紙の本
「癌=死」という偏見を助長する書です
2017/02/15 12:12
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:シジュウカラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本を読むまで、ずっと重松清さんのファンで全て読んでいましたが、これを読んだのをきっかけに、全く重松作品を読まなくなりました。
私は現実に癌を患いました。
世に出る、癌を扱ったものは、主人公が悲劇のヒーロー・ヒロインとして、結果的に死ぬものばかりです。
助かる人も沢山います。私も助かりましたから。
けれど、この本に出てくる人は結局「癌=死」。その偏見を助長するようなものですし、実際にその病気をした者から見たら、読むのは非常に不愉快であり、キツく、途中で読むに耐えずに駅のゴミ箱に捨てました。
重松さんの小説は、ご自分でもおっしゃっているように、完全に解決というものは少ないと思います。
だったら、助かったものも書いてほしかった。
癌にかかって周りを巻き込んで悲しみに暮れて死を迎える。助かるよりもよっぽどドラマ性があるでしょう。悲劇は共感を呼びます。そっちを選んだ重松さんに非常にがっかりです。
助かる方はさほどドラマにはなりません。でも、助かっても、再発の恐怖や体調の不安から社会復帰がなかなか難しかったり、周りからの偏見の目やらで、現実には沢山の苦悩が続くんです。
私が実際に癌を患っていなければ、単に「命の尊さを学んだ」とか、「涙が止まりませんでした」とかいう言葉が出たでしょう。
癌で亡くなるという、ドラマチックな安直な方を選んだ重松さんには非常に失望させられました。
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幾度となく涙腺が壊れかけてしまった。
「死を迎える家族は、より幸せを感じるのかもしれない」というシーンは忘れられない。余命を宣告され、本当にこの家族で良かった事を死を送る人、迎える人、それぞれが幸せだったと感じる一瞬があるのだろう。
短編小説ではあるが、様々な話が時を超え繋がりエンディングを迎えるのには驚いた。
重松清の小説は「流星ワゴン」「カシオペアの丘で」以来の3冊目、改めて何気無い当たり前のシーンが心に沁みてくる。
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短編集かと思ったら立派な群像劇。
「疾走」とは違う感じの重さ。
(逃げようがないんだろうけど)登場人物が逃げてないのがいい。
「その日」「その日のあとで」で泣けた。
もちろんその前の伏線のせいで。
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「生きること」「死ぬこと」「残されること」「歩きだすこと」が、まっすぐに描かれている作品だった。
「死」という重いテーマなのにも関わらず、温かな気持ちでいっぱいになるこの作品から、命を授かったからには確実にやってくる『その日』を迎えるまで、「生き続けること」「生き抜くこと」の大切さを教わることができた。
この作品は、「感動した」というだけで終わりにしてはいけない気がする。
結婚してから、子供を産んでから、そして私自身&愛する人たちの「その日」の前にまた読みたい。
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死について考えてみた。
いい本だと思うけど・・・しっくりこなかった。
著者の他の本も読もうと幾つかピックアップしてたけど
これだけでやめよう。
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この本は、決して公共の場で読んではいけません。。
ましてや朝の通勤電車なんて。。もってのほかですよ。。
号泣をまぬがれませんから。。
自分の「その日」を知った時。。あなたはどうしますか。。
大切な人に「その日」が訪れる事を知った時。。あなたはどうしますか。。
そして。。「その日」のあと。。。残された人達は。。
最後・・複数の物語が。。少しつづ隣り合わせであった事がわかる。。
短編の中での登場人物達のその後が少しづつ、他の短編のお話の中で隣り合わせ描かれていて、「その日」の後に続く歩みが垣間見えます。。
「死」は怖いし。つらくて悲しくて。。そんなイメージばかりだけど。。
誰にでも突然に訪れる事でもあるなら。。。
出来るなら。。自分の死も。。大切の人の死も。。
やさしく迎えいれたいですね。。。
涙は。。必須ですが。。心暖まるお話でもあります。。
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重松さんらしい本です。
特に「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」の3編は題名が示す通りに一連の作品ですし、「潮騒」は主人公が違うとは言え、関連を持つ作品です。若くして余命宣告された主人公が過ごす、死までの日々。
