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「エロスは相手の中に自分を溶かしてしまう一瞬、神に捧げる死に似ている。深遠な、それでいて言葉にできないタブーだけど、避けて通れない宿命的なもの。人間にとってそういう永遠のテーマ」と筆者は語っている。絶望と希望が背中合わせの官能の極地。牛がマントに翻弄され、戦士が牛の角に突き上げられ、最後にマタドールの剣に牛が貫かれるという一連の光景に、バタイユは性交のイメージをみる。牽強付会な話でも博覧強記ぶりに何となく説得力を感じるのが不思議である。この分野における筆者の熱意を強く感じる。
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最近、こんな本も良いかなって思ってる。
かい摘んでいろいろなことが書いてある。
忙しい人もちょっとずつ読んだら良いと思います。
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主にヨーロッパにおける、歴史上の出来事にからめた「死」の歴史を紹介している。その時代その時代の「死」に対する考え方や風習等も合わせて紹介されており、非常に興味深い内容となっている。
「情死」というくらいなので、男女の熱く悲しい恋愛の末の死をイメージして読み始めたのだが、著者らが考える「情死」はさらにその意味に幅を持たせており、「信念に対する愛」、「神に対する愛」といった、およそ愛に結び付くすべての事象と、そこから結果的につながってしまった「死」について、淡々と紹介されている。
こうしたテーマにくどくどとした解釈を付け加えることは野暮であると思うし、本書は説明を必要最小限にとどめている印象を受ける。そのため、読者がそれぞれの死に思いを馳せる余地がたくさん残されており、非常に読み物として優れた作品であると考える。
残酷な異常性愛の果ての殺人から、穏やかな愛に包まれて迎える死まで、愛のつまった死の歴史を知ることは、人間の本質を垣間見ることにもなろうかと感じた次第である。
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ネクロフィリア、カニバリズム、
自殺、ミイラ、臨終のことば、などなど、
犯罪者たちの最後のことば、
おもしろかったなー
情死?大全ではない気がするけど、
色んなエピソードが書いてあって
おもしろいです
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死があるから愛もあるという論点で史実を結びつけていくマジメで壮大な歴史本。
神戸の少年Aを遥かに超える性的異常者。フランケンシュタインの著者の悲劇的運命。イギリス海軍大佐スコットの死に臨む姿勢に表れた人間の尊厳。ハワード・ヒューズの晩年の虚しさなどが特に印象に残った。心の深さというのは本人にも解らないのだなとしんみりした。
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2008年(底本2005年)刊行。世界史上の事件、文芸作品、人物における「死」にまつわるトピックを解説していく。情死、というタイトルはそぐわない内容も多いし、「エロス」は相当抑え目で、インパクトという意味では抑え目なものの、内容はまあまあ面白い。数ある桐生氏の著作のうちとしては、本書は西洋史上の文芸作品を元ネタとして紹介する例が割合多い。
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読書録「世界情死大全」3
著者 桐生操
出版 文藝春秋
p98より引用
“ 一三四五年から一三五〇年にかけて、
ヨーロッパの人工の半分、あるいは三分の一
が喪われたという。しかし人口統計も死亡統
計もない時代に、正確な死者の数をあげるこ
とは、極めて難しい。”
目次から抜粋引用
“死とエロス
死と欲望
現世への執着
自殺を巡る奇譚
死に際の美学”
欧州の歴史に明るい著者による、人の死に
まつわる逸話について解説した一冊。
過去同社刊行文庫版。
死とエロスの深い関係から有名人の死に関
する謎についてまで、情死だけでなく色々な
死についての逸話が記されています。
上記の引用は、中世ヨーロッパを襲ったペ
スト禍について書かれた項での一節。
はっきりとした数がわからなくても、普段見
かけていた人達が半減もしたらよくわかるで
しょうから、大体あっているのではないで
しょうか。しかし、人工が半分になって、よ
く社会が機能したものだと思います。
今までずっと勘違いしていたのですが、ラ
スプーチンって20世紀の人物だったんですね
…。てっきりもっと昔の人だと思っていまし
た。
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桐生操の大全シリーズ第三弾です。
愛と死とエロスとなっていますが、エロスはそんなにないです。愛と死は満載ですが。
個人的にはエロスに期待していたので、ちょっとがっかり。
基本的にはつまみ食い本になりますね。面白いエピソードをちょこっとづつつまむ感じの。
最初の項目は「死とエロス」。ここでは平野耕太「ドリフターズ」でも出てきた神聖隊の話もちょこっと入ってます。
この項で興味深かったのは、ネクロフィリアですかね。一種のラブドール扱いとしていたものもあったみたいです。
次は「死と欲望」。ここはカニバリズムですかね。幹部がいなくなってどうしたのかと聞くとうまかったか?みたいな、古代の話で聞いたネタを近代でやってた大統領がいたというところに驚き。アフリカすげえと思いました。
続いて「現世への執着」。お墓に関する項目ですね。
共同墓地の適当っぷりが凄い。余計に病気や死者まで出したり、移設するときは骨の種類別に洗って分けたりと、時代が違うのもありますが凄いです。日本的穢思考だとこれは厳しそう。
その後は「自殺を巡る奇譚」。自殺に関しての項になります。
いわゆる尊厳死(貞操を守るためなど)を概ね認めていたのが、ある時そんなもの関係なく自殺禁止になるとか、時代ですね。
自殺は悪い事扱いなので、死体の扱いも悪くする墓も適当にするまではわかるのですが、窓から出すのが侮蔑になるとか、若干コント風味なんですよね。まぁ、違う時代なので滑稽に見えるのは仕方ないとは思いますが。
あとはサティー。確か最近でもやってるって話がニュースになってたような気がします。インドも恐ろしい。
最後は「死に際の美学」。有名人の凄い死に際特集ですね。
ラスプーチン、アイヒマン、ロンメル、ソクラテス、ハワード・ヒューズは凄いなカッコいいなとは思いました。
ラスプーチンの凄いのは軽く知っていましたが、やっぱりとんでもないですね。アイヒマンとロンメルは最後がカッコ良すぎますね。ソクラテスは渋い。捕まる前はボケたのかな?みたいな行動してますが。ハワード・ヒューズの入れ替わり作戦はホント凄いです。
つまみ食い本ですが非常に楽しかったです。
そして、桐生操の文は読みやすいのが良いですね。