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記憶の扉が開いた。
彼女は死者とずっと向かい合っていた
そうしてそれを現実世界に持ってきていた
純愛なのにとても切ない。
愛した人の面影を追いながらも
人を愛した彼女。
希望なのか絶望なのか。
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物書きの繭子は、古い一軒家で一人暮らしをしている中年女性。
自分の父の友人と不倫をしていたが、彼がなくなって数十年後、彼の息子を名乗る男から手紙が届く。
かつての恋人との思い出の場所で、記憶を手繰りながら息子と過ごすうちに、繭子と息子は深い関係になるが、本当は・・・・
本当はない場所、思い出の中の場所ですごす時間がとても美しくて、でもむなしいように感じました。
時を越えても会いたい人と、連れ添う人というのは違うのだろうか・・・
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父親の友人との恋。9年続いた後、相手の急死。
15年後、その息子から手紙が届いた。
その息子に魅かれていく主人公。
しかし・・・。
結末に驚いた。
まさか、その息子も。。
大人な恋っていいなぁと憧れた小説だった。
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お初の作家さんです。
ミステリーかと思って読んだら、大人の恋愛小説だったのでちょっとがっかりしましたが、繭子と雅之の関係がとても素敵で、こんなに人を好きになるなんて羨ましいと思った。また、繭子が生活する家や、訪れた場所の描き方が絶妙で、読んでいても心地よさが伝わってきました。
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耽美と幻想の融合。極上の幻想恋愛小説。
自分は元々恋愛小説の類は苦手だったのだけれど、本作はそんな趣味嗜好を超えて面白いと感じられた。
兎に角文章が佳い。初めは何てことの無い大衆文芸のそれであり、読む者にストレスを感じさせないことにだけ特化したような御手本のような文章だと思った。
それはそれで良かった。そういう文章が読みたかったから。それだけで充分に愉しめた。然し物語が佳境を迎えるにつれて只の読み易いだけの文章ではなくなっていった。
丹念な筆致で描写される濃やかな官能美には思わず舌を巻いた。そこに加味されるエッセンスは此の世ならざるものの世界の幻想である。宛ら嘗て読んだ泉鏡花を髣髴とさせる。よもや現代にあってこれほどのものが味わえるとは。もっと早く知りたかった。