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読んだ本 徳川家光(4) 山岡荘八 20230203
徳川家光最終巻。
三代将軍家光の生涯を通して、徳川御三家や駿河大納言との関係や牢人問題に焦点を当てたストーリーでした。
基本的には全て性善説で語られているというところが山岡荘八らしいところでしょうか。今のところ、山岡荘八の批判的な文章って「小説太平洋戦争」以外思いつかないんですよね。
天下を治める、藩を治めるってことは、国を平和にし、民に穏やかな暮らしを与えるってことが基本理念になっていないと、政権ていうのは長続きしていかないですよね。鎌倉、室町と、頼朝や尊氏に時代にその理念があったかはわかりませんが、政権にその考えがあったからこそ、幾代にも渡って幕府が続いたんだと思います。木曽義仲や新田義貞(後醍醐上皇)にはそれがなく、秀吉もそういった理念ではなく朝鮮出兵のような天下統一の延長みたいな方向に進んだのが政権を短命に終わらせたんだと思います。
なんとなく一揆史観、百姓一揆に焦点を当てると、江戸時代は圧政の時代にも思われますが、戦乱のない平和な時代で文化も爛熟していくわけですもんね。
家光についても、苛烈な暴君のイメージなんですけど、己の徳川政権を盤石のものにしたということは、結果世の安寧につながっている訳で、その意味では性善説も頷けますよね。