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まず、「建築探偵」というのがかなり違和感のある単語と思います。「建築」という言葉と探偵がくっつくことが、なんとなくミーハー的な雰囲気がある気がしました。
読後にミーハーかどうか、という点でいけば、ミーハーと思える点は大きなところで2つあります。
1つ目は主人公であるW大の院生である桜井京介は、建築物に付随するヒューマンドラマに興味があるというところで、建物の背景にあった事件の裏側がわかってしまう、という設定らしいのですが、余計なのは類稀な美貌の持ち主、ということ。しかも美貌をうまく使って情報を得たりするところが少々気になりました。
2つ目はアシスタントの「蒼」の存在。「蒼」は人に対して本当の名を名乗らないのです。しかも見たものを映像的に覚えてしまう、というミステリではありがちな特技を持っています。かつ25歳大学院生の京介が後見人となっていて、十代半ばなのに大学で研究室の京介のアシスタントをしているというのです。今後の展開への呼び水なのでしょうが、違和感のある設定だし、普通無い、と思わざるをえません。
良かった点は、ストーリー自体は難易度の高いトリックとかで解くことに主眼が置かれている書かれ方ではなく、やはり最後に気付かなかった人間ドラマがありました、というノリのものなところです。トリックに主眼を置いたミステリと対極的な、でも王道路線ではあるものでした。事件解決とともに故人の想いが明らかになる、というストーリーです。
私は建築はまったくダメですが、ストーリーの中にあるアンダルシア地方の、パティオのある建物は是非一度見てみたいと思いました。知識が増えるとそれに対する興味も生まれるということで、新しい興味を開いた一作でした。本の表紙の画像がそれですね。
私も次作は是非読もうと思いますが、全体的に女性向けな雰囲気が漂っています。ストイックな探偵ものが好きであればイマイチかもしれませんが、なんとなく京介を取り巻く話題に事欠かなそうな状況なので、そういった内容がちりばめられているのが好きであればお勧めという気がします。
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出たばかりの頃にノベルスで読みました。
あちこちに貸しているうち私の手元には無くなって。。。文庫を買ったので、再読予定。
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純粋にミステリーとしてみると、トリックの奇抜さや斬新さがあるわけではありません。どちらかというと人間描写に重心が置かれているようですので、本格推理小説がお好みの方には物足りないと思います。
作中に登場する建築に関する知識について興味深く感じましたが、「建築探偵」と銘打つほどでもない気もしました。
しかしながら、シリーズもののためでだと思われますが、いわゆる探偵サイドの人物らにも謎が多く、また文章が軽快なこともあり、続きを読んでみたいと考えています。
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建築探偵桜井京介シリーズ1作目。
同じ館もののミステリでも、館シリーズのようなアッと驚くトリックやどんでん返しがあるわけではなく、淡々と事実をなぞっていくような展開に少し物足りなさを感じました。どちらかというと館そのものよりも館に住まう人間の内面描写に力を入れている作品なのかな、と思いました。
とはいえまだ第一弾。これからどんな館が登場してくるのか楽しみです。
眼鏡をはずせば超絶イケメンな桜井京介、名前だけは可愛いけどその実、熊男な栗山深春、ちょっと訳ありな過去を持ってるっぽい蒼、それぞれのキャラはとても魅力的で、ミステリ半分キャラ小説半分として楽しみました。
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個人的にはイマイチ。ラノベな雰囲気という感じでもないのですが、キャラ推しな感じがするというか。作者さんの好みを感じるというか。ミステリとして地味なので余計にそう感じたのかもしれませんが。
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建築探偵桜井京介の事件簿シリーズ第一弾。大学で近代建築美術史を研究する主人公の桜井京介と、彼の助手?で暗い過去を持つ少年蒼。そして京介の友人で豪快な性格の深春。彼ら3人が、美少女から祖父の住んでいたスペイン風の別荘の鑑定を頼んできたことから物語が動き始める。
