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天才の季節
汋陵の戦い
鄢陵の戦い
軍師の明暗
弑逆
司馬の職
暗殺
乱流
永訣の朝
第35回吉川英治文学賞
著者:宮城谷昌光(1945-、蒲郡市、小説家)
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[ 内容 ]
<上>
信義なき世をいかに生きるか―春秋時代中期、小国鄭は晋と楚の二大国間で向背をくりかえし、民は疲弊し国は誇りを失いつつあった。
戦乱の鄭であざやかな武徳をしめす名将子国と、その嫡子で孔子に敬仰された最高の知識人子産。
二代にわたる勇気と徳の生涯を謳いあげる歴史叙事詩。
吉川英治文学賞受賞作。
<下>
謀叛に巻きこまれ、子国は果てる。
三年の長きにわたり喪に服した子産はその後、苛烈なる改革者にして情意あふれる恵人として、人を活かす礼とは何かを極め、鄭と運命をともにしていく。
時代を超えることばをもった最初の人・子産とその時代を、比類なき風格と凛然たる文体で描く、宮城谷文学の傑作長編。
[ 目次 ]
<上>
<下>
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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大国に翻弄される鄭国。そこで奮闘する子国・子産親子の物語。小国の悲哀が感じられますね。武門の子国、その子が子産というのも面白いです。続いて下巻へ。
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<上下巻を通してのレビュー>
信義なき世をいかに生きるか――春秋時代、小国鄭は晋と楚の二大国間で向背をくりかえし、民は疲弊し国は誇りを失いつつあった。戦乱の鄭であざやかな武徳をしめす名将子国と、その嫡子で孔子に敬仰された最高の知識人子産。
二代にわたる勇気と徳の生涯を謳いあげる歴史叙事詩。
読んでいるうちに、子産の考えや行動がじんわりと心に浸みてくる一冊です。
当時最高の知識人であった子産は、礼を重んじ不毛な権力争いには加わらず、一歩ひくことで最善の結果を出したような人物に思えます。
子産を信頼し続けた鄭の簡公や、子産を宰相に推薦して信じ続けた子皮などの様々な人々の援護や理解があってこそ、子産の改革が成功したのでしょうね。
紀元前536年、中国史上初めて成文法を制定したのはまさしく子産です。成文法の制定については様々な批判等もあり、礼と徳の人である子産が成文法を制定したことに違和感を覚えますが、流れ行く時代の中で国を治めてゆくにはどこかの時点で成文法は必要だったはずであり、施政者も移り変わってゆくことが明白である以上、子産の考えはここに落ちついたのだと感じます。
孔子サマに大絶賛された子産ですが、この本だけでは全貌を把握することは難しい・・・・・
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春秋時代の小国鄭の宰相である子産を主人公に置く小説だが、上巻では父の子国の視点でずっと描かれている。子産は幼少期から博覧強記と政治・外交の文脈を読むのに長け、武術にも通じた文武両道の天才少年として描かれるが、正確な未来予測を父に伝えるのみで功績は描かれていない。
全体としては、北の大国晋と南の強国楚に挟まれた鄭がそれぞれの間をひっきりなしに行ったり来たりする情景が、鄭の司馬で軍事を司る子国の視点で描かれている。子産の前史ということもあるが、淡々と話が進んでいく。
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再読。
下巻まで読了。
春秋時代の鄭の執政・子産の生涯を描く歴史小説。
同作者による、少し前の世代の晋を描いた小説(『重耳』『沙中の回廊』)、また、同時代の斉を描いた小説(『晏子』)に続けて読んだからか、初読のときよりも少しだけ登場人物たちに近づいて読むことができた気がする。