目次
1970年代文化論
- 日高 勝之
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序 章 みえにくい一九七〇年代 日高勝之
1 〈政治の季節〉とバブルの時代のはざま
2 一九七〇年代の一筋縄ではいかない複雑さ
3 本書の構成と問題設定
第1部 家族・若者・中高年
第1章 「からかい」からみる女性運動と社会運動、若者文化の七〇年代――雑誌「ビックリハウス」におけるウーマン・リブ/フェミニズム言説を通じて 富永京子
1 一九七〇年代の若者と政治
2 若者文化の媒体としての「ビックリハウス」
3 「ビックリハウス」は女性運動をどのように受容したのか
4 相対主義的価値観と構造的格差の不可視化
第2章 家族とテレビドラマの一九七〇年代――「ホームドラマ」から「反ホームドラマ」への転換とその背景 米倉 律
1 テレビドラマ史のなかのホームドラマ
2 反ホームドラマの登場
3 一九七〇年代の家族の「両義性」
4 「お茶の間」の解体とテレビ視聴の個人化
第3章 「司馬史観」への共感とポスト「明治百年」――「教養主義の没落」後の中年教養文化 福間良明
1 一九七〇年代と司馬ブーム
2 「教養」としての「余談」
3 高度経済成長後の社会とビジネスマンの読者
第2部 政治・性・マイノリティ
第4章 大島渚と蓮實重彦――反時代・フランス・マゾヒズム 日高勝之
1 反時代・反政治・反制度――連合赤軍事件と三島事件との遭遇
2 「フランス」の威権と効用
3 マゾヒズムと一九七〇年代
第5章 太田竜――ポスト新左翼の「革命」とアイヌ民族運動の胎動 藤巻光浩
1 アイヌ革命論とアイヌ解放同盟
2 革命の季節の到来と決裂
3 太田にとっての「アイヌモシリ」
4 アイヌにとっての「アイヌモシリ」
5 太田にとってのアイデンティティの季節
第6章 東郷健――マイノリティ・ポリティクスとアートの不都合な関係 長崎励朗
1 「おかま」の政治演説
2 美輪明宏と東郷健――セクシュアル・マイノリティをめぐる芸術と政治
3 「The Gay」とその時代
4 雑民の会と当事者性
5 一九七〇年代が提示した課題
第3部 国家・地方とメディア
ほか