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読み終えた後に、人情の温かみがほっこりと心に残る本です。
浪人 神名平四郎はよろずもめごとの仲裁を生業とし、
武士や町人など様々な人々の悩みを解決していきます。
平四郎や依頼人など、全ての登場人物がかもし出す人間臭さに
野暮ったさを感じる反面、愛着を抱いてしまうのは、自分以外の
誰かを思いやる人々の心の優しさが伝わってくるからでしょう。
剣の名手である平四郎は仲裁業を営む一方、旗本である
実家の兄に借り出され、天保年間の政治闘争に巻き込まれて
しまいます。
敵と剣を交える下りは痛快でスカッとします。
とにかく、本全体を包む情の温かさに心和らぎました。
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北見の決闘や早苗との再会を経て、改めて道場を旗揚げ、早苗と夫婦になるまでが描かれている。
長屋の猥雑さ、人間の強かさ、そういったものが淡々と表現されていて読後感も爽やかである。
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上下2巻の長編ではあるけれど、それぞれの章が独立した物語で構成されていて、短編集のようでズンズン読めた。
よろず揉め事の解決も、それぞれに味がある。
平四朗と元許婚の早苗が引き合っていくのが、ごく自然に描かれていてよかった。
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江戸時代後期、武士のこれまでの価値観が揺らぎ始めた頃。
妾腹の末弟、平四郎は家で身を小さくして生活する毎日だったが、
友人と3人で道場を始めることになり、家を出る。が、友達が出資金を持ち逃げしてしまう。
今更家には戻れないし、一人暮らしは気ままでいいので、戻らずに生活の糧を得る方法を考える。
そこで、よろずもめごと仲裁屋を始めることになった。
いやぁ、面白かった!
なぜこう自然とその人物像が頭に描ける江戸物と、全く違和感ばかりの江戸物とあるのか
まだ分からない、けど、藤沢 周平は、前者。三屋清左衛門残日録も読み応えありのものだったし、
他の作品も是非読みたい。
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最終章「燃える落日」での、平四郎と早苗さんのやりとり(ここで何してる→米といでた)が好きです。いい夫婦になりそう。
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食べ物を食べる描写はひらがなで!
読ませて食べさせる!!というメモ。
from解説より。
久しぶりに藤沢周平さん読みましたが、
改革と、その改革がもたらす日常の揺れの表現がうまい。。。
どういう想像力なのだろうか・・・・・。
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下巻は、平四郎がよろずもめごと仲裁を行いながら、平四郎の兄で目付の神名監物の用心棒などを、無理やり引き受けさせられながら、許嫁であった早苗を親の借金のかたに菱沼の妻としていた惣兵衛が、南町奉行鳥居耀蔵にこれまでの行状をとがめられ、捜索を受けているのを兄と目撃する。明石、北見と共に新しく道場を開設するという計画が再び実現にむけ前進し、早苗の離縁状を菱沼惣兵衛から取り、鳥居耀蔵の裏切りで老中水野忠邦失脚するまでを描く。天保の改革が行われた時代の流れとその影響を受けた江戸長屋情景が見事に描かれた名作。
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下巻。
主人公が商売として、よろずもめ事をおさめるわけだけども、おとしどころがなかなか良いのよね。キレイゴトじゃなく、人間臭くて。
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時代物は相変わらず苦手ではあるが、大分世界観に慣れてきた。
貨幣価値も自分なりに今の価値に置き換えて読み進めることもできるようになった。
この話は、用心棒でも岡っ引きでもない、仲裁屋さんの物語。
弁口とまぁ剣術も武器にするわけだが、戦っても峰打ちで実に平和的だった。
藤沢周平先生の作品は、どれも大筋が一本あって、短編が続くパターンのようだ。
勧善懲悪でハッピーエンドは日本人には大いに受けるだろう。
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解説にある表現力の凄さ、自然な肩肘張らない言葉の並べ方、読んでいる時は殆ど気づかずに過ごしてしまった。ただ、独特の雰囲気に引き込まれて、次を読みたいという感覚に支配されて一気に読んだことは事実。日常生活を淡々と送るような文章が藤沢の真骨頂なのであろう。新しく珍しい知識や斬新な視点といった刺激を求めて読書をするのではなく、たただ日常のなかで時間を楽しむために読むものであろう。ストーリー構成もいくつかの次元を輻輳させ立体的にし重厚感を出している。大人の読み物である。
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緩み具合といえば、友人(?)明石半太夫。
詐欺漢まがいのこの人物の造形もさることながら、主人公とのつきあいぶりが、いかにも古き良き江戸の、人と人との関わりを彷彿とさせる――もちろんそれは創作された世界ではあるが、そういう緩さもありえたのだろうと思わせてくれる――
もう一人の友人、朴訥な人柄の北見十蔵、そして主人公である神名平四郎、この三人の掛け合いぶりは目が離せない。
といってもそれは、この長編を構成する背景の一つに過ぎない。
連作短編という形式で、さまざまな事件を織り込みながら、作者の練達の筆は、物語を絞めたり緩めたり思うがままに、われわれに読むことの楽しさを提供してくれる。
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内容(「BOOK」データベースより)
世に揉め事の種はつきぬとはいえ、依頼主のもち込む話は多彩を極める。中年夫婦の離縁話、勘当息子の連れ戻し、駆け落ち娘の探索等々。武家と違い、万事気侭な裏店にも、悲哀にみちた人生絵図がある。円熟期にあるこの作家の代表的連作シリーズ、愈々佳境。人の姿、世の姿の哀切な陰影を端正に写し出す話題作。
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兄の家に居所なく、裏店で過ごす旗本の末息子が、市井の人々の色々な相談に乗っていく。主人公の内的成長の過程でもある。
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藤沢周平「よろずや平四郎活人剣(下)」、2003.12発行。短編連作12話、全486頁。いくつかは上巻からの続編。平四郎のよろずもめごと仲裁も堂に入ってきました。平四郎の許嫁で、家の借金のため高利貸しに買われてた早苗が平四郎の元で一緒に暮らすことができるようになったラストに大拍手です。