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図書館で。市川宗家と猿之助は昔いろいろあったと何かで読んで調べてみるか、と適当に借りてみました。軽く知る、という意味ではあまり適当な本ではなかったです。
取りあえず作者さんの文章の書き方が独特過ぎてわかりにくかったです。回りくどいし何が言いたいのかわからない文章があって。(まあ多分こちらの常識が足りないからわからないのでしょうが。それにしても言葉足らずじゃないかな、という点が色々と。)後は、名前を襲名するので仕方ないのですがどの猿之助の話なのだかよく分からなくなるし、逸話などが入るとこれ、今までの話とどういうつながりがあるんだろうと首を傾げることもしばしば。途中で少しだれました。
著者は歌右衛門は美しいと思ったことはないと思ったけれども扇雀は綺麗だった、と書いてましたがそれは観る時期によってそうなんだろうな、と思いました。私も今の藤十郎を見る限りでは女より美しいとは思わないし。私は先代の猿之助の舞台はテレビ放映でしか見たことはありませんがそのころには少しふっくらしすぎていて絶世の美男子って感じではなかったしなあ…
物事には出会う時期やきっかけがあってそこから興味を持って入っていくのだろうからこの方のきっかけは3代目猿之助だったんだろうな、とそう理解しました。なので一概に今の歌舞伎がダメというのではなく、この方の興味が無くなった、という事なんだろうなあと思います。話が逸れましたがこの本は著者が三代目猿之助に宛てた一冊のラブレターのような気がしました。
個人的な意見を言わせてもらえば伝統も良いけれどもある程度若手を良い役で使わないと新しいファンは掴めないだろうな、とは思います。若きゃ良いって話じゃないですが結局オジサン達が若い女の子に鼻の下を長くして高い酒を飲むのと同じで観劇だって若くてきれいなのを見たいって人が多いんじゃないのかなあとか思ったり。芸術性がどうこうとか難しいことを言う人には反対されるでしょうが所詮は大衆に受けなくてはヒットしませんしね。
歌舞伎を新しくして盛り上げようという動きも面白そうだな、と思うのとこれはちょっと違うんじゃないかな、と思うのがあるような気がします。俄か歌舞伎ファンである自分なんかはやっぱり歌舞伎では歌舞伎らしい華やかでわかりやすい舞台がみたいな、と思いますし小難しい現代劇は別に歌舞伎以外で見ればいいんじゃないかな、なんて思ったりする訳です。
昔と違い色々と娯楽の形も多種多様化してきた訳なので何をどう新しくしてどこを残すのか。そこを間違えると今あるファンも減ってしまうのではないかな。そんなことを思いました。