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氏のやや違った角度から切り込んで
描く警察小説...絶好調ですね。熱くも
なく、かといって冷淡でもない不思議な
温度ですよね。その温度感が妙に生々しく、
人間的にリアルな味付けになっているのかも。
警察官と言えども、一人の人間な訳だし。
今作は短編連作の形をとっているも、今後
是非淡々とシリーズ化して欲しい内容。
ノンキャリアながらも管理部門で抜擢され、その
将来を期待された主人公「柴崎」、ただ一つの
事件が彼をそのルートから遠ざけ、一人その罪を
背負わされ、所轄で煮え湯を飲む。...という
設定はありそうなものですが、そこで彼を
巻き込む日々の事件。所轄を始め現場の警察官たちに
触れる事で自ずと泥にまみれていく様が素晴らしい。
彼自身が未だに汚れた、屈折した感情をコントロール
出来ずに日々、折り合いをつける姿が妙に我々を
惹き付けるんですよね。そこも含めてみんな
毎日をなんとか生きてる訳です。
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警察という組織について何を知っているという訳ではないのだけれど、リアルだなぁ…と感じました。警察に対する暗~いイメージが、より増幅して余韻として漂っているような後味です。
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気分は☆2.5。
リアルっちゃーリアルなのかもしれませんけども。
なんともかんとも、魅力皆無絶無の主人公になんの感情移入もできず。
自分の左遷ばかりに恨みつらみを言い、周囲を侮蔑し、昇進にばかり汲々としているこの主人公など、どうなろうとどうでもいい。
と、思ってしまった。
周囲の人間も笑えるくらい魅力なし。
なんだこの小説。リアル、はあ、これがリアルですか。
まあそうですよね、組織、しかも超保守大国警察組織なんてこんなもんでしょうね。
でもフィクションとして、いわゆる「事件のからくり」にもすぐに気付いてしまう、この小説に何を期待すればいいのでしょう。
さっぱり分かりません。
温かい人間性皆無。最悪。
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全く共感できない主人公ですが、先が気になり、一気に読みました。
面白くないことはありませんが、最後に収録された短編は中途半端に終わってしまったという印象を受けました。
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事務方の警官を主人公にした連作短編集。横山秀夫とついつい比べてしまう。内部にスポットを当てた警察ミステリの中ではハイレベルだが、謎解きの点では横山作品より劣る。
主人公が職務に忠実な警察官の鑑タイプではなくて、歪んだ復讐心を胸にしまい込んだ野心家という設定が面白い。クリーンな経歴を維持することと、元上司を貶める動き──葛藤しながら個々の状況に相対する主人公が人間臭くてリアル。
ただ、各話とも全体にメリハリが少ないので、薄味のまま終わってしまう印象が強い。決着がついているのかそうでないのか、私にはよくわからない。続編もありそうな雰囲気なのだが…。横山秀夫が恐ろしく遅筆なので、もう少しミステリ色を濃くしてくれたら、本シリーズに乗り換えたいところではある。
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エリート部署へ配属されるも、待っていたのは不祥事の責任を被る屈辱の左遷…。若き警部の苦闘を描く、心に刺さる警察小説。第63回日本推理作家協会賞短編部門受賞作「随監」収録。
7篇から成る連作短編集。警察小説と言えばキャラの立った刑事が超人的な活躍を見せて難事件を解決するのがお決まりのパターンだけど、本作は全く毛色が違う。現行犯逮捕の経験もない管理畑の警察官を描き、結構読ませる。
(B)
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範的な警官になろうと、誰よりも強く思ってきた。管理部門から抜擢され、エリート部署へ配属された。だが、待っていたのは不祥事の責任を被る屈辱の左遷……。若き警部・柴崎令司が、飛ばされた所轄署で体験する人生初の悪戦苦闘。他人には言えない屈託を抱えた男が、組織と世間の泥にまみれて立ち上がる人気シリーズ全七編。
ノンキャリ警察官の昇進争い。義父もノンキャリの出世頭。欝病の部下が
拳銃で自殺。自分だけ本庁から所轄に左遷。課長はお咎めなし。
課長の弱み(警察学校跡地の売却金を運用)を握りるが、自分はそのまま。課長は左遷された。
