ブックキュレーター株式会社カストリ出版 渡辺豪
ジャパン・カルチャーの源泉だった遊廓
江戸幕府が唯一認めていた吉原を始めとして、日本に花開いた遊廓。時代のあだ花として哀話を多く生んだ一方で、歌舞伎、浮世絵など、日本の芸術史に大きな影響を与えました。もし遊廓がなかったとしたら、日本の芸術史は大きく書き替えを迫られるでしょう。そんな日本文化の源泉とも言える遊廓ですが、あまり知られていないことも事実です。今回は遊廓を知る入門書には打ってつけの本を紹介します。
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日本を代表する遊廓といえば吉原。1618年の開基から今年は数えて401年目。現在は形を変えてソープランド街となっていますが、今も色街としての役割を担っている、日本で最も歴史の長い色街です。本書は我が国で最も華やかな遊廓文化が花開いた吉原を詳しく解説。遊女の階級制度や、妓楼(娼家)でのしきたりを始めとして、遊女たちの末路など哀しい歴史も。
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赤線跡を歩く 消えゆく夢の街を訪ねて
木村 聡(著)
戦前までは遊廓と呼称された色街は、戦後にはその呼び名を変えて存続しますが、昭和21年から売春防止法が施行された昭和33年までのわずか12年間しか存在しなかった売春街が「赤線」です。売防法施行から60年が経過し、その名残りも年々少なくなっています。赤線の名残りが消え始める直前、1990年代に取材し、まとめられたのが本書。どの写真も貴重です。
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飛田百番 遊廓の残照
橋爪 紳也(監修/文) , 上諸 尚美(写真) , 吉里 忠史(文) , 加藤 政洋(文)
大阪にあった巨大遊廓、飛田。近年、現役の遊廓としてメディアやSNSを騒がすことも多く、地名だけは聞いたことのあるという人も多いのでは?その飛田遊廓に現存する最も豪壮な遊廓建築・鯛よし百番(現在は料亭として営業)の内装を余すところなく写した写真集。2004年に発行され、在庫切れ、一部ではプレミア付きで販売されていましたが、最近復刊されました。遊廓フリーク必携の一冊。
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遊郭をみる
下川 耿史(著) , 林 宏樹(著)
戦前は外地を含む日本に最大約540箇所もつくられていった遊廓。現代では想像するのが難しいですが、遊廓そのものは珍しくなく、とても身近な存在でした。さらに、現代風に言うならば、明治時代は観光資源として、絵葉書に印刷され、販売されていました。北海道から沖縄、そして外地にあった遊廓の街景を収めた絵葉書を紹介。自分の故郷にもあったかもしれない遊廓を、本書で探してみてください。
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図録性の日本史 第3版
笹間 良彦(著)
柳田国男と同時代に活躍し、他の学者が避けた「性」というテーマにも果敢に斬り込んだ中山太郎に依れば、遊女の歴史は巫女に遡るとされています。遊廓に限らず、性風俗は時代とともに形を変えて生き続けてきました。そうした日本古来から現代までの膨大な性の歴史を、著者自身の味のあるイラストを添えて解説する本書は、ちょっと類書が見つからない奇書です。
ブックキュレーター
株式会社カストリ出版 渡辺豪1977年生まれ。日本唯一の遊廓専門出版社・(株)カストリ出版代表。2016年、かつての吉原遊廓に遊廓専門書店・カストリ書房を創業。職業柄、多くの遊廓関連書籍に目を通していますが、これまでに国内の遊廓跡を約400箇所以上をフィールドワークしています。日本近現代史の裏側にあり、これまで見落とされがちだった遊廓にまつわる情報を流通させることを目的としています。出版や書店だけでなく、遊廓関連のテレビ・ラジオ出演、トーク講演、イベント主催などもしています。遊廓家。
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