。
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走り続ける才能たち 彼らと僕のサッカー人生
安藤 隆人(著)
大学1年からサッカージャーナリストになることを夢見た筆者が、5年半に渡る銀行員生活の中で、当時高1だった本田圭佑、岡崎慎司、細貝萌などと出会い、高校3年間密着取材をしていく中で、彼らの当時のリアルなやり取りや感情の動く様を描き、「一緒にプロになりましょう」という本田の一言で銀行を辞めてサッカージャーナリストになった。そこから槙野智章、内田篤人らの『調子乗り世代』や香川真司もユース年代から密着取材を続け、彼らの成長過程と情景、心の変遷をリアルに描いた。今でこそ日本を代表する選手達だが、その高校時代とプロになってからの心と思考まで深く分かる一冊。
ブックキュレーター
サッカージャーナリスト 安藤隆人1978年2月9日生まれ。大学1年時からユース年代を中心に全国のサッカーシーンの取材を開始。大学卒業後、一度は銀行に就職するも、5年半の銀行員生活の中で二足のわらじを履き、2005年に退職し単身上京。フリーサッカージャーナリストに転身する。これまで世界40カ国以上を訪問し、歴代の日本代表選手を高校時代から取材。今もこの年代の取材を精力的に行っている。2013年5月〜14年5月、週刊少年ジャンプで『蹴ジャン!SHOOT JUMP!』を連載。現在はNumber Webで『ユース教授のサッカージャーナル』を連載中。全国で月1回ペースで講演会も行っている。2017年12月に湘南ベルマーレの梅崎司の父親のDV、15歳で夜逃げ、プロ入り後の度重なる怪我など、壮絶な半生を描いた『15歳 サッカーで生きると誓った日』を発刊。この本は8作目の著書。
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