所轄の副所長には警察学校で恥をかかされた。
最初の事件は老女の変死。娘が生命保険をかけていた。犯人は同じアパートに住む女。金を降ろすのを手伝った。さらに金を借りようとしたが断られた
息子がストーカーをする巡査部長。訴えられるのを取り下げるかわりにゆすられていた。
留置所にいる犯罪者にゆすられる。弁当、手紙を頼まれる。書類がなくなるが、犯人は婦人警官。
査察官に処理してない訴えを見るかる。訴えた男はクレーマーだった。
男のせいでパートをやめた姉の敵をとる弟(中学生)の犯行。
派遣を首になった男に仕事を紹介するかわりに訴えをさげさせた。
拳銃で自殺した部下は被害者の女と不倫していた。その写真をとられ
おどされて鬱病になっていた。それをしたのは課長だった。
スーパーで女子高生が赤ん坊を産み落とす。父親わからず。病院から
赤ん坊が連れ去られる。翌日、公園で見つかる。DVで離婚した看護婦の犯行。義父も加担していた。問いただすと。課長に送った手紙のことを聞かれた。
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過去の人事左遷をいつまでも根に持ち、隙あらば自分を左遷に陥れた元上司の失脚と自分の昇進を目論む主人公。その不穏な企みの合間に、自分に持ち込まれる事件を自分の保身を一番に念頭に置きながら解決していく短編連作集。
同じエリート左遷組でも、今野作品の「隠蔽捜査」に出てくる竜崎さんとは対極にいるような人間が主人公で、正直最後まで全く共感を覚えられず。しかしながら、リアルにより近いのはむしろこちらの柴崎の方で、結局何だかんだ言いながら読み進めてしまい、それなりに面白かったかな。短編物として続くのなら、読んじゃうかも。
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警官だけど今まで事務畑だった人が、左遷により、捜査に携わるようになる。その時の戸惑いは「自分がいきなり刑事になったらこんな感じだろうなあ」と共感できる。そのあとの謎解きもそれぞれ味があるので、楽しめる作品。ただ最後の結末が中途半端だったので続きがあるのか気になるところ。
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(収録作品)撃てない警官/孤独の帯/第3室12号の囁き/片識/内通者/随監(日本推理作家協会賞短編部門受賞(2010/63回)/抱かれぬ子
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安東能明の初読み。まったく知らない作家さんであったが、文庫帯の『誉田哲也氏推薦』の一文を目にして文字通りの衝動買い。
初読みの作家を新品で買うことなどほとんど無いのだが…。
買って損は無し。
警察小説のジャンルでブレイクして間もないようではあるが、作家としてのキャリアはたっぷりと15年を重ねているだけあって、文体や構成に不満は無し。
ストーリーも、十二分に面白い。
ただ、文庫巻末解説者も書いているように…ジャンルというか舞台設定の性質上、というか、横山秀夫を読んでいるように錯覚する瞬間が度々あった(笑)。
この作家は…警察小説に絞って、他の作品も読んでみよう。
★4つ。8寄りの7ポイント半。
2013.06.18.了。
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横山秀夫さんの短編集を彷彿させるような、しっかりとした手応え。人事畑から現場へ、不祥事の尻ぬぐい、人事。警察小説まだまだ色々な切り口がある。
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淡々とした文体で、リアリティがありすぎるのか、変な不安感を抱かせます。短編の内容自体は面白いですが、一話目での本筋との絡みがちょっと薄いかな。
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正義感にあふれてもなく、部下を信頼してリーダーシップを発揮するわけでもない警察小説は、新鮮に感じた。
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警視庁本庁総務部企画課係長柴崎警部は部下の拳銃自殺という不祥事により、足立区の綾瀬署警務課課長代理に左遷される。今まで捜査経験がほとんど無く事務管理部門を務めて来た柴崎は所轄に配属されたことにより、署内がらみのことで一人での捜査を余儀なくされる。短編集ではあるが、一連の話になっている。きっとまだ続くシリーズとなるのだろう。