ブックキュレーター文筆業 矢内裕子
音楽は運命を変える鍵。風や光、海や山、都市にだってそれぞれのメロディがある。物語と音楽が手を取り合って踊っているような、とっておきの「音楽漫画」をご紹介。
クラシック、バンド、吹奏楽、コーラス――音楽を扱った物語は、今も描かれ続かえている。音が出ないはずのページから、音楽に触れたときの胸の高鳴り、喜びが伝わってくるのはなぜだろう。今回はSFから定番の名作まで、音楽の不思議に触れる少女漫画を選んでみた。
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仲良くピアノを習っていた、幼なじみの麻子と季晋。だがドイツ留学での列車事故をきっかけに、再開した季晋は別人のように麻子を憎むようになる――二人の音楽家としての個性、母親同士の関係と親子関係など、心理描写が胸にせまる。音符や効果音を使わず、登場人物の指の動きや表情で叙情性を表す演奏の場面では「くらもち作品ここにあり!」と言いたくなる。80年代に発表された、少女漫画の名作だ。(全5巻)
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高尚なイメージがあるクラシックの世界を、ユニークな登場人物の活躍で身近なものにした画期的な作品だ。クラシックの表現と強烈な人物の言動があいまって、クラシックの世界を知りつつ笑える作品になっているのは、二ノ宮知子ならでは。ピアノの天賦の才能を持つが、苦手なことが多い主人公・野田恵(のだめ)の成長と、指揮者志望・千秋真一との恋の行方も一筋縄ではいかないので、恋愛物が苦手な人にもお薦めだ。(全25巻)
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流れてくる音楽に、辛い気持ちを救われることがある。自分で演奏できれば、なおさらだろう。OLの小暮也映子は、寿退社当日に、恋人から婚約破棄を言い渡されてしまう。CDショップで耳にした『G線上のアリア』に魅了された也映子は、大人のためのバイオリン教室に通いはじめ、大学生の理人、主婦の幸恵と出会う。大人になっても、音楽を始めるのに遅くない――と、思わせてくれる作品だ。(全4巻)
ブックキュレーター
文筆業 矢内裕子文筆家ときどき編集。東京都文京区育ち。出版社で書籍編集者として勤務後、独立。担当した本に角田光代『古本道場』、三浦しをん『三四郎はそれから門を出た』、いとうせいこう『ボタニカルライフ』など多数。著書に『落語家と楽しむ男着物』、萩尾望都さんとの共著『私の少女マンガ講義』がある。現在、橋本治さんへのインタビュー集を準備中。note:https://note.com/yanaiyuko
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