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生き残った小隊長を主人公にして司馬さんが書いてたら、ノモンハンに行方歳三のような、実在はしたけどその勲は架空である英雄が生まれ、この戦場が戦記物語として語り継がれていたのだと思うと本当に書いてくれなくて良かった。
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「半藤一利」の著書『ノモンハンの夏』を読みました。
『指揮官と参謀―コンビの研究』に続き「半藤一利」作品です。
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「司馬遼太郎」氏が最後にとり組もうとして果たせなかったテーマを、共に取材した著者がモスクワ・ベルリンの動静を絡めつつ描いた傑作
参謀本部作戦課、そして関東軍作戦課。
このエリート集団が己を見失ったとき、満蒙国境での悲劇が始まった。
「司馬遼太郎」氏が最後に取り組もうとして果せなかったテーマを、共に取材した著者が、モスクワの「スターリン」、ベルリンの「ヒトラー」の野望、中国の動静を交えて雄壮に描き、混迷の時代に警鐘を鳴らす。
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昭和14(1939)年5月~9月に満蒙国境で発生したノモンハン事件について、欧州の動静を含め、広範囲に及ぶ資料を収集し、深い分析と考察をした結果が、巧緻で切れ味鋭い文体でまとめてある作品でしたね。
■第1章 参謀本部作戦課
…"戦略戦術の総本山"参謀本部はすでに対ソ作戦方針を示達していた。
「侵されても侵さない。不拡大を堅守せよ」
■第2章 関東軍作戦課
…関東軍の作戦参謀たちは反撥した。
「侵さず侵されざるを基調として、強い決意を固めて万事に対処する」
■第3章 五月
…モロトフ外相はスターリンに指示された抗議文書を東郷大使に手渡した。
「これ以上の侵略行為は許さない」
■第4章 六月
…関東軍の作戦参謀辻政信少佐はいった。
「傍若無人なソ蒙軍の行動に痛撃を与えるべし。不言実行は伝統である」
■第5章 七月
…参謀本部は、関東軍の国境侵犯の爆撃計画を採用しないと厳命した。
「隠忍すべく且隠忍し得るものと考える」
■第6章 八月
…歩兵連隊長須美信一郎大佐はいった。
「部隊は現在の陣地で最後を遂げる考えで、軍旗の処置も決めています」
■第7章 万骨枯る
…死屍累々の旧戦場をまわりながら、生き残った兵たちはだれもが思った。
「ああ、みんな死んでしまったなあ」
■あとがき
■参考文献
■解説 土門周平
第二次大戦勃発前に発生した、満蒙国境ノモンハンでの悲劇… 『指揮官と参謀―コンビの研究』に収録されていた『服部卓四郎と辻政信』にも紹介されていましたが、概要程度しか知らなかったので、本書を読んで日本軍だけで2万人近い多大な犠牲(戦死、戦傷、戦病、行方不明等)があったことを改めて知りました。
指揮官や参謀の誤った判断により、多くの犠牲が出した悪例ですが、、、
二面戦争を回避したいという「ヒトラー」と「スターリン」の思惑が一致し、ドイツはイギリス、フランスとの戦いに集中、ソ連は日本、満州との戦いに集中できる環境が整った時期と重なってしまった不幸なタイミングだったようですね。
それにしてもなぁ、、、
統帥権を無視して暴走する関東軍(特に「服部卓四郎」と「辻政信」)の判断には憤りを感じますが、それを知りながら阻止できなかった(しなかった)参謀本部の無責任さには憤りを通り越して、呆れてしまいます。
そして、最も不幸なのは犠牲になった現場第一線の将兵たちですよねぇ… ソ連側の司令官「ゲオルギー・ジューコフ中将」が戦後に「スターリン」の質問に答えたという、
「日本軍の下士官は頑強で勇敢であり、
青年将校は狂信的な頑強さで戦うが、
高級将校は無能である」
という言葉が全てを物語っている感じがしますね。
日露戦争に勝利したことが、精神力で敵に打ち勝つことができるという幻影を日本陸軍に植えつけてしまったのかもしれませんが、、、
作戦立案における無計画、無智、驕慢、横暴、無責任な体質や、保身と昇進と功名と勲章が誇りであることしか学んでこなかったことが、この結果を生んだのかもしれません。
こんなことって、現代の企業でもありそうなことですよねぇ、、、
