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今まで読んだ鳥飼作品の中では一番読みやすく
面白いんじゃないでしょうか。42.195キロという設定を
スタートからゴールまでランナーの視点を変える事で
スピード感と緊張感を失速させることなく一気読みさせてくれます。
最初〜途中までは何が謎なのか分からないまま
ランナー達に置いてけぼりにされそうになりつつも、追走していくと
あるタイミングからその謎とこのマラソンにかける一つの目標が
ジンワリと浮かび上がってくる。
ゴールまでの残りと共にドンドン高まる高揚感はランナーズハイの如し。
その謎の真相も行方も読後感も...うーん気持ちいいっス。
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2007年の師走。北京オリンピックの選考会も兼ねた福岡国際マラソンを舞台に火花を散らす選手たち。
選手それぞれの思惑と駆け引き。鳥飼さんお得意の繰り返しの多用でまさに本当のマラソンのような疾走感でした。
気づけば先頭集団と同じタイムで一気読みしていました。
マラソンの描写でなぜミステリが成立するのか!?
これが最大の疑問でしたが、読み終えて納得。ぜひ読んでいただきたい作品です。
わたしはとにかく急かれるように読んだので終盤近くまで気がつきませんでしたが、伏線も親切すぎるほど提示されています。
良質なホワットダニット作品だと思いました。
マラソンは走るなんて絶対嫌だし、テレビ観戦も興味ありませんでしたが、見る機会があれば今後は違う目線で見ることができそうです。
といいつつ、一番印象に残ったのはおまもりの「フャイト」なんですけど。噴き出してしまいました。
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この人の作品で久しぶりに正統派なミステリーだった。確かに視点は新しいが物語としては破綻している小説が多かった作者だが、これは非常に面白い!
伏線が収束する感じ、犯人(?)の狙いがとても斬新で良かった。動機も十分に納得でき、最後の痛快感はたまらない。
孤高のスポーツであるマラソン選手の心理描写も秀逸で、まともな本も書けるじゃないか(失礼過ぎる言い方ですが)と妙な納得をしてしまった作品。
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前半ミステリーでなく、ノンフィクションのマラソン中継のようで、これはこれで臨場感があった。後半突然謎の死が出てきて、ちょっとミステリっぽくなるのだが、謎解きはおまけのよう。マラソンの中継を見ているようで、これはこれで面白い。
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中盤あたりまではただひたすらマラソン。30キロ地点位まで。出場メンバーはペースメーカーを務める主人公、市川。市川の会社の後輩、洪。イケメン二階堂。性格の悪いエース、小笠原など。
二階堂が途中、突然死のアクシデント。実は小笠原の仕業なのだが…。走る中で、小笠原はライバルを蹴落としてきた。過去に思いを巡らせ、昔失明させた徳山のことを思い出す。
最後の最後、洪=徳山だと判明し、同時に市川は盲目の洪専属のペースメーカーだったこともわかる。
好きな私は楽しく読めたけど、一般的な受け入れは難しいか
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マラソンをやってるので
タイトルにマラソンと付くだけで手にとった作品。
オリンピック選考会を兼ねたレースにを舞台にしたミステリ。
走っている間の他の選手の心理とか、白バイ隊員など
いろんな人の心情や企みが面白かった。
本当にマラソン中継をテレビで見ているように感じる描写でした。
マラソンをしている人は特に楽しめると思います。
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万人受けしない競技なので面白味に欠けるかなと思いましたが、過去の回想を挟みながら各ランナーの思惑が少しずつ明らかになる展開は飽きさせません。物語が単調にならないよう工夫されているなと感じました。
途中に挟まれるアクシデントの真相はかなりあっけないものでしたが、それをダミーにしてメインを気づかなくさせる手法はお見事でした。
なかなかの良作ですが、あまり知られていないのが不思議です。硬派過ぎるタイトルが邪魔しているのかなと思いました。
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期待せずに読んだんやけど、結構面白かった。
最初の方で、何のためかは分かったけど、誰のためなのか分からず、
先が気になって一気に読んだ。
ペースメーカーって何か違うんじゃないの?と思っていたけど、うまく使われていた。
別に契約以上に走っても良いというのは初めて知った。
他人を思いやる気持ちがモチベーションになるという清々しい話かった。
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初めて読む作家さん、北京オリンピックの出場枠をかけ福岡国際マラソンに出場する各選手の心理面を綴る事で物語が進んで行きます。各選手自分の資質に応じた戦略を立てて臨む大会、しかし全ての選手の思惑が合致することはなく、常に状況に応じた軌道修正を迫られる。その心理面も描写も面白いですが、そんな中で一つの事件が起きる。僕としては物語の中でわざわざそんな事件を起こすよりも、事件に巻き込まれた選手も後半のデットヒートに参加させてレースを盛り上げてほしかった。。。
それでも本は面白かった事には変わりないです。。まる。。
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在日朝鮮人、障害者、虐めに加えて更に後遺症が残ったり、殺人事件があったり、と、相当なコンボを積み重ねてきているんだけども、実にあっけらかんというか、爽やかにまとめきっているわけです。
最終的には騙されたーっていう展開なんだけども、
まぁそれもまた良し、って思えるのよ。
これはもうね、才能だよね。
だいたいの場合この手のネタで小説を作るとダークな展開になりがちなんだけども、やっぱそれだけじゃ人生つまんないよね!ここは洪さんを見習って前向きに生きていきたいよ。
てかここまで前向きだと異常っていうかすごすぎ。
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著者、鳥飼否宇さん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。
鳥飼 否宇(とりかい ひう、1960年3月6日 -)は、日本の小説家。本名は鳥飼久裕(とりかい ひさひろ)。福岡県生まれ。九州大学理学部生物学科卒業。編集者を経て、2000年4月から奄美大島に在住。特定非営利活動法人奄美野鳥の会会長。
福岡国際マラソンが、今年(2021年)の大会で終了するとのこと。
その理由は、運営する上での財政難とのことです。
世界の潮流が、「大都市型マラソン」に移行しているとのことで、数万人のランナーを受け入れる規模でないと、うまくいかないようです。
何やら、びわ湖毎日マラソンも同様の理由で、今年の2月の大会で終了になったようです。
そのようなことがあり、今回、この作品を手にしました。
この作品の内容は、次のとおり。(コピペです)
北京オリンピックの代表が決まる福岡国際マラソン。有力選手、外国招待選手、そして有望視されている新人など各ランナーの思惑が錯綜する。そのなかで実力がありながらペースメーカーとして出場する市川。彼もまたこの福岡にひとつの思いを持っていた。レース途中に、有力選手の死亡事故があったが(それは殺人なのかまた事故なのか。先導する白バイの警官が、その謎に挑戦する)、白熱のレースは続く。モノローグのように、各選手の過去が綴られ、次第に謎が明らかにされていく。勝負はトラックまでわからない。そして最後の直線100メートルの激走がその答えを出した。
●2022年3月14日、追記。
一転して、福岡国際マラソン、2022年以降も開催できるようになりそう、とのこと。
以下、引用です。
日本陸連・福岡県・福岡陸協は3月14日、昨年大会で廃止となった福岡国際マラソンの後継大会「福岡国際マラソン2022」(仮称)を12月4日に開催すると発表した。