とても良い作品だとは思うのですが、ある過去の事情から感情移入仕切れず、むしろ辛さばかりを感じてしまいました。身近すぎたのでしょうね。
「その日のあとで」で奥さんが残したたった一言の手紙。愛し合った夫婦だからこその一言にジンと来てしまいました。
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もうホント卑怯だよね。こういうの。重松さんの作品を読むたびにそう思うんだけど、泣かせる設定で泣かせるストーリーをハイどうぞって差し出してくる。(むかしはこれに結構興ざめしてしまっていたんだけれども)
そして一番の問題点はしっかり泣かされしまうこと。その中でも本作の卑怯振りと泣かされぶりは秀逸だった。『ヒア・カムズ・ザ・サン』で最後の最後まで弱みを見せないようにする母親のホントはものすごい弱いんだけど強いところ。『その日』に関してはもう10ページに一回くらいは泣き所がくる。チクショウ。
ハンカチを持っておらず、手で拭いて啜り泣いていたので読み終わった本はちょっぴりしなってしまっている。そのぐらいの感動作。思うんだけどこのひとはほんと平仮名の使い方がうまいよな。
「お盆の花火。それは大きな迎え火です。ふるさとを出て行ってしまったひと。会いたくてもなかなか会えないひと・・・・たくさんの思い出を胸に、会場におこしください」(p273)で鳥肌。
(2008.10.1)
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ひこうき雲/朝日のあたる家/潮騒/ヒア・カムズ・ザ・サン/その日のまえに/その日/その日のあとで
家族ものを書かせたら右に出る者なし。
生と死を通して見つめる幸せの意味。切ない。
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昨日までの暮らしが、明日からも続くはずだった。
それを不意に断ち切る、愛するひとの死。
僕たちは「その日」に向かって生きてきた—。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか…。死にゆく妻を静かに見送る父と子らを中心に、それぞれのなかにある生と死、そして日常のなかにある幸せの意味を見つめる連作短編集。
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先日学生時代の友人が亡くなりました。
彼女がどのような思いで「その日」を迎えたのか、「その日」を迎えるまでにどれ程の苦痛に耐えてきたのか。
真正面から病気と向き合い、周りの人間に笑顔をふりまき、常に感謝の気持ちを忘れない。
私は今、そんな風に自分の「その日」を迎える自信はない。いつか彼女のように強くなりたい。
そんな時期に出会った小説でした。
この小説に登場する妻の和美は、その強さを持った人なのだと思う。「その日」のあとまで、その強さは変わらない。
今ちょうどこの時期に読んで、良かったと思える作品でした。
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昔、守ってあげられなかった友達のことを思い出して、やっぱりホームレス中学生の時みたいに、心を閉ざして読んでしまった。 この内容で、この人物配置をした余裕というか、冷静さ。 作者には壮絶な人生経験があるのかなあとやっぱり思ってしまった。
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7編の短編小説。
表題作の「その日のまえに」「その日」「その日のあと」の三部作以外も全てが「死」について書かれている。
余命を先刻された後「その日」までどう生きていくのか・・・。
泣かないはずがなく、「その日」を迎える夫・子ども達・・・せつない。
死後の手紙のたった一言「忘れていいよ」には嗚咽しました。
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これは本屋に積み上げられていた一冊。
またまた重松さんに感動させられました。
短編集なので、読みやすいし、微妙にリンクしているところが何ともニクイ演出。
最後のほうは電車の中で涙を堪えながら読んでました。
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全体を通して「死」がテーマとなっています。でも、本文中で誰かが死んで盛り上がる、という記述ではないです(一部を除いて)。始まったときにはすでに死んでいるか、終了後にこれから死ぬのか……。どちらにしろ「死」をどう受け入れるのかということに焦点がある気がします。「その日のまえに」というタイトルも、それを暗示していますね。非常に感動させられるお話です。死ぬということについて考えさせられます。