少女の一族を巻き込む事故死、自殺未遂など、別荘を巡って起きた事件に対して、真実を解き明かす。
事件を巡る要因の一つがやや子供っぽい暗い感じもするが、それを不自然に感じさせない背景も含めておもしろい
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建築家探偵・桜井京介シリーズの第1作目。シリーズ通しての主要登場人物は、(今回は)3人。
桜井京介:W大学文学部院生。神代研究室所属。25歳。身長180以上。目元は前髪でしっかり覆われており、ムク犬状態(笑)。朝には弱く、蒼曰く「午前中は人間でない」。
蒼少年:16歳、京介のアシスタント(自称)で、視覚に関する記憶力が尋常でない。本名は別にあるらしい…。美味しいコーヒーを淹れるのが得意の様子v
栗山深春:京介の旧友で25歳、同じくW大学学生。名前を裏切ったクマのような容貌のアウトドア青年。インドやらタイやらへ旅行に行って写真を撮るのが趣味。調査に借り出されることが多い。
『ご所有の西洋館の鑑定承ります』
W大学の文学部キャンパスに貼られたへろへろの張り紙。それを見て現れた奇跡のような依頼人・遊馬理緒は、昨年亡くなった変わり者の祖父・歴のスペイン風別荘「黎明荘」を調査してほしいと言ってくる。そして出来るなら、別荘を処分しようとしている母に反対して欲しいと言うのだ。
とりあえず別荘を見に行く京介・蒼・深春だったが、”閉ざされたパティオ”を持つという設計の異質さ、そして疑惑のある祖父の死、数ヶ月前に理緒の父親・灘夫が自殺しようとしていたという事実に驚くことになる。
理緒は本当は、影で囁かれている京介の「探偵」としての能力に頼って訪ねてきたのだった。本当の依頼は、祖父の死の真相を知ること。殺害したのは祖父が持っていたというブルーサファイアを狙っていた母親ではないか、と疑っていたのだ…。
建築家探偵、というとおりに確かに建物を調査はしてますが、別に建物が殺人を犯す環境を作っているわけではないので、物語はその建物を巡る人物像に視点がいっています。別荘に篭り、馬と孫の理緒にのみ愛情を注いだ歴老人と息子、妻、遊馬家の4女らの間に絡まった糸を解きほぐすのが、探偵・桜井京介の役目ということなのでしょうか。
それにしても……「WH文庫のようだった」とは誰が書いてた感想だっただろうか…(遠い目) いや、一応推理もののセオリーは踏んでるんですけどね。(ちょっと納得いかないところもあったりはするけども!)多分…設定のせいなんだろうなぁ…と思います(実は美貌の主人公、謎の過去をもつ少年、気は優しくて力持ちな友人)。あとは恐らく、シリーズ最初だから文体がぎこちない所為ではないかと。
ともかくも、続巻に期待期待!
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最近自分の好きな本の傾向を自己分析してみた。
登場人物のキャラがたてばたつほど好みの作品になる傾向があるようだ。
この作品はキャラが自分好み。ストーリー的に今一。総合★3つ。
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シリーズ完結を記念して再読開始。9月6日読了。犯人はなんとなく覚えてたけど結構忘れてたなぁ。遊馬4姉妹はいいキャラクターしてるなぁ。
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【設定・プロット】・・・B
【舞台】・・・B
【登場人物】・・・B
【トリック・仕掛け】・・・C
【緊張感・恐怖】・・・C
【感動・爽快感】・・・C
【やられた!】・・・D
【総合】C
はじめて手に取る篠田真由美氏の桜井京介シリーズ、序盤の方が面白いという変わった印象、芸が細かいけどサラっと読みたい人には少々難解かも。建築が好きな方、間取りファンは読んで損はしない。「蒼」の本名が気になる。
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■閉ざされた中庭(パティオ)が惨劇の始まり
建築探偵・桜井京介が文庫初登場!京介を訪ねた古風な美少女の依頼は“閉ざされたパティオ”を持つ別荘の鑑定と主である祖父の死の謎を解くことだった。少女の一族を巻き込む不可解な事故死、そして自殺未遂。事件はすべて別荘をめぐって起きた。ミステリアスな建築造形に秘められた真実を、京介が追う!