競争社会を生き抜くための教訓になる出来事ですね。
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割りと第二次世界大戦系すきなのでいけると思ってましたが、かなりしんどいです。
ノモンハン事件の詳細を事細かに知りたい人は必読!ですが、詳しすぎてなかなか時が進んでいかない。
前に読んだ「失敗の本質」のノモンハン特化版みたいな感じですかね。
歴史の解釈は多岐に渡れど、とりあえず作者さんが作戦課のエリート気取りと関東軍の辻ってポンコツが暴走したせいで負けたと思ってる、ということは伝わりました。
現代社会、というか会社において本社(大本営)と現場(関東軍)に置き換えて読んでるとなんかしっくりきました。
何事も三現主義、ですかねw
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小さな国境紛争から第二次世界大戦の端緒につながるノモンハン事件を、関東軍(主に23軍)、参謀本部、ソ連、ナチスドイツの視点を交えて説明する。
自分が読みたいのは、戦略や戦史なので、読みたい類の本では無かったかな。やたら、外モンゴルの地名が出てくるのと、カタカナ混じりの当時の手記やらが多かったので読み進めにくかった。
また、辻政信少佐を一方的に断罪している書き方も疑問を覚えた。戦記とするには記述が乏しく、思想史てして読みには深掘りが浅くて微妙な立ち位置の本だと思う。
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解説に記載のある通り、大変気持ちの良い文章である。自分が持つ正義感とよく似ている。ノモンハン周辺の戦闘状況を描きながら、三宅坂、新京、モスクワ、ベルリンと4元〜5元で進める手法は日本からの立場、目線で戦争を描く他の本とは一線を画していると思う。
「失敗の本質」に挙げられる訳だ。
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アホな指揮官も含めて史実を淡々と書いてくれればいいのに、彼らへの著者の攻撃、嘆きが随所に現れて途中で読むのが嫌になってやめた。
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本書で描かれるノモンハン事件とは昭和14(1939)年5月から9月にかけて、満州西北部の国境付近で、当時ソ連の実効支配化にあった外蒙(モンゴル)と日本との国境紛争の事である。日本側が国境線と考えるハルハ河を渡って、ノモンハン付近に進出した外蒙軍と満州国軍との衝突から、日ソ両軍の戦闘に拡大し、日本側は壊滅的な打撃を受けた。第一線将兵の敢闘にもかかわらず、上級司令部の指揮、指導が拙劣であったため、戦史的にも珍しい死傷率32%という完敗ぶりである。上級司令部とはここでは東京・三宅坂上の参謀本部作戦課と満州国・新京の関東軍作戦課である。この二つの司令部の温度差と行き違いに現場の兵隊が振り回されるのである。イケイケの関東軍と関東軍を本来指揮統制すべき三宅坂上が微妙に関東軍に遠慮し慮ったために優柔不断な命令しか出せず、無能な指揮官を更迭せずやりたいように放置してしまった。そしてソ連軍の軍事力を過小評価し、自分たちのそれを過大評価した結果起こる悲劇である。過去に日露戦争をなんとか勝利で終えたとき、日本人は不思議なくらいリアリズムを失ってしまった。要らざる精神主義の謳歌と強要。航空戦力や機械化戦力に大きな期待を持たず、白兵による奇襲先制を極度に重視し、積極主義の心構えを強制する。突撃戦法による先手必勝の信念を鼓吹したのである。それらの精神論は極論すれば全て兵器の性能と物量の不足をカバーするためにとくに強調されたものである。詳細→
https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou27608.html
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戦争における個人の役割の大きさに驚き、自身の考えを改めた。1人の大きい声が周りを動かし、その結果組織が動く。そういった単純な構造が世界を動かしている。大きな声が正しいか誤っているかを曇りない眼で判断しないと戦争などという誤った結末を招く。
1人1人が明確な戦争拒否の意思を持たないと止める事はできない。