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紙の本
患者にとって「いちばん幸せな医療」とは何か?
2008/08/16 08:11
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:悠々楽園 - この投稿者のレビュー一覧を見る
Dr.コトーのモデルだと勘違いして購入したが、実際にはDr.コトーとは関係がなく、モデルとなった原作より以前からこの名前を使っているそうだ。
2004年8月に刊行された本だけれども、医療や介護の問題は、たった4年でさらに困窮を極めつつある。その意味でもドクターゴンこと泰川恵吾さんが実践する「幸せな医療」への取り組みと考察は、日本の医療の進むべき方向を示唆し、重要な契機となりうる。
宮古島を拠点に、ゆくゆくは八重山の数ある離島の医療のはるかな充実を目指す泰川さんの経歴は変わっている。始まったばかりの、東京女子医大のいわゆるERのチーフとして寝る間も考える間もない生活から、救急救命とは正反対ともいえる宮古島でのへき地医療へと180度転換する。そこにいるのは生まれ育った故郷の海・土地・食べ物・人を愛し、1人で長くたくましく生きるおじいやおばあたちである。医者の数は少なく、延命措置などめったに行わない。いざという時には子供や孫が静かにその死を看取って死んでいく。
「人間が生きているとはどういうことか」「幸せとは何か」といった誰もがいつか直面する根源的な問題について、読者は著者とともに考えをめぐらせることになる。だからと言って著者は必ずしも救急救命医療を否定するわけではない。
泰川さんの訴えたいことは2つあると思う。1つは、医療の主役は患者(とその家族)であるということだ。患者(とその家族)のニーズは1人1人違うということをしっかり把握して、求められる医療を施すことが医者の役目だという謙虚な姿勢の大切さである。それがまた医療を血の通ったものとし、治療効果も高める。
もう1つは、公平な医療制度・医療環境の整備。これは憲法にも明確に記されていることだが、現実には財政問題と引き換えに、この数年その格差がむしろ広がっており、大きな社会問題となっていることは周知のとおりである。
医者になるまでの学歴・経歴はご本人いわく「落ちこぼれ」。救急救命の現場ではとにかく目の前の命を救うことに全力を注ぎ続けた「職人」。そういうちょっと変わった医師だった泰川さんゆえに時代に先んじて見えた日本の医療の問題点の数々。医療を必要とする目の前の人間に、望まれる医療を提供する。「困っている人がいるから助けたい」という医療者を目指す人たちの、おそらくは志の最初に抱くはずの最も素朴な心がその根っこにはある。
どこまで本当かはともかく、遊び好きで欲深くもある!というご本人のキャラクターも手伝ってか、学者や研究者然とした理論ぽい内容ではない。ドラマチックなエピソードを散りばめ、硬軟併せ持った内容となっていて、私は楽しく真面目に読ませてもらったが、医療従事者には鼻につく話もあるのかもしれない。私はその肩を張らない力の抜け加減にこそ今後の医療を切り開く鍵があるのではないかと思った。
私も沖縄が大好きである。八重山諸島の医療が4年前より少しでも充実していることを願ってやまない。また、こうした本を通して、金や名誉をかなぐり捨てて、へき地医療に取り組む若いお医者さんが増えてほしいと思う。
紙の本
タイトルが立派過ぎでしょうか?
2004/08/24 10:20
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆうじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルと表紙に惹かれて注文しました。読みやすい内容ではありましたが、著者自身が「よくもまあ、これだけ自慢話を…」と書いているように、救急医をやめた理由と著者にとって日本でいちばん幸せな宮古島での医療について自伝的にまとめた本です。救急医時代のエピソードを少なくして、宮古島での医療についてもっと深く書ければ、タイトル負けしなかったと思います。10年後の続編を期待します。医療関係者の立場で読み、辛口の書評としました。他の書評も参考にしてください。
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