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二時間ドラマの原作クラスだと思って読んだけど、予期せぬ面白さでした。「建築探偵」なんて安直な冠がいけない。
犯人探しというよりは、建築物にこめられた思いやら何やらをときあかすという、ちょっと変わった趣向。黄門さまの印籠のように中盤でさらされる桜井京介の超絶美貌。周囲の反応が漫画的でおかしい。これパターンになってくんだろうな~~。ってなわけで、次回作以降もよんでみます。それぞれのキャラの過去もきになることだし。
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“建築探偵シリーズ”第一弾。
世の中、色んな探偵がいるもんだな~と思いながら読み始める。
主人公、桜井京介。
“身長は百八十以上あるはず”、“やせぎす”、“顔の三分の二”を髪に隠している。
蒼曰く、“午前中の桜井京介は人間ではない”そうで、とにかく朝はご機嫌斜めの様子。
でも、実はとんでもない“美貌”の持ち主で。
そんな主人公に始まり、蒼も映像を鮮明に記憶することができる、直観像記憶能力を持っていたり、深春も放浪好きの少し変わった青年である。
そして、どうも登場人物たちには秘められた過去があるようで…そのあたりはシリーズを読み進めるうちに分かるようなので、楽しみにしておく。
蒼は本名もまだ分からない状態なので、本当に、何者なんでしょう。
「目を開けているんだよ、蒼。おまえの目はいつも正しいんだ。その見たものを理解できなくとも、おまえの目はいつだって真相をちゃんと見ているんだから」
優しさゆえに、事件に悩み苦しむ蒼に対して京介がかけた台詞。
クールで無愛想な京介の、蒼への想いが表れたシーンでした。
“館”ミステリ…というと、綾辻行人さんがどうしても浮かんじゃう。
黎明荘の中で起こった、ひとつの事件をきっかけに、理緒は“あのひとが祖父を殺したのではないか”と恐ろしい不安に駆られ、自分を可愛がってくれた祖父のためにも何とか別荘を守ろうと京介のもとへやってくる。
理緒。
蒼も人間として好意を抱いたように、凛としていて、素敵な少女でした。
しかし、物語が進むにつれ、理緒の家族である、遊馬一家の面々が出てくるのですが、みながこれまた一癖あるひとばかりで、みんな、怪しく思えてきてしまうという…まさかの展開で理緒も怪しい…一体!?とドキドキ。
事件解決にあまり乗り気ではないように見える京介は果たしてばしっとキメてくれるのだろうか?というところもかなり、気になりつつ。
遊馬家の“呪い”ともいえる謎に、京介が挑む。
祖父の過去、想い、そういったものがようやく、伝わる。
気持ちが救われるラストに、しんみり。
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建築家がスペイン風パティオを持つ家の調査をかね、その別荘で亡くなった主人の死の真相を解き明かす話。
登場人物たちの外見か内面とかを作者がストレートに描きすぎていて、エピソードで読者に想像させることなく「この人はカッコいいの、この人は性格キツイの、この人は気難しいの」と決めつけた書き方なので、気分が悪い。
内容も、かなりつまらない。どんな本でもしっかり読もうとする私には珍しく、途中を飛ばして読んでしまったほどの苦痛な本でした。
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『ご所有の西洋館の鑑定承ります』のチラシを見て桜井京介のいる研究室にやってきた遊馬理緒。祖父の残した黎明荘を母親が取り壊そうとしていることに不満を抱き、何とかして欲しいと依頼します。
前髪で顔を隠した超美形の名探偵、一目見ただけで覚えてしまう生意気な少年、好奇心ある髭おやじなど、キャラクターは魅力的ですが、それほど目新しさはありませんでした。
内容も今一つで、証拠に基づいた理屈というより、こうかもしれないという想像が多いですし、思わせぶりだった伏線がそのままスルーされていました。